地球環境のポイント・オブ・ノー・リターン

 最近、航空用語の「ポイント・オブ・ノー・リターン」(帰還不能地点)という言葉が気になって検索してみた。本来の意味は、飛行機が出発空港に帰ろうとしても燃料不足で帰れなくなる地点で、この地点を過ぎると、目的空港に、ひたすら飛び続けるしかないというポイントを意味する。私の記憶では、離陸滑走中に、この地点を過ぎれば離陸を中止することができず、飛び立つしかないという地点を指すこともあったようだ。
WIKIの英語版で「POINT OF NO RETURN」をhttp://en.wikipedia.org/wiki/Point_of_no_return検索してみると元々は、シーザーがルビコン川を渡ったときの言葉に由来しているようだ。
いずれにしろ、この言葉には人生の折り返し点のような深い意味合いが感じられ、さまざまなシチュエーションでも応用されるようだ。
 そう言えば、アンドリュー・ロイド・ウェバーが作曲した「オペラ座の怪人」にも「THE POINT OF NO RETURN」という名曲があった。

しかし、検索してみて分かったのはこの言葉が最近、環境関連のキーワードとして盛んに使われていることだ。
 “持続可能な2025年のために地球の「たりないピース」を見つけていくプロジェクト−環境・社会問題に意識が高い著名人の方々と、NGO/NPO、教育・研究機関、企業、国際機関、行政などとのコラボレーションのなかから、より多くの人に地球について考え、行動してもらうきっかけとなるコンテンツを発信していきます”というサイト「2025PROJECT」http://www.2025.jp/pc/index.htmlの「2025プロジェクトへのメッセージ」 http://www.2025.jp/pc/column/column005.htmを読むと、「ポイント・オブ・ノーリターンは何時か」という興味深い記事があった。一部を引用させていただくと....
 「2005年から2006年にかけて、"地球温暖化"に関して更に多くの新しい科学的知見が得られた。その結果、人類の産業経済活動が原因の気候変動によって大気、海洋の温暖化が生じていることはほぼ確実である。地球の気候システムの巨大な熱的慣性のためにある時点(ポイント・オブ・ノーリターン)を過ぎると、たとえそれ以降温暖化効果ガスの放出を全面停止したとしても、それ以下に抑制したい気候ターゲットを突破して気温上昇は進んでしまう。このために"地球温暖化"問題へは可能な限り早期の対策が求められるのである。それでは地球温暖化のポイント・オブ・ノーリターンは何時頃であろうか。二酸化炭素(CO2)のような温暖化効果ガスの放出に対して、大気は10年程度、海洋は100年以上の時間をかけて応答することを考えると、大ざっぱに言って気候ターゲットを突破する年の10年程前頃がポイント・オブ・ノーリターンの年であると考えられる。そうすると高度経済成長下の気候シミュレーションの結果によれば(『気候変動+2℃』(ダイヤモンド社、2006年参照)、1.5℃突破のポイント・オブ・ノーリターンは2006年頃であり、2℃突破のポイント・オブ・ノーリターンは2026年頃となる。」とのことだ。

 12日のSANKEI WEB に「2040年夏、北極の氷ほぼ消滅 」http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/061212/wld061212003.htmという恐ろしい記事があった。米国立大気研究センターとワシントン大などの研究グループが過去のデータをもとにスーパーコンピューターを使って分析した結果「これまで70年夏ごろには消滅するとの予測も出されていたが、今回、30年早い結果となった」との記事だ。
映画「ザ・デイ・アフター・トゥモロー」で描かれた世界が、ひたひたと近づいてきているようだ。

■今日のブックマーク&記事■
□「地球環境ポータルサイトhttp://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/
気象庁が提供している気候変動や環境、海洋に関する情報および関連機関のホームページへのリンクを集めたサイト。
□日経エコロジー 連載コラム「すぐそこにある危機」http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/z/
□Geen.tv http://www.green.tv/  (英語)
国連環境計画http://www.unep.org/グリーンピースhttp://www.greenpeace.org/international/などの協力で運営されている温暖化、水資源、異常気象、環境汚染、野生生物など環境問題を扱った映像番組やニュースを民間から集めたサイト。
□EnvironmentNews http://www.ens-newswire.com/index.asp
1990年に開設された独立系の環境問題に関するニュース・サービス。飛行機が地球温暖化を引き起こしている温室効果ガス排出を増加させていることに関する記事“European Aviation Could Join Climate Emissions Trading Schemehttp://www.ens-newswire.com/ens/sep2005/2005-09-27-01.asp などがある。
□「気象庁地球温暖化予測情報」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050523 

気候変動 +2℃

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メタルカラー烈伝 温暖化クライシス

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