旅心をかき立てる名曲の探し方

今日は、以前メールマガジン「海外個人旅行 特別講座」にも書かせてもらった話から書かせてもらいたい。5年ほど前の3月頃だったと思うが、NHK BSのペレス・プラド(Perez Prado)の伝記番組「マンボ No.5」で哀愁を帯びた印象的なラテン音楽が流れた。番組によれば、この「エキゾチック・アメリ組曲」(Exotic Suite of the Americas)の「二つの世界」(Theme of Two Worlds)という曲は、キューバの政治体制を嫌って故国に戻ることのなかった“マンボの王様”ペレス・プラドが望郷の念をこめて作曲したもののようだ。 しかし、キューバではチェ・ゲバラ国葬ゲバラの伝記映画のテーマ音楽として愛聴されるようになったという。ゲバラ国葬の指揮と映画の制作を行った監督がNHKの番組に登場して話していたが、キューバ政府は英雄の葬送に国を去った者の曲などもってのほかと主張したものの、結局、監督の言い分を聞いて、国民的愛聴メロディとなったそうだ。その後、ペレス・プラドにキューバのジャーナリストがその旨を告げたところ「大変光栄だ」と答えていたシーンを番組中でも流していた。
 残念なことにビデオに録っていなかったが、番組が終わってからもこの曲とモノクロームキューバの風景が頭にこびりついてどうしても離れない。翌日、こういうときに頼りにしている東京・渋谷のタワー・レコードhttp://www.towerrecords.co.jp/で原題も分からぬまま「エキゾチック・アメリカ」の「二つの世界」を探して欲しいと頼むと時間をかけて熱心にコンピューターで探してくれた。しかし、正確な原題が分からなかったせいもあってアルバム名などは判明はしなかった。
 ちなみに、このタワーレコードの洋書売り場には充実した品揃えのガイドブック・コーナーがあり Lonely PlanetMichelin、Arthur Frommer'sなどのガイドブックを探すのには絶好の場所だ。旅行雑誌や世界中の新聞も販売しており、各国の料理や酒、フォークロア民族音楽に関する本のコーナーも品揃えが豊富だ。
 さて、それでも諦めきれず、音楽好きの人たちが集まるカフェバーなどにお願いし、掲示板に貼ってもらったりしたところ、西麻布の行きつけのワイン・バー から朗報が舞い込んできた。何度かお目にかかったことのある某レコード会社のKさんが、正確な曲名を検索してくださったばかりか、おそらく日本で1組しかないその10枚組のアルバムを探し出してくださったのだ。あらためて、原題を世界中のCD販売サイトで検索してみると、どこも「廃盤・入手不可能」と出てきた。ひょっとすると、世界で最後の1組だったのかもしれない。
旅心をかき立てる名曲に出会ったら、その「曲名(あるいは作曲家名) 旅行」といった複合検索をGoogleなどの検索エンジンで行ってみるとよい。「マンボ・ナンバー5 旅行」と検索すると現地の音楽事情に触れたサイトがいくつか見つかった。もちろん、「原題travel」といった英語による検索ではさらに多くのサイトが見つかる。
数日前にも、昔LPで持っていた「ドイツ戦前映画音楽集」がCDで出ていないかと検索したところ、「映画収集狂」の「ドイツ・オーストリア映画名作選」http://sentence.exblog.jp/4029742/や「尾張から」というホームページの「音楽.芸術」のページhttp://www.h2.dion.ne.jp/~owari04/zakkann1.htm など戦前のドイツ映画の音楽にふれた記事が見つかった。また、Amzon.co.jp でドイツ戦前映画音楽集"Classic German Movie Songs: The UFA Years"を見つけ、早速注文した。
30年近く探し続けて、どうしても見つからない曲もある。五木寛之のFM深夜番組で流れたニューオーリンズ・ジャズの葬送行進曲でEternal Peace という曲だ。確か、Jazz Beginというアルバムに納められていたはずだが、ニューヨークのCDショップでも見つからなかった。

ドイツ戦前映画音楽集

ドイツ戦前映画音楽集