学生気分で長期滞在旅行のすすめ

ヨーロッパをユーレイルパスで3ヶ月周り、その後ウィーンの街に1年住んでから小遣い帳を比べてみたことがある。驚いたことに旅行中の3ヶ月の支出と1年の滞在費がほぼ同じであった。もちろん、学生ホテルやアパートに住み、学食や自炊で賄い、物を安く売っているところも分かるようになるのだから当然なのだが、それにしても違うものだと感心した。そして、住み慣れてくるとオペラ座の立見席(今でも€2=310円!)やウィーン・フィルの立見席などの文化的催しも安いのでほぼ毎晩出かけるようになった。
 それに、異国で鍋釜を揃え自炊してみるとその国の裏側が見えてきて実に興味深く、勉強になる。たとえば、アパートで出すゴミの量が現地の人は我ら日本人の1/3ほどなのだ。彼らは無駄な包装は断り、要不要か迷うようなものは買わない。テレビやCD音楽よりも生の舞台や演奏が安く楽しめるのだから不必要に高価な電気製品も買わない。そして、週末は市が安く土地を提供する郊外のウィークエンドハウスに自転車で出かけて家庭菜園を耕すといった姿を学ぶことができた。
おかげで、日本に帰ってからもオーディオに金をかけるより、オーケストラの定期会員になって生演奏を安く聴き、健康のため自転車で1日20kmは走り(冬は無理だが)、ヴェランダで家庭菜園の収穫を楽しみ、現地で覚えた料理を作るといったことが実践できている。

 一カ所滞在が有利なのは1〜2週間の旅でも同じだ。安ホテルでも交渉すれば1週間以上の滞在は大抵割り引いてくれる。3食付きで安いレートを設定している宿も多い。市内交通費もウィーンを例に挙げると観光客用の3日間フリーパスは€12だが、8日間パスは€24だ。欧州のほとんどの国では7〜9月の夏休みに帰省中で空いた学生寮の部屋を一般観光客に“学生ホテル”として貸し出している。1泊シングルで3,500〜7,500円ぐらいと安く、自炊が可能なところも少なくない。
 こういった学生ホテルはインターネットでStudent Residenceやドイツ語のStudentenheimで検索してみても見つかる。試してみると、マドリッドの中心ソル広場近くにあるEASOという学生援助組織の寮(大学生限定)のホームページが見つかった。スモール・シングルで1ヶ月€350と書いてあった。学生ホテルはISTC (国際学生旅行連盟)のサイトhttp://www.istc.org/でも見つけることができる。また、そこにリストアップしてある若者向けのTravel Officeも長期滞在者には役立つだろう。

夏に毎年2〜3ヶ月をヨーロッパで過ごすというシルバー年齢のご夫婦に出会ったことがある。なんと優雅な夏休みをと思ったが、聞いてみると実に合理的にロングステイのスタイルを編み出しておられた。
 各国の大学などが夏期に主催する「外国人のための語学講座」に参加するという方法だ。一昨年はペルージャでイタリア語を、昨年はサラマンカスペイン語を勉強。今年はウィーンでドイツ語を学んだという。
 ヨーロッパでは結婚している学生も多いので設備の整ったツインの寮の部屋もあり不自由はしない。その上、どの学校も小旅行や演劇鑑賞、民族舞踊や音楽の講座などを用意しているので習いたての言葉を通じてその国の文化に深く接することができるという喜びが味わえることがなによりだそうだ。
 それに、同世代の参加者も思いのほか多く、ウィーンでは、音楽の短期セミナーに毎年参加するという、ピアノを趣味で弾いている同年輩の女性とも知り合ったそうだ。
 おまけに、滞在費が安いので飛行機代を含めても日本国内を旅行しているより安上がりだとか。また、日本で翌年学ぶ言葉をラジオやテレビの語学講座で予習し、前年習った言葉の復習もするので日々の暮らしにも張りができるという。滞在先で学んだ料理法や生活の知恵、健康法も大いに日常生活に取り入れているとのこと。「暮らすように旅し、旅するように暮らす」を見事に実践しておられた。

 ウィーンでの、語学・音楽の短期セミナーに関しては、日通旅行が提供するオーストリア旅行情報「オーストリアデスク」http://www15.nittsu.co.jp/travel/austria-desk/の「語学・音楽研修旅行」http://www15.nittsu.co.jp/travel/austria-desk/study/index.htmlを参照いただきたい。
 当欄関連過去記事:「長期滞在者向けの情報の宝庫でもある留学生の現地発信サイト」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20041019

■今日のブックマーク&記事■
Le Matin Online“Louis Vuitton: les villes qui montent” http://www.lematin.ch/nwmatinhome/nwmatintendances/le_matin1/louis_vuitton__les.html 
全9冊で世界31都市を案内するルイ・ヴィトンシティ・ガイド2007年版(英・仏語版)の紹介記事(仏語)ルイ・ヴィトンの日本語サイトhttp://www.louisvuitton.com/web/flash/index.jspで「シティ・ガイド」と検索すると「ルイ・ヴィトンシティ・ガイド パリ日本語版」の案内がある。
☆右上の写真は ウィーン大学 (Universität Wien) http://www.univie.ac.at/

Study Abroad: Travel and Vacation in College

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