「ウィーン・ブダペスト15日間の旅 その5」

10月11日(金)の午前中は、ベルヴェデーレ宮殿下宮にある美術館で“オーストリア象徴主義の視点から”という副題の付いた「Dekadenz」展http://www.youtube.com/watch?v=tZUJiYVHLxkを鑑賞クリムトやシュトゥック、ホドラーベックリン、ココシュカ、エゴン・シーレ、コロマン・モゼール、セガンティーニギュスターヴ・モローなどの作品が出展されていた。「Dekadenz」という言葉が今のヨーロッパに漂う方向感の見いだせない戸惑いを表しているような気がした。この時期にウィーンを訪れたよい記念になると思い、52 Euroもする全314ページの重いカタログも買ってしまった。

午後は、15:30から始まるウィーン・フィル定期演奏会の公開練習に出かける。演目はブルックナー交響曲第5番だ。Jeuness http://www.jeunesse.at/という青少年向けの音楽鑑賞組織が主催する公演で、日本からJeunessのホームページを通じて9月の中旬にチケットは確保済み。支払いもクレジット・カードで済ませていた。席は、2階席中央2列目という絶好のポジションで料金は42 Euroだった。
 予約時の書面をプリントアウトしたものを持って、楽友協会の側面にあるJeuness事務局に出向きチケットと交換する必要があるので念のために開演の1時間前に出かけた。昔は、Jeunessの“公開練習”は、コンサート同様に正装したメンバーが本番と変わりない演奏を聴かせてくれたものだが、今回は、指揮者Herbert Blomstedt氏の細かな指示が演奏の前後にあり、メンバーもTシャツやジャケット姿といったまさに練習風景の観賞だった。

そう言えば、1970年代にウィーンに住んでいた頃、指揮科の友人に連れられてウィーン・フィルの実際の練習を聴きに行っていたのを思い出した。バーンスタイン氏は指揮科の学生が聴いているのを見つけると、学生に今どのような指示を出しているのかを分かりやすく“教育”してくれたのを覚えている。
 反対に、ジョルジュ・ショルティ氏の場合は、隅で聴いていた私たちにマネージャーを差し向け丁重に「マエストロは皆さんにご見学をご遠慮くださいとおっしゃっておられます」と退出を求められた記憶が甦った。

10月12日は、朝11時からのスペイン乗馬学校http://www.srs.at/の白馬の舞踏会とも呼ぶべき華麗なショーへ出かける。取材で朝の練習を見たことはあるが、正式な公演は初めてだった。あわよくば、午年の年賀状に使う写真をと思っていたが、厳しく撮影が禁止されていたのでそれは叶わなかった。

乗馬学校の後は、地下鉄で蚤の市の中心あるKettenbrückengasse駅に向かい、蚤の市を見物。昔は、友人達を誘い合って不要品を売る店を開いたこともある。当時の出店者の半分ほどは素人の不要品販売で、客とのやり取りを楽しむ一種のリクレーションだったが、最近はアンティーク業者などプロが増えているようだ。
この日も、以前買ったウィーン幻想派のリトグラフがないかと思って探してみたが良質のものは見つからなかった。また、長崎を東洋の母港と考えていたオーストリアハンガリー二重帝国時代の海軍に関した絵はがきや史料も当たってみたが収穫はゼロだった。蚤の市の帰り道にナッシュマルクトの生鮮食品市場でトルコの香辛料類を購入。近くのワインショップWEIN & CO http://www.weinco.at/で日本では見かけないアイスノンをボトルに巻き付ける形のワインクーラーを10.99 Euroで購入。

 蚤の市の後は、ウィーンを代表するデリカテッセンJulius Meinl http://www.meinlamgraben.at/page.aspxやスーパーBilla https://www.billa.at/で食材を中心としたショッピングに回る。昔と違い、土曜の午後もほとんどの商店が開いているので助かる。グラーシュやウィーン風ハンバーグの素、イタリアのトリュッフを使った調味料やイチジクのマスタード漬けなどを買い込んだ。

 買い物に疲れたので、ホテルに戻ってスーパーで買ったサンドイッチとサラダで昼食を取った後、しばし昼寝。
 夕方からは、友人との早めの夕食にヴェトナム料理のSaigon Restaurant http://www.saigon.at/home.phpに出かけた。

