インターネット活用危機管理術 Ⅳ 現地で見たいサイト

旅先で戦争や内乱、大災害に巻き込まれたときには、最寄りの日本国大使館や領事館http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/index.htmlに連絡を取り避難の必要性や方法についての情報を得ることになるだろう。大勢の邦人に対応しきれるかどうか不安があるが、大使館に在留届を出していれば、非常時のための連絡網などで情報が入るはずだ。旅行者として滞在し、届けを出していない場合は、在留届を出している邦人から情報をもらうという手もある。
海外赴任・留学の総合情報案内サイト「ファミネット」http://www.faminet.co.jp/ には、海外生活に必要と思われるあらゆる情報をデータベースと多様なリンクでカバーしており、主要都市の邦人団体、在外日本人商工会議所、情報源などを集めた「海外資料集」は緊急時にも役立つだろう。「役立つサイト集」など一般旅行者に役立つリンクや情報も豊富だ。
日本の在外公館が撤退したり、もともと公館を置いていない国で争乱に巻き込まれた場合、その地の日本の「利益代表国」を知っていれば、その国の公館で対応策を相談することもできるはずだ。
世界の大使館のリンク集EmbassyWorld http://www.embassyworld.comがそのようなときに役に立つ。たとえば、Japanを開くと日本の在外公館と駐日各国大使館のリンク集が現れる。Embassy Resources for Iraq を開くとイラクにある各国の公館のリストや地図、観光局へのリンクなどが現れる。地域を指定してから国名を選択しての大使館検索も可能。各国の地図や地域事情などのコンテンツも豊富にある。
海外情報の収集力に関しては、やはり、アメリカの右に出る国はないようだ。
 米国国務省領事部のホームページhttp://www.travel.state.gov/にはTravel Warnings/Consular Information Sheetsというコーナーがあり、自国民向け渡航注意情報がリストアップされている。また、Visas for Foreign Visitorというコーナーもある。
Additional ResourcesにあるOverseas Security Advisory Council (OSAC)のページhttp://www.ds-osac.org/も要注目だ。OSAC は国務省と官民を問わない海外拠点を持つ組織が旅行者の安全に関する情報を交換し公表する機関で、Calendar Eventsには旅行者に影響を与えるストや政治的イベントなどの予定表があり、Travel Warnings や旅の安全に関わるLatest Newsのコーナーもある。
 米国疾病予防センター(Center of Disease Control and Prevention)http://www.cdc.gov/ のTraveler's Healthのページでは検索ボックスから目的地を選ぶと詳細な健康情報が出てくる。安全な食物と水、フライト中の注意、ヘルス・チェックリストなどの記事もある。Terrorism and Public Healthの項にはサリンVXガスなど生物化学兵器に関する情報もある。防疫関係のサイトへのリンクも豊富だ。
 1960年開設の非営利機関International Association for Medical Assistance to Travellers(IAMAT)http://www.iamat.org のホームページにも注目したい。ここには、伝染病等旅行者が必要とするニュースが掲載されている。マラリアなどの発生状況チャートも掲載。会員登録(無料)すると、伝染病発生状況地図や英語の通じる医療機関一覧、予防接種必要国一覧などが送られて来る。Useful Linksも便利だ。
 TraveldoctorOnline http://www.traveldoctoronline.net/uk_home/index.htm という海外での診療体験のある医療関係者が開いているホームページも見逃せない。地図から多様な健康関連情報を選び出すことが出来る。NewsLetter欄に掲載されるニュースも貴重。Linksには旅の電子ツールが並んでいる。
 厚生労働省の検疫所サイトには「海外渡航者のための感染症情報」http://www.forth.go.jp/というページがあり、「海外渡航者が渡航先で感染症にかからないために、渡航者向け、旅行関係者、医療従事者向けに海外での感染症情報や医療情報の提供」を行っている。流行地域などを印した「地図入りパンフレット」も見ることができる。なお、左フレームのトピックスからTopics(検疫所最新ニュース)の貴重なバックナンバーを開くこともできる。
 外務省の渡航関連情報の中にある「在外公館医務官情報ページ」http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/ も旅行者には要注目だ。外務省は、現在63ヶ国の日本大使館及び総領事館に70名の医務官(医師)を常駐させ、館員、在留邦人及び日本人旅行者のための健康ケア・サービスを行っている。このホームページは、医務官が常駐している国及び定期的に巡回している国、計83ヶ国の医療事情について医務官が執筆したものをとりまとめたものだ。
 国立感染症研究所(NIID)の「感染症情報センター」(IDSC)http://idsc.nih.go.jp/index-j.html のページでは、「海外感染症情報」、「人獣共通感染症」等各種感染症情報を見ることができる。
 動物衛生研究所のホームページhttp://niah.naro.affrc.go.jp/index-j.html も口蹄疫牛海綿状脳症炭疽(そ)など海外旅行者も必要とする情報を伝えるサイトだ。ここは、日本国内の畜産に壊滅的な打撃を与えるような、日本にはない動物の伝染病の国内への侵入と蔓延防止に関する研究を行っており、「米国において多発している西ナイルウイルス感染症の現状」といった記事もある。リンク集も充実している。
☆右上の写真は、エストニアのヴィリニュスでソヴィエト軍特殊部隊と戦車によって1991年の1月に市民12人が殺されたテレビ塔http://www.lrtc.net/en/index.htmlの1階にある91年の悲劇の展示コーナー

海外赴任ガイド〈2006年度版〉

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