旅先で、郷土色豊かなファスト・フード体験を

 欧米のレストランに入ると、大きな肉のかたまりをメインとするフルコースを苦もなく平らげる姿に驚かされる。しかし、この光景が誤解も産んでいるようだ。欧米の庶民にとってもレストランでの食事は、友人と久しぶりに再会したり、何らかの記念日といった“ハレ”の料理なのだ。
 現地の友人に聞いてみると、ホームパーティー以外で肉料理を食べるのはせいぜい週に1、2度という人が多かった。欧州の学生寮に住んでいた頃も、大柄な男たちが、夜は、ハムやチーズとパンといったコールド・ミールで軽く済ませている姿をよく目撃した。
それなのに、われわれ旅行者が毎食、不慣れなフルコースを食べていたのでは体調を崩しかねない。成人病の元というお医者さんもいた。そこでおすすめしたいのが、ファスト・フードと呼ばれる注文してすぐに食べられたり、持ち帰りが可能な軽食だ。
これなら量の調整も容易。郷土色豊かなものを見つけたり、朝市や夜祭りなどを探訪したついでに調達といった楽しみも味わえる。
 弁当の用意ができたら公園や町外れのピクニックコース、川べりのプロムナード、街の夜景や大自然の夕暮れが眺められる場所などに出かけて、景色をアピタイザーに食事を楽しもう。
 弁当の調達には、まずスーパーやデパート、デリカテッセンの食料品売り場を覗いてみよう。ランチボックスやサンドイッチ、あるいはそれらを手作りする材料が見つかるはずだ。最近は東洋風の弁当を置いているところも多い。市場が見つかればより新鮮で地方色豊かな素材に出会え、その土地独特のファスト・フードを市場勤めの人のための食堂やスタンドで試食するチャンスもあるだろう。
各地のデリカテッセンを見つけるには、当欄「デジタル・ガイドブックwCities.com がリニューアル」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20061206でふれたwCities.comのChoose Your City http://www.wcities.com/en/continent/0/continent.html画面から、調べたい都市を選び、左フレームのShopping→Specialty→Specialty Food Storesと進めば見つかるだろう。
 たとえば、ミュンヘン(Munich)のページからShopping→Specialty→Specialty Food Stores と開き、ヨーロッパ最大級のデリカテッセンKäfer http://www.feinkost-kaefer.de/ のページを開くと、トップバーのKatalogのページを開くと取り扱いワイン・リストなどが価格とともに表示される。
海外では寿司ブームのおかげで寿司弁当にもこと欠かない。海外の寿司ファンが作ったThe Sushi World Guide http://sushi.to./という楽しいホームページまである。中華料理店もほとんどの店が持ち帰り可能だ。
 持ち帰りの代表は、ハンバーガーだろう。これも国ごとに個性があって面白い。イタリアではトリッパ、ウィーンではシュニッツェル、トルコではケバブ、スペインではイカのリングや海老などを挟んだものがあり、ドイツでは酪農製品たっぷりのアルペン・マックというものにもお目にかかった。マックについてはMcDonald's Country/Market Sites http://www.mcdonalds.com/countries/index.html が100カ国以上に渡るマックを紹介していて面白い。
イギリスのフィッシュ&チップス、ベルギーのフライド・ポテト、ドイツ語圏のソーセージ、イタリアのピザ、フランスパンのサンドイッチなどもポピュラーだ。
 私のおすすめは、フランスやオーストリアハンガリーなどのクレープ(後者ではパラチンケンなどと呼ぶ)だ。ジャムや蜂蜜などを使った甘口ばかりではなく、アンチョヴィなどの魚介類やハムを具材にした辛口仕立ても多く、お好み焼き感覚で楽しめる。

 Openair-Market http://www.openair.org/ (英語)は、青空市や蚤の市、露店、ファスト・フード、農産物市に関する総合情報サイトだ。Practical information のOpen-air markets on the Webのページにはムンバイやイスタンブールのバザール、パリの蚤の市、寿司屋もあるシドニーの魚市場、タイの水上市など、旅行者が覗いてみたい“市”が地域別に網羅されており、ファスト・フードの店を探すのにも役立つはずだ
 foodtourist.com http://www.foodtourist.com/は、食と酒にうるさい人のための優れた情報源だ。Type:欄でFood storeやMarket、Cook book store、Wine store、Recipe、Restaurantなどと選び、都市を選択すると求める情報が出てくる。 

ファスト・フードを楽しむための小道具についてもふれておこう。市場などで買い物をしたり庶民的なレストランで余ったりしたときは、チャック付のポリ袋やタッパウェアのようなものがあると便利だ。小型のラップやアルミフォイルも役に立つ。機内食で余り気味な調味料やジャム、ドレッシングのパックも重宝する。ホテルの部屋のスチームで弁当を暖めたり、使い捨てカイロを保温剤に使ったりという工夫も楽しい。
 私のウラワザは、薄型の飲料容器を用意し、ホテルのミニバーの冷凍部分で凍らせるという手だ。保冷剤代わりになる上に、夏は溶けた冷水がなによりも有り難い。
当欄関連過去記事:
「食いしん坊の旅心をくすぐってくれる22のサイト」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20060106
エスニック料理とクリスマス料理に関するサイト」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20051111

■今日のブックマーク&記事■
□「サイバー大学http://www.cyber-u.ac.jp/ 
 ソフトバンクグループと福岡の企業が中心となって設立する予定の全授業をネットで行う通信制の株式会社立四年制大学。「IT総合学部」「世界遺産学部」の2学部で来年4月に開校予定。「世界遺産学部」は、“世界遺産という人類が共有し、未来に残すべきかけがえのないものを「学び」「護り」「残し」「活かす」ことを通じて、人間の尊厳性を高めることを主眼におく学部です。世界遺産の概念や、歴史的背景、地理的な状況、存在価値などを広い範囲で学習・検証し、世界遺産に関連する科学技術、データベースの作成、遺産保護の方法、運営母体の経営、企画能力についても学びます”とのことだ。
更新情報欄に、“吉村作治講演会ライブ中継のお知らせ”があり、2007年(?−2006年の間違いと思われる)12月15日(金)18:30より、エルガーラホール(福岡県福岡市)8階大ホールにて、吉村学長の講演会を実施。「教育未来予想図〜サイバー大学という新しい 『学び』のスタイル〜」というテーマで、吉村学長が教育のあり方、サイバー大学設立の思いなどを語りますとのことだ。
 当日はストリーミング配信によるライブ同時中継も行う予定という。時間になったらライブ画面をこのページで公開しますと書かれていた。
□「グローバル・ビズ・ゲート」http://www.globalbizgate.com/ 
“国際ビジネスに関する情報を発信したい人と求める人をつなぐ場を提供することで、日本と世界の貿易・海外投資の円滑化に貢献する”というサイト。
貿易実務、ビジネス情報・ニュース、各国情報・統計、国際ビジネス人材育成・活用、関係機関・団体、地域・国別のカテゴリ別リンク集がメインコンテンツ。「地域・国別」でオーストリアにオーストラリアのサイトがリンクされているという“国際感覚”が気になる。
□「旅ログ」http://blog.hicbc.com/blog/travelblog/
中部日本放送で毎週金曜放送のテレビ番組「旅ログ」の番宣ブログ。河井日奈子という担当者が“旅の魅力をブログで伝えます”。

Jacques Pepin Fast Food My Way

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スーパーファストフード―健康にいい素材を‐手早く組合わせる‐洋食メニューと料理法

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