10月13日は、午前中からウィーンの森の散歩に出かける。ドナウの本流を見下ろすLeopoldsbergの丘は城跡がホテル建設のための工事中で、城壁の周囲を巡る散策路からウィーン平原のパノラマを見物。
森を歩いて葡萄畑に囲まれた行きつけのホイリゲ(ワイン居酒屋)Hirt http://heuriger-hirt.at/に向かう。ここで、友人5人と合流。ウィーンならではの1/4リットルのジョッキーでSturm(濁り酒)やワインを好物のウィーン風ハンバーグや肉まんじゅう、野菜のパイ焼きなどつまみと一緒に味わう。2年前の11月に訪れたときhttp://d.hatena.ne.jp/Europedia/20111207は、店に備え付けの座布団と毛布で寒さを防ぎ、時間が経つとつまみ類が目の前でフリーズしていったが、この日は好天に恵まれ、始まったばかりの紅葉も楽しむことができた。
ホテルに戻る前にHotel Sacherで名物のザッハー・トルテhttp://www.sacher.com/original-sacher-torte/をおみやげに購入。




10月14日(月)は、帰国便出発当日。トリュッフ入りオリーヴ・オイルやハンガリーで買ってきた貴腐ワインなどを慎重に梱包。預けるスーツケースとソフトバッグは合わせて45kgほどの重さになった。機内持ち込みのPatagoniaのリュックにはヘレンドの磁器やLobmeyr http://www.lobmeyr.at/で買ったジョッキーなどの壊れ物を詰め、重さは20kgほど。計65kgの大荷物だ。

09:50に、前述したレッドキャブリムジンが迎えに来て、10:20には空港に到着。自動チェックイン機で手続きを済ませた後、手荷物預かり専用カウンター(bag drop)で2つの荷物を預ける。その際、往路と同様「非常口前のお座席を70ユーロにてご利用いただける」red legroomサービスで座席を変更してもらった。困ったのは、その料金を支払う窓口が別で、30分ほど行列に並ばされたことだ。ウェブ・チェックインすれば、その面倒はなくなるのだが、PCのプリンターもスマートフォンも持っていなかったので、利用できなかった。
 困ったと言えば、空港での自動チェックインを初め、各国のICチップ入り市内交通パス、スマートフォン活用の観光案内や各種予約などIT化が進んでいるので、戸惑うことが多い点だ。

パスポート・コントロールを通過して、税関でLobmeyr で買ったジョッキーの免税手続きを済ませ、近くのAMEX窓口で付加価値税の還付を受ける。以前は、不明朗な手数料を引かれ、レシートも出なかった。今回は、事前にいくら戻ってくるか聞いたところ、免税書類に書かれている金額通りだったのでここで手続きを済ませた。昔は、成田の窓口の方が手数料が少なかったのだが、今後はウィーンの空港で済ませることにしよう。

新しくなった空港ターミナルは、むしろショッピング・モールが縮小してしまい、お目当てのチーズが置かれなくなっていた。それでも、オーストリア・ワインを3本、さらに追加購入。
余った時間は、持っているクレジット・カードが有効な“SKY Lounge”で過ごす。サンドイッチなどの軽食もあり、慌ただしい出国前後のプロセスで疲れた身体をゆっくり休めることができた。

 オーストリア航空51 便は、定刻の13:30出発。日本を通過中の台風26号の影響が気になったが翌15日(火)の07:19成田到着。到着は定刻より21分早かった。台風は予想より早く通過したため着陸に影響はなかった。

 ウィーンの空港では預託荷物のクレイム・タグがFUK(福岡)行きとなっていたが、成田の地上スタッフに確かめると、成田空港のターンテーブルでピックアップして国内線に自分で再チェックインする必要があるとのこと。

OS 8571便(NH2141)福岡行きは定刻通り10:25発。福岡空港には定刻より7分早い12:18着。空港から長崎までは高速バスを利用した。大荷物を抱えて、バス停のある福岡空港国際線ターミナルまで無料循環バスで移動。ここから、14:05発の長崎駅前バスターミナル行きに乗り、長崎到着は16:30。タクシーで自宅に向かう。空港での買い物も含めると70kgの大荷物。タクシーの下車地点から、車道の通じていないわが家までの80mほどの坂道が最後の難関だった。

■今日のブックマーク&記事■

□航空旅行 燃油サーチャージ比較表(ヨーロッパ・中東路線)
http://homepage3.nifty.com/timetravel/fuelsurchargelist.htm#europe 

□日刊トラベルビジョン11月25日記事
 「総合旅行業務取扱管理者、13年度合格者は2781名−合格率25.7%」
  http://www3.travelvision.jp/c?c=28398&m=33101157&v=bcd90bf6

□エアライングッズ市場 「チャイケロ」
http://cch-fness.ocnk.net/

Lonely Planet記事 “Sights to make you feel small”
http://www.lonelyplanet.com/travel-tips-and-articles/sights-to-make-you-feel-small?affil=EML_EDITORIALNEWS_47

□CNN記事“Postcards vs. the Future: 10 'endangered' travel items”
http://edition.cnn.com/2013/11/23/travel/endangered-travel-items/

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