郵便馬車の伝統を引き継ぐポスト・バスでヨーロッパを旅しよう

オーストリアでは、南部のシュタイアーマルク州の州都グラーツに滞在中、郵便バスと国鉄バスが合体してできたBBバスに乗って、Riegersburgという丘の上の城塞都市に足を延ばした。郵便バスは、中世以来の郵便馬車の伝統を引き継ぐもので、今でもかつての駅亭が停留場となっており、ホテルやレストランを営業している駅亭も数多く残っている。多くの国が郵便バスのシンボルマークに使っていたのはモーツァルト名曲“ポストホルン”でもおなじみの「郵便馬車が来たぞ〜」という合図に吹かれた郵便馬車の業者のホルンだ。
 その頃の馬車の旅の模様を知りたい方には、岩波文庫にもなっているメーリケ作の「旅の日のモーツァルト」という珠玉の短編を一読されることをすすめる。
 これは、プラハでの「ドン・ジョヴァンニ」初演のためウィーンから馬車で旅する道中を描いたものだが、文庫には地図も添えられているのでモーツァルト・ファンあるいは南ボヘミアに興味のある方は、このコースを再現するたびにチャレンジしてみられてはどうだろうか。
郵便バスの現代版であるPostbus http://www.postbus.at/や同種のローカルバス網を持つバス会社は、このような気ままな旅に大いに役立つはずだ。とくに、鉄道の通っていないような寒村を旅するときは重宝する。
ローカルバスのルートや時刻表などを調べるには、Googleなどの検索エンジンで地名とBUSという単語を組み合わせて検索してみるとよいだろう。「Vienna Budapest Bus」といった出発地、目的地+BUSという検索でも長距離バスはもちろん、バス利用のパックツアー、沿線ガイドなど夥しい数のサイトが見つかる。
ローカルバスのリンク集も多数存在する。世界の交通機関のリンク集であるRoutes International http://routesinternational.com/buslines.htmのBus, Tram & Trolley Sitesやバス関係のグローバルなリンク集BusWeb - Buses on the Web http://www.busweb.com/busweb.aspも要注目だ。とくに後者のEuropean Bus and Group Travel Informationの項にあるRoute Planner は各国のドライブ旅行のルート作りに役立つ。 
 ヨーロッパ各国間を結ぶ国際長距離バスの企業共同体Eurolines http://www.eurolines.com/のサイト、日本人に人気のドイツのロッマンチック街道や古城街道バスを運営するDeutsche Touring社のサイトhttp://www.deutsche-touring.com/のIncomingのページも旅行計画に便利だ。

モーツァルトが風に舞う―名作との出会い旅

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旅の日のモーツァルト (岩波文庫)

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