第5日目 夜行列車でマドリッド到着

ホテルトレイン「フランシスコ・デ・ゴヤ号」で朝を迎え、07:30より食堂車で朝食。朝焼けの車窓からの景色には、ドン・キ・ホーテの風車に変わって風力発電の風車が多数遠望できた。

 09:25マドリッド・チャマルティン駅到着。タクシーにてホテル・アローザへ。ホテルには10時前に到着したが、アーリーチェックインをさせてくれたので大助かり。

 マドリッド滞在以降、フィレンツェを除く6都市7軒のホテルは、「1974年の欧州鉄道旅行をいよいよ再現 その3」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20080222で書いたように、海外ホテル予約専門サイト アップルワールドhttp://appleworld.com/apl/index.htmlで予約した。アップルワールドは、以前にも利用したことがあるが、インターネットでの申し込みは初めてだった。

旅行会社に勤めていた頃は、自分で売っていていうのもなんだが日本のホテル予約業者のヴァウチャーが個人旅行者が利用してスムーズに機能するかというと、疑問な点も多々あった。これは、宿泊ヴァウチャーというものの性格を販売側も旅行者側もよく理解していなかったことにも起因する。その当時は、ヴァウチャーに「オーバーブックで泊まれないこともありますよ」といった文言が小さな字で書かれていた。

 しかし、今回は、ピーク時期でなかったことと、なるべく日本人の評判のよいホテルをサイト上のクチコミなどから判断して選んだこともあってか、不快な思いをしたことはなかった。
これは、アップルを初めとする日本のホテル予約業者が長い時間を掛けてトラブル発生の芽を摘んでいく地道な作業を重ねていった成果だろう。旅行業界のOBとして敬意を表したい。

マドリッドのメインストリートGran Viaに面したホテル・アローザhttp://www.hotelarosa.com/index.jp.html(日本語ホームページ)を選んだ理由は、「Appleオススメホテル」であったことと「クチコミから選ぶ」の評判がよかったこともあるが、最大の理由は、74年に泊まった3つ星のホテルLope De Vegaに近かったからだ。Gran Via 59番地にあったこのホテルには、その後も3〜4回泊まることになったが、10年ほど前に廃業してしまったようだ。


 当時のスペインの物価の安さはヨーロッパでも際だっていた。しかし、日本円の使い出があるので、節約旅行者の多くはつい贅沢をしてしまい、結果的にスペインで一番散財してしまうという若者が多かったようだ。Lope De Vegaもバスタブもあり広々とした間取りで、1泊300ペセタ(1ペセタ=約5円)だった。節約旅行をしていた私も、スペインではフルコースの食事をとっていたが、メモを読み返すとそれでも1食80〜150ペセタという安さだった。

さて、アーリーチェックインしたホテルでシャワーを浴びて、11:00のNHKテレビのニュースを見てからhttp://d.hatena.ne.jp/Europedia/20070220マドリッドでの目的の一つティッセン・ボルネミサ美術館 http://www.museothyssen.org/thyssen_ing/home.htmlに地下鉄で向かった。地下鉄は3日間パス(€9.6)を購入。ホームに降りてみると昔とは大違いのモダンな車両と、全面禁煙になったせいで、かつては充満していた黒タバコの匂いが皆無なことに驚いた。

ティッセン・ボルネミサ美術館は、かつてスイスのルガーノ湖畔の別荘にあり、1986年に訪れたこともある。しかし、当主の死去に伴い奥さんの実家のあるスペインのマドリードに美術館ごと引っ越したというものだ。ティチアーノからラファエロ、フラ・アンジェリコ、カラバッジオレンブラントルーベンスデューラーゴヤクラナッハゴーギャンなど美術の教科書に載るような代表的傑作が揃っている。このときは、モジリアーニの特別展も開かれていた。美術館を訪れてみると、欧米の観光客は大勢鑑賞に来ているのに、日本では余り知られていないせいかわが同胞とおぼしき顔は見かけなかった。

遅めの昼食は、美術館からホテルへ歩いて戻る途中にあるHotel María Elena Palace http://chh.es/mariaelena/default-en.htmlのレストランMep http://chh.es/mariaelena/dining-en.htmlでとった。ここも、以前書いたようにhttp://d.hatena.ne.jp/Europedia/20080125、ほかの都市同様ミシュランガイドブックのサイトViaMichelin http://www.viamichelin.com/であらかじめ見つけておいた候補のひとつだ。出される料理はアジアン・テイストを取り入れたモダンなスペイン料理といったところ。
ハモンセラノと羊のチーズにレタス、セロリ、ウドのようなものを盛り合わせたMep Salad(€8.5)を前菜に舌平目をムース状にしてシャンペン・クリームソースをかけたメイン(€18.5)をVerdejo種の葡萄から作ったRuedaの白ワイン(€10)で味わった。デザートも欲張り、パッションフルーツとマンゴを使ったトロピカル・ティラミスなるものを所望。ここの料理もパリのビストロLe Petit Vatelに引き続いて今回の旅で5本の指に入れたい満足度だった。

 ソル広場近くのデパートCorte Inglesの地下のスーパーで水や夜食のサンドイッチを買ってホテルに戻り、17:00頃からシエスタとした。

 疲れていたのか目が覚めたのは21:00過ぎ。サンドイッチをパリで買ったボルドーの残りで食べて腹ごしらえの後、Gran Via周辺を夜の散歩。ホテルとは反対側のGran Viaの脇道Calle de Barcoにも足を伸ばした。74年当時も安レストランの集まる一角で、日本人が泊まる安宿も集まっていた界隈だが、昔の賑わいと猥雑さが残っていてホットした。

Carmen Thyssen-Bornemisza Collection

Carmen Thyssen-Bornemisza Collection

Early Italian Painting, 1290-1470: The Thyssen-Bornemisza Collection

Early Italian Painting, 1290-1470: The Thyssen-Bornemisza Collection