“海外旅行の効用”でオーディオの泥沼から脱出

昨年の秋にパソコンをSONY VAIO VGC-RA71PL9に買い換えたが、使い始めて驚いたのはちょっとした音楽スタジオ並みの機能まで備えていることだ。CD-DVDのドライブも2つ備えているので音楽CDのコピーもきわめて簡単。せっせと、図書館から借りてきてはコピーさせてもらっている。なにしろ、録音可能な生CDは1枚50円という安さで売られているのだから。ビデオ録画用DVDに至っては、CDよりも逆に安いこともある。先週、渋谷のドンキホーテでは“お一人様ひと組”限定ながら10枚297円で売られていた。
 これまでに集めた音楽CDは1,000枚を超えてしまったのだが、その再生装置はアンプやチューナー、スピーカー、カセットデッキは20年前、CDプレーヤーも14年前のものだ。さすがに、音質の劣化も激しく最新の製品に比べたら性能も遙かに劣る。そこで、仕方なく買い換えようと思ったのだが、昔のように魅力的な製品が見つからなくて困ってしまった。オーディオ・ショップで売られているのは、薄型テレビと組み合わせたサラウンド・システムか卓上に置けるコンパクト・オーディオばかりが目に付き、手の届かない高価な舶来品を除いていわゆるピュア・オーディオに魅力的な品は見つからなかった。
 高校生の頃からオーディオの世界に迷い込み、今でも出ている季刊「Stereo Soundhttp://www.stereosound.co.jp/ssweb/index.htmlというオーディオ雑誌は、創刊号から50号ぐらいまでのバックナンバーが未だに手放せないでいる。なにしろ、文学者小林秀雄、小説家五味康祐といったそうそうたるメンバーが執筆陣で、捨ててしまうのはもったいない名文が並んでいるのだから。
オーディオの世界への興味はいまだにあるのだが、オーディオ装置に大金をかけるということはまったくする気がしなくなった。
 これも“海外旅行の効用”かと思うのだが、ウィーンの楽友協会でウィーン・フィルを聴いたり、ヴェネチアの旧フェニーチェ劇場で美しい声の響きを聴くと、オーディオ装置にお金をかけるのがむなしく思えてきたのだ。
昔、「オーディオ考古学」という、優れものながらも世に出てすぐに消えていった名品を紹介する楽しいページがあった。そこで、取り上げられていたのは、大型カセットの「エルカセット」や「8トラックカートリッジテープ」「オープンリール・デッキ」などの魅力的な製品が眺められた。実は、そのページにあった「資料御提供は東京在住の山口様です」とあるのは私のこと。ものを捨てられない私のオーディオ製品パンフレット・コレクションからお貸し出ししたものだった。
そういえば、先週テレビで放映されたブルース・ウィリス主演の映画「アルマゲドン」で、地球を惑星の衝突から救うために宇宙に旅立つ石油の井戸掘り技術者が、危険を冒す代償のひとつに「8トラックカートリッジテープを復活させろ」とあったのには共感を感じながらも笑ってしまった。
さて、今日の本題?だが、「オーディオ考古学」のように、もう一度見たいがそのホームページが消滅してしまっているという旅行関連のサイトがあることだろう。そういうときは、“インターネットのタイムマシン”Internet Archive Wayback Machine http://www.archive.org/web/web.php のボックスに「オーディオ考古学」旧URL http://www2.justnet.ne.jp/~savage/au.htmを入れて検索すると「Apr 30, 1999」のページhttp://web.archive.org/web/19990430054454/http://www2.justnet.ne.jp/~savage/au.htmなど、時系列で保存されているページを見ることができる。ただし、保存されていない下位ページも多い。
当欄の母体となっているホームページ「ユーロペディア」も旧URL http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5894/Internet Archive Wayback Machineに入れることで初期のページを振り返ることもできる。
☆写真は 季刊「Stereo Sound」創刊号(1966年12月発行)の表紙