アメリカの横断型ホテル・航空券価格検索エンジンの新顔

 当欄の昨年9月の記事で「アメリカで横断型ホテル・航空券価格検索エンジンの競争激化」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040928 という記事を書き、YAHOOのFareChasehttp://yahoo.farechase.com やOpodo、Zujiなど米国以外の有力サイトも含んだ65の旅行サイトから航空券料金情報を横断検索するMobissimo http://www.mobissimo.com/を紹介したが、昨年登場したもので一つ紹介し忘れたことに気が付いた。
 それは、Kayak http://www.kayak.com/s/index.jspというサイトだ。Kayakは、フライトやホテルのほかレンタカーやクルーズ、ヴァカンスパッケージも検索対象としている。Kayakには、詳細検索を初期画面に戻ることなく開始できるなど他の価格比較サイトにはない使いやすさもある。また、独自にホテルの口コミ情報や雑誌等メディアの評価記事、地図(Mapquest)、写真、概要やアメニティーの解説などのコンテンツを充実している点も比較サイトとしてはユニークだ。
 異なるデザイン、異なる機能の旅行販売サイトが乱立している現状は、消費者にとってひとつひとつのサイトの使い方をいちいち覚えなければならないという面倒さがつきまとう。そこで、それらを横断的にナヴィゲートするKayakのようなサイトが歓迎されることになるのだろう。Kayakは大手サイトに代わってワンストップ・サイトとしての地位を獲得することを目指しているのだろうが、低コストでの運用ができれば、消費者の利便性はもちろん、ホテルなどのサプライヤーにとっても歓迎されるであろう。
ベータ版運用が正式運用に切り替わった将来、KayakやMobissimo、Yahoo.farechase.comなどの価格比較エンジンはExpediaやTravelocityなどの高機能な大手販売サイトと今後どう棲み分けていくのだろうか。消費者側のメリットとしては、マイナーなサイトも含めた価格の比較がワンストップでできる点や航空会社などサプライヤーに直接申し込めるので大手旅行販売サイトが一部商品に課している手数料を支払わなくて済むなどの利点がある。
 デメリットは、大手サイトにあるような周遊型航空券の検索やホテルと航空券の組み合わせパッケージなどの高度な検索機能が使えないこと、(Kayakを除いて)商品に関する詳細説明や地図表示等のコンテンツが利用ができない点、大手サイトが意図的に検索対象となりにくいキャンペーン・ページなどに置くサプライヤーの特別提供料金等を見つけにくい点などが挙げられる。