“眺めのいい部屋”に泊まりたい

イギリスの出版社Conde Nastが出している月刊の旅行雑誌Traveller http://www.cntraveller.co.uk/に名物連載“Room with a view”がある。ホテルの部屋から眺めを撮った写真を中心とする1ページの連載だが、写真を撮ったホテルの部屋番号とURL等が記載されているので読者は、その部屋を指定して予約することもできる。
 かつては、“Room with a view”のバックナンバーも画像付きで楽しめたのだが、今は、最近の掲載リストがSearch機能で出せるだけとなっていた。昔、バックナンバーで見つけた東京を代表するRoom with a viewが銀座第一ホテルの東京タワーが見える部屋の写真になっていて少々落胆したことを思い出した。
なお、米語スペリングのTraveler http://www.nationalgeographic.com/media/traveler/はNational Geographicが出す全く別の雑誌で、こちらは「Site Archive」からバックナンバーを読むこともできる。
さて、考えてみれば、チェックインから就寝まで2時間、睡眠が8時間、起床から洗面・朝食・チェックアウトまで2時間と慌ただしく滞在しても12時間はホテルで過ごすことになる。つまり、海外旅行中の少なくとも半分の時間はホテルで過ごす計算である。
そうであれば、その土地の旧市街や自然の美しい景色が窓から眺められる部屋に滞在して、せっかくの時間をエンジョイしたいものだ。とくに連泊するときはなおさらである。

個人的にも忘れられないホテルの部屋からの眺めがいくつもある。強く印象に残るのはスイスのツェルマットにある5つ星Zermatterhof http://www.matterhorn-group.ch/en/zermatterhof/index.phpに泊まったときのことだ。夕刻にチェックインしてから、食事に降りるのも忘れ部屋のバルコニーに椅子を出して、マッターホルンが陽が沈みきるまでの七変化の美しさを2時間ほど眺めていた。もちろん、ミニバーのワインを飲みながらだが。
ツェルマットではメインストリートにあるシャレー風のホテルWalliserhof http://www.reconline.ch/walliserhof/gesamt.htmも忘れられない、広々としたトイレで腰掛けると離れた窓がちょうど額縁のようになって真ん中に雄峰マッターホルンが収まるのだ。必要以上に個室に長居したことを覚えている。
ツェルマットでは標高3100メートルほどにあるゴルナグラード展望台のGornergrat.Kulmホテルhttp://www.matterhorn-group.ch/en/gornergrat/index.phpもおすすめだ。私は泊まったことはないがこのホテルのテラスで5時間近くも飽きずに雲が巻くマッターホルンを眺めていたことがある。展望台からはイタリアとの国境に聳えるモンテ・ローザ(4634m)も見える。泊まった友人によれば、ホテルは夜に星を観測するナイトツアーを催してくれたそうだ。
マッターホルンをイタリア側のチェルヴィニアから見たときに、ツェルマット側よりも間近に迫る姿に感動したこともある。取材でチェルビニアのHotel Punta Maquignaz http://www.puntamaquignaz.com/を訪れたときに、マッターホルンからそのままスキーで降りてこられそうな絶好の位置を占めており、部屋の窓からはマッターホルンが独占できたことを覚えている。

眺めのいい部屋』はもともとフォースターの小説の題名でフィレンツェのアルノ側に面した位置にモデルとなったペンションがかつてあった。映画『眺めのいい部屋』のロケを行ったペンション同様いずれも現在は営業していないが、近くの4つ星ホテル・リッツがその代わりとなっている。ここの“眺めのいい部屋”での滞在記はメールマガジン「海外個人旅行・特別講座」http://www.geocities.jp/euro747/euroback.htmlの2001年1月末から2月にかけての4回の連載で詳しく紹介させてもらったが、トスカーナ独特の群青色の夜空にライトアップされたミケランジェロの丘のダビデの像が浮かび上がる様は息を呑むほど美しかった。
リッツはほかに同じ家族が経営する2軒の3つ星ホテルを持っており、その日本語ホームページ“イタリアの素晴しき古都フィレンツェへようこそ!”http://www.florenceitaly.net/nihongo/index.htmlから景色を楽しむこともできる。

生まれて初めての海外旅行で泊まったホテルはパリのサン・ジェルマン・デ・プレ近くにある2つ星Hotel Buci http://www.bucihotel.com/だった。このホテルの界隈は朝市が立ち、その売り声で起こされたことを覚えている。通りの眺めを見ているだけでも飽きることがなかった。このホテルのホームページを探し出してみたが、4つ星のしゃれたデザイナーズ・ホテルに“昇進”していたのに驚かされた。またホテルのサイトには、フランス語、英語のほか中国語のページができていた。日本語のページがないのはご時世なのか。
 30年近く前に泊まった界隈をフランステレコムの地図サイトShops by Street http://wfc.pagesjaunes.fr/rc.cgi?lang=en で見ると、見覚えある店やレストランが数多く健在だったのでほっとした。
フランスではガイドブックで有名なミシュランのホームページVia Michelin http://www.viamichelin.com/が眺めのいいホテルを見つけるのに役立つ。欧州25カ国のホテルやレストランのガイドブック・コンテンツが無料公開されており、「見晴らしがよい」「素晴らしい展望」「大変静かなホテル」などがアイコンで印されている。
登録(無料)するとMy Profile機能が利用可能となり、泊まりたい眺めのいいホテルやレストランだけをスクラップしたオーダーメイドのガイドブックを作ることもできる。ミシュランのルートプランナー機能と合わせてインターネットを通じた旅行プランニング作りが可能だ。
 上述した懐かしいホテルのオリジナル・サイトはGoogle検索エンジンを使って見つけたのだが、オリジナル・ホームページには部屋番号入りで画像を紹介しているところも多い。また、直接メールを送って予約をすれば「海側の部屋」「マッターホルンが見える部屋」といった細かな指定もしやすい。
☆右上の写真は Gornergrat Kulmホテルhttp://www.matterhorn-group.ch/en/gornergrat/index.phpからのマッターホルンの眺め

Glacier's Historic Hotels And Chalets: View With A Room

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