“飽食の時代”のヘルシー旅行術 その1

最近、食生活を“改善”してみた。昔のヨーロッパの人々のように昼をメインとして、夜を原則コールド・ミール(火を使わない軽食)にしたのだ。その結果、すこぶる体調がよくなった。ちなみに、朝食は摂らないので、昼は昼食を兼ねたブランチでもある。

 おかげで、昼食後は軽いサイクリングで腹ごなしを心がけるようになったし、夜を軽食とした結果、ワインや焼酎の晩酌を控えるようになり、その結果、読書の時間が確保できるようになり、毎晩2冊の本に目を通すことを習慣づけることができた。
 夜の、軽食の内容は、18:00頃柑橘類を中心とした生の果物3種類にブランデーを浸し、その上にヨーグルトをトッピングしたものだ。
 これだけでは、寂しいので20:00前後にカステラなどの“粉菓子”を添えてコーヒーを飲んでいる。
こういった生活を4ヶ月ほど続けた結果、体重も、徐々にではあるが減少傾向にある。

 そこで、今日は、食生活を変えるきっかけになった“昔のヨーロッパの人々の食生活”を振り返る意味で、かつて連載していたメールマガジン「コズミックダンス−海外個人旅行・特別講座」2002年5月29日付第127号「“飽食の時代”のヘルシー旅行術」を一部手直しして、2度にわけて掲載したい。
 
 なお、「コズミックダンス」のおバックナンバーのほとんどは、「ユーロペディア」の「バックナンバー閲覧はこちらへ」http://www.geocities.jp/euro747/euroback.htmlから閲覧可能だ。


「“飽食の時代”のヘルシー旅行術」その1
 最近、食に関する質問が目立って増えてきた。それも、ヴォリュームが多すぎる、メインディッシュの肉料理をパスする方法はないかといったものが多い。
どうも、旅行会社やガイドブックの説明不足などいくつかの要因が重なって不幸な誤解を引き起こしているようだ。

 まず、欧米を旅していると、レストランで大きな肉のかたまりをメインとするフルコースを苦もなく平らげる姿を目撃するが、これがひとつの誤解を生んでいる。実は、欧米の庶民にとってもレストランでの食事は、友人と久しぶりに再会したり、何らかの記念日といった“ハレ”の料理なのだ。ヨーロッパで現地の人々に聞いてみると、ホームパーティー以外で肉料理を食べるのはせいぜい週に1、2度という人が多いようである。
 ウィーンで大学の先生の家に招かれ、“ふつうの家庭料理”を味合わせてもらったが冷凍の白身魚のフライにサラダといった質素な料理であった。聞いてみると、ウィナー・シュニッツエルなどの本格的な肉料理を夜に食べるのは週に1回ぐらいで、あとは魚料理やハムやソーセージなどの加工肉、肉の残り物などを加えた煮込み料理などで済ませているという。それでも、日本に比べれば肉の使用量は多いが、これは寒い気候が肉などの高カロリー源を必要とするからのようだ。
 事実、筆者もウィーンで暮らすようになるまで、肉は挽肉やソーセージ以外食べられなかったが、ウィーンで暮らすと肉がなければ寒さに参ってしまうと感じて初めて食べるようになった。

ヨーロッパでは1970年代から大きな食習慣の変化が起きた。要因としては、暖房などの完備やモータリゼーション、家庭電化、労働人口のホワイトカラー化などにより人が必要とするカロリーが急激に減り、従来の食文化では高カロリーに過ぎて健康上ゆゆしき問題となってきたのだ。そのため、高級料理ではヌーヴェル・キュジーヌのような量を控えめにして軽めの味付けにし、肉の代わりに新鮮な野菜や魚介類を多用するという料理革命が起きた。一方、家庭でも、肉とワインの摂取量が激減し、素朴な郷土料理への回帰という傾向が現れた。
この双方の傾向は、必然的に旬の食材を大切にし、少量の料理を美しく盛り付け、その分皿数を増やすということから、東洋の料理の影響を受ける下地ともなった。実際に、ヌーヴェル・キュジーヌは多くのことを日本の懐石料理から学び取ったと言われている。

それにもかかわらず、われわれが欧米を旅行者として訪れたときに毎食、地元の人たちでさえ食べない不慣れなフルコースを食べていたのでは体調を崩しかねない。
パック旅行を主催する旅行会社もフルコースにこだわり、予算上の都合で質を落としてもフルコースという体裁にこだわっているので、不味くて量が多すぎるという最悪の事態に陥っている。
 個人旅行者は自分で料理を選べるわけだが、頼りとするガイドブックの多くが20年以上前の既成概念が頭にこびりついた名物料理中心主義となっており、現実に地元の人々が食べている野菜料理のメインディッシュやローカロリーな肉料理の紹介が遅れてしまっている。
しかし、徐々に真実の姿も紹介され始めているようだ。雑誌BRUTUSの2002年6月1日号では「世界は野菜を待っている」という特集を行い、世界の一流レストランのシェフが野菜を主役にし始めた状況を伝えている。

なお、海外でのレストランとメニュー選びには、当欄の下記のバックナンバーも参照いただきたい。
□「レストラン・メニューの読み方を予習 その1」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20061218
□「Google で現地発信の日本語グルメ・サイトを見つけよう」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050607
□「グルメとワインの旅に役立つホームページ」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050622

■今日のブックマーク&記事■
□All About イギリス「11月、ユーロスターが生まれかわる!」
 http://allabout.co.jp/travel/travelengland/closeup/CU20071013A/
□Eurostar Group Ltdの英文記事“Eurostar launches services from St Pancras International”
  http://stpancras.eurostar.com/en-gb/home

☆右上の写真は ウィーンのミュージアム・クォーターhttp://www.mqw.at/にあるレストランGlacis Beisl http://www.glacisbeisl.at/の主菜 サーモン入りシュペッツレ(ニョッキ)

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