60歳の誕生日の3ヶ月前に「年金請求書」が郵送されてきた。私の誕生月は4月なので、学生時代の同級生たちの中では真っ先に届いたようだ。その話を同級生に話すと、ほとんどの者が、私たちの世代は60歳から厚生年金の一部(報酬比例部分)と厚生年金基金(一部企業が取り入れている上乗せ給付)の支給が始まることを知らなかった。そこで、わが家で2月に「還暦並びに年金受給準備のための飲み会」を開くこととなり、4月に行った「元原子炉技術者(同級生)の怖い話を肴にする飲み会」に並ぶ大盛況となった。
年金受給の忘れてはいけない原則は「年金は請求しないと受け取れない」ということだ。年金請求の「裁定請求書の事前送付」が来てなかったり、他の書類と紛れて見過ごしたりしている人は多いようだ。
友人のひとりは、受給資格ができて2年経っていたのに、まったくのノーアクションで放っておいたそうだ。私の話を聞いて、慌てて年金事務所の窓口に電話するとしばらく待たされた後で「あっ、忘れていました。2週間後ぐらいに書類を送ります」と言われたとのことだ。
以前は、年金請求の資格がある旨の通知もなされていなかったが、2005年10月から請求漏れを防ぐために、国は年金の加入記録を印刷した裁定請求書を送付するサービスhttp://www.sia.go.jp/topics/2005/n1003.htmを開始した。
私の場合、国民年金の加入期間がほとんどで、報酬比例部分の対象となる厚生年金の加入期間は10年に満たない。そのうち厚生年金基金加入は、旅行会社に勤めていた7年弱ほどだ。それでも、「エコノミークラスの格安航空券でヨーロッパ4往復ぐらいできるくらいの額」が60歳の誕生日から毎年出るようだ。65歳からは、これに基礎年金が加わる。
国民年金の加入期間も一時期海外に住んでいたりして虫食い状態なので、65歳から国民年金(老齢基礎年金)が満額出る40年の加入期間には満たない。そこで、少しでも満額に近づけるため月400円の「付加保険料」を納め、「200円×付加保険料を納めた月数」で計算された付加年金が加算されるように20年前から手続きしていた。
通常、国民年金の保険料は60歳以降支払わなくていいのだが、「少しでも満額に近づけるため」に“任意加入”で“65歳に達した日”まで支払い続ける手続きも60歳の誕生日に済ませた。
「年金請求書」の提出には、私の場合、戸籍謄本もしくは住民票が必要だったが、請求書に住民票コードを記載すればいずれの書類も必要ないとされていた。念のために、「住民票コードを記載した住民票」を区役所で取得して添付した。年金申請目的の住民票発行は無料だった。
上記は、厚生年金の一部(報酬比例部分)の請求で日本年金機構http://www.nenkin.go.jp/の年金事務所宛だが、このほかに別途、厚生年金基金の請求が企業年金連合会http://www.pfa.or.jp/宛に必要だった。こちらも、住民票が必要だが年金請求目的で無料発行されるのは一部だけとされるので、この分は有料となった。
なお、日本年金機構のホームページには、「自分でできる年金額簡易試算」http://www.nenkin.go.jp/soudan/nenkin/simulate/top.html、50歳以上対象の「年金見込額試算」http://www.nenkin.go.jp/soudan/nenkin/simulate/index.html、「年金Q&A」http://www.nenkin.go.jp/question/index.htmlなどの案内がある。年金保険料を払い始めたばかりの人や、50歳を向かえたばかりの人も覗いてみるとよいだろう。
もっとも、私自身は、日本の年金制度がこのまま続くとは思っていない。これから5年以内にも支給開始年齢が70歳に引き上げられたり、年金額自体が大幅に実質減額されるのは避けられないと覚悟している。ただでさえ、生活保護費が国民年金満額支給額より多いと騒がれているのに、さらに減額されれば生存権の侵害だろうが、切羽詰まれば今の政府は何でもするだろう。
日本経済が行き詰まれば、厚生年金や共済年金は全額没収、収入や資産、頼るべき身寄りのない人のみに対して一律「新生活保護費」が手当てされるなどという事態も「想定の範囲」と思っている。
当欄関連過去記事:
「自分の増税額と受給年金額が試算できるサイト」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20060516
■今日のブックマーク&記事■
□All About 年金 http://allabout.co.jp/finance/gt/660/
□文部科学省 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果
http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/index.html
□Newseum http://www.newseum.org/
□Handwritten Newspapers From Ravaged Japan at Newseum(手書きの石巻日日新聞)
http://www.newseum.org/news/2011/04/ishinomaki-hibi-shimbun.html
□「新聞フロントページのポータルNewseumがリニューアル」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20070425
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