ヨーロッパの個人的おすすめ美術館

個人的にお薦めしたいヨーロッパであまり知られていない美術館をいくつか挙げよう。スイスのローザンヌにあるCollection de l’Art Brut http://www.artbrut.ch/は、精神を病んだり、囚人として生涯を終えたり、周囲から変人扱いされて孤独な生活を送ったりした、いわば“疎外された人々の幻想美術館”。この美術館だけを目当てに世界中から美術や心理学、教育学の学生が訪れるというが日本人の訪問者は少ないようだ。 同じく、スイスにあったThyssen-Bornemisza Museum http://www.museothyssen.org/conflash.aspは、世界的個人コレクション。ルガーノ湖畔の別荘にあったが当主の死去に伴い奥さんの実家のあるスペインのマドリードに美術館ごと引っ越したというもの。チチアーノからラファエロ、フラ・アンジェリコ、カラバッジオレンブラントルーベンスデューラーゴヤクラナッハゴーギャンなどの傑作が揃っている。プラド美術館の近くにある。
 象徴主義の時代の先駆けの画家モローの個人美術館Musée Gustave-Moreau http://www.musee-moreau.fr/ はパリの中心トリニタ教会の近くにある。ギリシャ神話や旧約聖書に題材を求めた作品には、東洋の曼荼羅にも似た独特の個性がある。
 ヒットラーが二度入試に失敗したことでも知られるウィーン美術アカデミーの絵画館Gemäldegalerie der Akademie http://www.akademiegalerie.at/ にも知られざる名画が秘蔵されている。ボッシュの「最後の審判」をはじめ、チチアーノやクラナッハルーベンスブリューゲルレンブラント、ムリリヨなどの傑作がある。
 世界中のウェブ上ににちらばる画像を検索するGoogleイメージ検索http://www.google.com/imghp?hl=jaを見ると検索対象画像の数が8億8千万枚となっており、この一年間でほぼ倍増している。そして、このイメージ検索は美術愛好家にとっては便利なことこの上ない。
 たとえば、フランスの画家Gustave Moreauのある絵を所蔵する美術館を探したいときなど、画家の名+絵の名称でほとんどが見つかる。また、ヨーロッパの主要美術館に行けば、多数の矢で射られた「聖セバスチャンの殉教」の絵がひとつは架かっているが、「St. Sebastian」とイメージ検索すると数百枚の絵が現れる。
変わり種美術館・博物館を見つけるときにもGoogleのウェブ検索やイメージ検索が大いに活用できる。以前、ヨーロッパの戦車博物館を訪ね歩きたいという要望があり、インターネットの無かった時代で探し出すのに苦労したことを覚えているが、Tank Museumと検索すればウェブ検索で万単位、イメージ検索で1,800件が瞬時に見つかった。Museumという言葉にWine、Bicycle、Bread、Steam Locomotive、Postcard、Stamps、Shoes、Torture、Tourismなどという単語を組み合わせて検索してみたが、それぞれ夥しい数の興味深い博物館が見つかる。
なお、「ユーロツアー システムズ」のサイトhttp://www.euro-tour.co.jp/には「美術館・博物館」「テーマ博物館」といったリンク集があり、日本人旅行者に人気、あるいは、おすすめの美術館等がツアーオペレーターの視点でセレクトされている。
☆写真はスイスのローザンヌにあるアール・ブリュ美術館の収蔵品