訪れた土地のアペリティフを楽しもう

海外で食べ歩きを楽しみたいという人には、メニューが読みこなせるように予習をすることを薦めている。これについては、本欄の4月1日の記事「個々のレストランのメニューをサイト上で事前予習」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040401 を参考にしてもらいたい。
食べ歩きを楽しみたいという人へのもうひとつのお薦めは、訪れる土地と店のTPOに合ったアペリティフが注文できるよう予習しておくことだ。
アペリティフを余裕を持って注文できれば、その後のワインや料理の注文もスムーズにうくことが多い。そのアペリティフをゆっくりと味わいながら、メニューに並ぶ料理の数々を眺め、じっくりと選ぶことができるからだ。
 アペリティフという言葉はもともと、食欲増進剤を意味し、胃液の分泌を促し、心身ともに食事の準備態勢を整えるための役割を果たす。店側もウォーミングアップに時間をかけ、存分に味わおうという気構えの客を歓迎こそすれ、せかすことはない。
アペリティフをレストランとは別の居酒屋やバーで味わってから出かけるのもよいだろう。欧米では上品なバーで男女が待ち合わせをし、アペリティフを飲んでお目当てのレストランに移るという光景をよく見かける。また、一流のレストランの中にはウェイティング・バーを設け、席に案内するまでのひとときをバーで楽しんでもらうという趣向のところも多い。
 食前酒についてはサントリーの「お酒・飲料大事典」http://www.suntory.co.jp/jiten/の「リキュール・スピリッツ・カクテル」のページが参考になるだろう。
Google検索エンジンhttp://www.google.co.jp/で「Aperitif 地名」といった検索をかけてみるのもよい。
 さて、食前酒はシャンパンに代表される発泡性のあるワインかシェリーに代表されるアルコール強化ワインに大別される。しかし、居酒屋ではもちろんのこと、レストランでも庶民が好むアニス酒や葡萄の絞りかすから作る蒸留酒リキュール類も用意されている。
今まで味わった珍しいアペリティフを2つほど紹介しよう。まずは、チェコの温泉保養地カルロヴィ・ヴァリの「13番目の源泉」と呼ばれる薬草酒ベヘロフカhttp://www.becherovka.cz/を挙げたい。もともとは薬局で売っていた薬用酒だが度数は38度もある。 
 次に挙げたいのは、スイスの梨酒ボン・ペーレ・ウィリアムスhttp://www.jrgermanier.ch/である。このワイナリーを訪れたことがあるが、梨の実が小さいうちに瓶を被せ、大きく実ったところで瓶ごと収穫して梨酒で満たすという贅沢な作り方をしていた。 
 アペリティフの多くがそうであるようにこれらをディジェスティフ(食後酒)としても構わない。
☆写真は梨の実が小さいうちに瓶を被せているボン・ペーレ・ウィリアムスの梨畑