Google Mapsは誰でも応用できる“電子白地図”

Google Mapsについては、当欄でも「Googleの地図サービス 日本(ベータ)版http://maps.google.co.jp/が運用開始」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050715、「Googleの検索パワーと結びついた地図サービスGoogle Mapshttp://maps.google.com/http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050328などで触れているが、アメリカのGoogle Mapsには誰でも応用できる“電子白地図”のような機能があることも取り上げておこう。
 ひとつは、アメリカの主要都市でのタクシーやリムジンバスの現在地が検索できる機能「Google Ride Finder」サービス・ベータ版 http://labs.google.com/ridefinderだ。都市名や郵便番号、住所を入力すると、空港へのシャトルサービスなどを運営する会社の連絡先と、運行中のバスやタクシーの現在地が地図上にほぼリアルタイムで表示される。所在地を示すバルーンをクリックすると電話番号がポップアップ表示され、ホテルなどからここに電話して予約できる仕組みだ。
Google Ride Finder」の応用として、ツアー催行会社が自社ツアーすべての地球儀上での移動状況をウェブ上で図示し、一般消費者へのデモンストレーションに使ったり、危機管理に役立てたりといった使い方も考えられるだろう。
 「Google Ride Finder」の応用ではないが、旅行業者向けの「JATA世界旅行博2005」http://www.jata-wtf.com/jp/の中には、GoogleMap を利用し「世界旅行博参加国」の衛星マップ散歩ができるページhttp://www.jata-wtf.com/map/map_list.phpが加えられ、ヴァーチャルに参加国を訪問できるようにしてある。
 Google Mapsをベースにしたコミュニティーサービスも米国で始まっている。このほどスタートしたばかりのサービスをふたつ紹介しよう。
 一つは,World Pressが提供する「Google Sightseeing」http://www.googlesightseeing.com/Google Sightseeingは、観光スポットの衛星写真をネタに、自分の旅の思い入れや新発見などを伝え、他の訪問者とコミュニケーションを図るというサイトだ。利用者は自分のお気に入りの観光スポットの衛星写真とコメントを投稿していくことができる。
 もう一つは「Foundcity」http://www.foundcity.net/。これは、個人が自分の住む街などの中にお気に入りのスポットを記入したマイマップを作り、お気に入りのレストランやナイトスポット、観光ポイントなどをデジタル・マップ上に登録していくというシステム。ブログ感覚で簡単に地図付きのデジタル・ガイドブックが作れるという仕組みだ。ヴォランティア・パワーで全世界をカバーするデジタル・ガイドブックが出そろえば、旅行者にとって心強いツールとなるに違いない。
 振り返ってみれば、「TRON」構想を唱えた東大教授坂村健氏は99年9月20日日経新聞朝刊に「情報新文明世界へ」という記事で夙に「情報新文明世界」の到来を訴えておられた。
同氏は「無償の活動を総生産に組み込めない経済モデルは、いずれ時代遅れになる」と主張し、「無償の活動」の一例として、「歩いていると由緒ありげな“石地蔵”が目にとまる。すると、“地蔵”に張り付けられたチップと携帯端末が交信し、丁寧な歴史解説と、関連情報へのリンクが表示される。そしてページの最後には入力者の名前が....」「このように、チップが埋め込まれるだけでなくコンテンツ(情報の内容)があってはじめて『世界』の情報化は実現する。そして、そうした一木一草までの情報入力はボランティアベース以外に不可能である」と述べ、「記述のデータ規格が問題となる」と指摘しておられた。 「記述のデータ規格」がブログのRSSなどで解決の方向に向かい、Google Mapsのような誰でも応用できる“電子白地図”の提供が始まった現在、「情報新文明世界へ」の大きな一歩がクリアされたと言えるだろう。

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