地球の窮状を訴える「地球白書 2006-07」が出版された

6月5日にワールドウォッチジャパンから「地球白書 2006-07」が出版された。ワシントンD.C.のワールドウォッチ研究所(Worldwatch Institute)http://www.worldwatch.org/ が発行した“State of the World 2006”の日本語版で、地球の未来を握る新超大国「中国とインド」のほか、自動車に変わる輸送システムの構築、BSE鳥インフルエンザの実態、畜産糞尿型ミニ・チェルノブイリの発生、ニワトリ・ヒト・そしてブタの密集が感染症発生のリスクを増大させる、再生可能な石油代替エネルギーであるバイオ燃料、肉食を減らすことが水不足の解消につながる、高まるナノバイオテクノロジー災害の危険度、サンゴ礁マングローブ林は自然の防波堤、などさまざまな観点から地球の窮状と対応のヒントを解説している。
「地球白書」は、発展を続ける中国とインドの石油や食料の需要を支えるためには「もう一つの地球が必要になる」、「また、両国以外の途上国の経済発展を見込めば、今後数十年以内に『もう一つ』のみならず『複数の』予備の地球が必要」で、「現在の先進国の発展モデルが持続可能でないことは明かである。それゆえ、あらゆるものを見直すか、あるいは資源をめぐる争奪戦と経済崩壊という下方スパイラルのリスクをあえて冒すか、という選択に、私たちは直面しているのである」と説いている。
詳しい内容は「地球白書 2006-07」http://www.worldwatch-japan.org/BOOKS_SYOUKAI/HAKU_2006-2007.htmlで見ることができる。
 ワールドウォッチジャパンhttp://www.worldwatch-japan.org/ は、1988年から隔月の地球環境総合誌「WorldWatch」の日本語版を『ワールドウォッチ』として刊行している。2000年10月には、ワールドウォッチ研究所との協議により日本語の広報機能を果たすために、ホームページを開設した。「レポート」http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/index.htmのページには、「ボトル入り飲料水は資源の無駄使い」、「生まれ変わる北京 快適で公平な都市交通への一歩」、「鳥インフルエンザ」、「畜産物を大食するアメリカ」、「アスベスト問題でも生かされなかった予防原則」、「世界の鳥が危機にさらされている」などの論文が掲載されている。
 「急拡大する中国経済が世界経済の未来を再考させる」という論文には、「主要な商品、たとえば食料では穀物と肉、エネルギーでは石油と石炭、工業では鉄鋼といった生産物−の中でも、中国は、いまや石油以外でアメリカの消費を上回っている。中国は、アメリカのほぼ2倍の肉(中国6700万トン、アメリカ3900万トン)、そして2倍以上の鉄鋼(中国2億5800万トン、アメリカ1億400万トン)を消費しているのである」と書かれていた。
ワールドウォッチジャパンは、無料で購読できる「環境メールマガジン」も月に2〜3号発行している。「環境関連リンク集」http://www.worldwatch-japan.org/LINK/index.htmも貴重だ。
 なお、「地球白書 2005-06」http://www.worldwatch-japan.org/BOOKS_SYOUKAI/HAKU_2005-2006.htmlにはグリーンクロス・インターナショナルhttp://gcinwa.newaccess.ch/index.htm会長でもある ミハイル・ゴルバチョフ氏が「本書に寄せて」を書いている。また、この版では旅行が地球環境に与える影響についてもページを割いていた。

目次
第1章 中国・インド―地球の未来を握る新超大国
第2章 BSE鳥インフルエンザ―工場式畜産の実態
第3章 川と湖―生態系を守ることが水を守る
第4章 バイオ燃料―再生可能な石油代替エネルギーを開発する
第5章 ナノテクノロジー―夢の技術の開発は市民権を得てから
第6章 水銀―地球規模の拡散を防ぐための提案
第7章 災害―不幸なインパクトを和平交渉の好機に変える
第8章 WTO―貿易と持続可能な開発を調和させるための改革を
第9章 中国―NGOを中心に環境市民社会を育成する
第10章 CSRNGO・SRI―環境の世紀にふさわしい企業を目指して

地球白書〈2006-07〉―ワールドウォッチ研究所

地球白書〈2006-07〉―ワールドウォッチ研究所

  • 作者: クリストファーフレイヴィン,日本環境財団環境文化創造研究所,Christopher Flavin
  • 出版社/メーカー: ワールドウォッチジャパン
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本
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State of the World 2006

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