SARSや鳥インフルエンザ、A・B型肝炎、マラリア、腸チフス、エイズ、デング熱など世界にはさまざまな感染症が発生している。また、海外旅行の普及と国際移動手段の発達により、新手の感染症が思わぬスピードで世界中に広がる危険性も増えてきている。
そこで、海外に旅立つ前に感染症の発生の状況や予防法を身につけるのに役立つサイトをいくつか紹介しておこう。
先ず、最初に対象を旅行者に絞った分かりやすいサイトから紹介しよう。主に海外旅行を取り扱う旅行業者の業界団体である日本旅行業協会(JATA) http://www.jata-net.or.jp/が開いている「感染症〜これだけ知っていれば怖くない!」http://tabitokenko.visitors.jp/を見てみよう。サイトの内容の監修は、「海外勤務健康管理センター」の先生が行っている。題名からは「感染症」に限った情報サイトかと思われるが、実際には旅行者が旅先での健康管理に必要な幅広い情報が掲載されている。
「地域別情報」には各地域の、「注意が必要な感染症は?」「旅先でどのようなことに注意するの?」などの記事がある。「医療情報」のページには各国の病院、薬局、救急車などのあらましが載っている。「旅の必需品」には英文診断書や予防接種記録表、海外旅行傷害保険などの“必需品”についての説明がある。「情報収集」には旅先の健康情報収集に便利なリンク集がある。
「感染症」についてひととおり目を通したら、最後に置かれた項目「旅先で健康に過ごすための10ヶ条」を復習ついでに熟読するとよい。海外での健康管理のチェックシートとしてプリント・アウトしていくのもよいだろう。
ついでに、日本旅行業協会のホームページ本体にも目を通しておこう。業者向けのページもあるが、一般旅行者向けの情報発信も充実している。「安心・安全の旅」の項には、「安全な海外旅行のヒント」、「JATAボンド保証制度のご案内」、「航空会社の安全対策情報」、航空機搭乗時の健康管理「快適な空の旅のために」などの記事がある。
「旅のあれこれ」の項には、「旅と健康」、「ホームステイツアー」、「バリアフリー旅行」、「エコツアー」、「通関手続きのご案内」、「ツアー登山」などの情報も発信している。
「旅行会社店舗検索コーナー」からは、日本旅行業協会に加盟する旅行業者および旅行業者代理業者の支店・営業所を、所在地・営業時間から検索することができる。業者等がホームページを開設している場合、「営業所案内情報」からリンクも張られている。
「消費者相談コーナー」の項の「消費者相談室の業務」、「旅のトラブル あんなこと・こんなこと」、「新旅行業法・約款対応旅のしくみ」も一読しておくとよいだろう。
感染症情報の収集、外国の感染症機関との情報交換、感染症予防戦略の研究、それらの情報の国民への提供を目的とする国立感染症研究所「感染症情報センター」http://idsc.nih.go.jp/index-j.html のサイトにも旅行者に役立つ感染症情報が分かりやすく掲載されている。
97年4月に国立予防衛生研究所が「国立感染症研究所」と名称変更になり、それに伴って、感染症情報センターが発足し、後にこのサイトが開設された。
「最新情報」には「高病原性鳥インフルエンザ-エジプト」、「インフルエンザ流行レベルマップ」など該当地域に出かける旅行者が関心を持つべき海外の動きが速報されている。
「疾患別情報」から感染症ごとの情報をサーチすることもできる。発生地域などに旅立つ人はサイトマップから「輸入感染症(旅行者感染症)」や「感染症発生動向調査週報」のページもチェックしておくとよいだろう。
厚生労働省検疫所が運営する「海外渡航者のための感染症情報」http://www.forth.go.jp/ でも、「海外渡航者が渡航先で感染症にかからないために、渡航者向け、旅行関係者、医療従事者向けに海外での感染症情報や医療情報の提供」を行っている。Topics(検疫所最新ニュース)という項を開くと、バックナンバーも含めた膨大な感染症関連ニュースを閲覧でき、各記事から流行地域などを印した「地図入りパンフレット」も開くことができる。
厚生労働省の「海外渡航者のための感染症情報」の「お役立ち情報」には、「世界で流行した主な感染症」の一覧や英語、仏語、ドイツ語、スペイン語、中国語(北京語&広東語)、韓国語の「医療会話集」があり便利だ。
狂牛病(BSE)やSARS、エボラウイルスなど、動物が関係する疾病の予防と治療に関しては、独立行政法人“動物衛生研究所”http://niah.naro.affrc.go.jp/index-j.htmlが運営するホームページが役立つだろう。「関連リンク」には世界保険機構(WHO)や国際獣疫事務局(OIE)などがリンクされている。
以前紹介した、海外旅行者の健康管理、旅行中の身体変化について情報提供を目的とする医師、看護婦、公衆衛生の専門家を中心とした研究組織のホームページ「日本旅行医学会」http://www.jstm.gr.jp/にも感染症に関する情報が掲載されている。このサイトには、「お知らせ」のほか、「コラム」には「SARS Q&A」、「炭疽菌Q&A」、「高山病で死なないために」などの記事がある。さらに、「21世紀の旅行医学」のページでは、同学会が医学誌「Mebio」に連載している記事をPDF型式でウェブ上から閲覧できるようにしており、「糖尿病患者の海外旅行をサポート」「飛行機の中の旅行医学」「障害者の旅行医学」「医療アシスタンス会社から見た旅行医学」「海外旅行保険の旅行医学」など極めて貴重な記事が並んでいる。
