福岡・唐津・長崎の旅 8月12日

 
この日は、まず虹ノ松原玄界灘を一望できる鏡山(標高284メートル)に30年ぶりに登ってみることにした。30年ぶりとなってしまったのは、観光客が減ったせいで山頂まで登る路線バスや観光バスがなくなってしまっていたからだ。
そこで、街の中心から出ている鏡山の麓近くにあるショッピング・センターJuscoへの無料送迎バスを利用した。Juscoで弁当や飲み物を買った後で、店内備え付けのタクシー呼び出し無料電話で車を呼んだ。頂上までは、ふもとに位置するJuscoからつづれ折りの登山道を登って10分弱、1,280円だった。米軍が未だ、唐津のシーサイドホテルに駐留していた昭和30年頃に、このつづれ折りの迂回路を通らず、ジープで斜面を垂直に登ってきていたことを昨日のことのように思い出してしまった。
鏡山は、松浦佐用姫が朝鮮に渡る恋人の乗る船に“領巾”を振って別れを惜しんだという伝説から、領巾振(ひれふり)山とも呼ばれている。 「万葉の故地−領布麾の嶺 鏡山」 http://www2.odn.ne.jp/cbm54970/41hirefuri.htmlには、万葉集に詠まれた佐用姫のことを歌った山上憶良の和歌とその伝説が写真とともに紹介されている。鏡山の山頂には決して出来がいいとは言えない佐用姫の像http://www.geocities.jp/kakitutei_pickup/matsura/sayohime.htmlが建てられている。
展望台から素晴らしい眺めを堪能しながら昼食をとった後、鏡山神社などを見物して、帰途へ。帰りも携帯電話でタクシーを呼んだ。有り難いことにどういうわけか“迎車料金”は加算されなかった。

街の中心へJuscoからの無料送迎バスで戻った後、修復がすんで今年4月1日に公開された「旧高取邸」へ向かう。旧高取邸は、炭鉱王として成功した高取伊好(たかとりこれよし−1850〜1927)の旧宅で、唐津市北城内の海岸沿いに建つ、明治末期に建築された広壮で美しい近代和風建築。1998年12月に国の重要文化財の指定を受けている。
 能舞台や植物の浮き彫りや型抜きの動物を施した欄間と仏間、絵が描かれた杉戸絵、修復された洋間のしっくい天井、海を借景とした庭園など見どころも多い。
私にとって一番興味深かったのは、食料貯蔵庫の地下にあったワインセラーだ。鉛のキャプセルを使う以前の蝋で封されたコルクのボルドーワインが多く残され、大正から昭和にかけての貴重なコレクションだったことがうかがえる。残念ながら、近年、点検したときには中身は酢のように劣化していたとのことだ。

 
 高取家の歴史とその邸宅については、唐津観光協会のイベントのページhttp://www.karatsu-kankou.jp/event.htmlのほか地元企業の宮島醤油株式会社が運営するホームページの「去華就実と郷土の先覚者たち−第15回 高取伊好」http://www.miyajima-soy.co.jp/kyoka/shaze15/shaze15.htmや名門旅館洋々閣のホームページ内にある「高取邸関係 目次」http://www.yoyokaku.com/takatorikai-mokuji.htm、旅館 綿屋のサイト内の「旧高取家住宅」http://web.people-i.ne.jp/~wataya/19takatori/takatori.htmなどから見ることができる。

 この日の夕食は、市観光案内所のレストラン・ガイドに載っていた昨年オープンのワインバー・bonito http://www.just.st/?in=7151960へ。前日予約しておいた月替わりの“タイムサービス・ディナー・メニュー”は、
・佐賀和牛タン網焼き 七山リスボンレモン添え
唐津産スズキと生ハム ライスペーパー包み揚げ
根室直送 初サンマと木の子の和風パスタ
・五島甘鯛のポワレ サフランソース香草風味
・ダザート、コーヒー、バケット
 で、2,400円(お盆料金−通常は1,900円!)。ヴォリュームは少なめだが美味しかった。
ワインもフランスやイタリア、スペインのものを中心に揃っており、グラスで600円前後から。「唐津 bonito」と検索して評判を見てみることもできる。
昨日紹介した「つく田」とこのbonitoがあれば、Uターンして住んだとしても、食の面で寂しい思いをしないで済みそうだ。

佐用姫伝説殺人事件

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唐津 (日本陶磁大系)

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唐津焼