外務省「渡航関連情報」http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/index.htmlにも「重症急性呼吸器症候群(SARS)」に関する情報が掲載されている。「在外公館医務官情報」も覗いておこう、ここには海外で勤務中の医務官が集めた「世界の医療事情」情報がレポートされており、その大半は感染症に関するものだ。 関連ページの「海外安全ホームページ」を開くとさらに詳しい感染症や安全管理に関する情報が現れる。
旅行者の安全管理の最前線に立つ現地手配会社で構成されている「日本海外ツアーオペレーター協会」(OTOA)のホームページ http://www.otoa.com/も要注目だ。重大な感染症の発生があると世界中の協会加盟会社から寄せられる「新着海外情報」の項に現地からの生の情報が掲載される。安全情報関連サイトへのリンクもある。
感染症や大災害、大規模テロが発生した場合は、テキサス大学の地図ライブラリー・サイトPerry-Castañeda Library Map Collection http://www.lib.utexas.edu/maps/を開いてみよう。冒頭のOnline Maps of Current Interestには航空機事故や治安・紛争、伝染病、自然災害など旅行者の安全に関わる最新地図がリンクされ、旅行の危機管理に大変役立つ。
左フレームの下段のTopical Map Sitesの項にあるSARS Maps、Tsunami Maps 、West Nile Virus Mapsも参考になるだろう。
津波など自然災害に関する情報は、ハンガリーの非営利団体National Association of Radio-Distress Signalling and Infocommunications(Radio-Distress Signallingは無線遭難信号の意)http://www.rsoe.hu/が運営しているRSOE HAVARIA AlertMap http://visz.rsoe.hu/alertmap/index.php?smp=&lang=eng という優れた災害地図サイトが役立つはずだ。
Google EarthやRSS/XMLなどの最新技術を駆使した優れたサイトを構築している。トップページの上部には世界地図が描かれ、アイコンで災害の種類を図示している。アイコンの説明は地図の下にあるIcon descriptionを開くとよい。
Icon descriptionの下にあるSelect areaで地域を絞り込むこともできる。Short time events の項には最近の災害発生レポートが並んでおり、異常気象からハチの襲撃、火山の噴火、地震、交通事故、熱波、竜巻、疫病、森林火災、洪水、食中毒、地滑り、大停電、サイバー事故などありとあらゆる災害が取り上げられている。
Short time eventsの次には、Earthquake events、Active tropical storm systems、NOAA(米国海洋大気庁) Tornado Reports、NOAA Storm Reports、NOAA Hail(ひょう・あられ) Reports 、Active volcano on Earthなど災害別、情報源別のリストも設けられている。
以前紹介した、NASAが運営する火山噴火、洪水、森林火災、大気汚染、ハリケーンなど大規模自然災害を衛星から撮影した写真を中心にレポートするサイトNASA Earth Observatory - Natural Hazards http://earthobservatory.nasa.gov/NaturalHazards/ も健在だ。
■今日のブックマーク&記事■
□税関 http://www.customs.go.jp/
「成田税関支署」と「東京税関」のページが上記サイトに統合されていた。カスタムスアンサー(税関手続FAQ)、実行関税率表、関税率表解説、品目分類等回答事例(検索)、
外国為替相場(課税価格換算)、税関手続等(税関相談)、品目分類の事前教示、関税評価の事前教示、関税のしくみ(関税の種類)、特定輸出申告制度、輸出入禁止・規制品目などの記事がある。「海外旅行の手続」には、「バーチャルツアー(出国手続編)」もある。詳しくは、サイトマップを参照のこと。
□成田空港検疫所 http://www.forth.go.jp/keneki/narita/
感染症流行情報や病気にならないためのアドバイス、旅行医学の知識のある人向けのより詳細な情報、旅行医学関連リンク、食品輸入のための知識などが網羅されている。また、旅行準備段階から帰国後まで検疫所が行っている感染症健康相談窓口の利用方法も詳述。
海外健康ハンドブック: かかりやすい病気対策から英語で症状を訴える法まで
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