ブダペスト・ウィーン24日間の旅から帰還 その3

 今回の旅行目的のひとつは、オーストリア・ワインhttp://www.austrianwine.jp/の新酒ホイリゲを賞味することだ。新酒ホイリゲは毎年11月11日の聖マルティンの日に解禁される。どこかの国と違って、新酒を商売に利用しようという気はさらさらないようで、葡萄畑に隣接した造り酒屋の一部がその日から、市民に飲ませるためのお店(これもホイリゲと呼ぶ)を再開したりする程度だ。

 解禁初日ではないが13日の日曜日に、ウィーン在住の友人夫婦に連れられてドナウを見下ろすKahlenberger通りの周辺にあるホイリゲの飲み歩きに出かけてみた。行きつけのホイリゲSirbu http://members.aon.at/jsirbu/は解禁日の週だというのにしっかりと“日曜定休”を守って閉店。その代わりに、店の斜め前の牧場が野外仮設ホイリゲとしてオープン。その日は、非常に寒かったが、白い息を吐きながら新酒を傾ける人々で賑わっていた。

 私たちは、もう一軒の行きつけHirtへ足を伸ばした。ここも常連客で込んでいたが、店の人が顔を覚えてくれていて、ドナウを真下に見下ろす席を確保することができた。ここは、新酒も美味だが、ウィーン風ハンバーグや肉まんじゅう、野菜のパイ焼きなどつまみが絶品。店に備え付けの座布団と毛布で寒さを防いだが、時間が経つとつまみ類がフリーズしてきた。葡萄畑の紅葉とそれを覆う柔らかな霧が息を呑むほどの美しさ。寒さに震えながらも席を立つに忍びなかった。
ホイリゲについての詳細は当欄「来る、11月11日はオーストリアの新酒ホイリゲの解禁日」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20071107も参照いただきたい。


ウィーンでのもうひとつのワインの楽しみ方は、旧市街の地下深くにある古色蒼然としたワイン酒場(Weinkeller)だ。お気に入りは、地下が4層になっている16世紀のバロック建築にあるZwölf Apostelkeller(12使徒ケラー) http://www.zwoelf-apostelkeller.at/index-en.htmだ。地下にはローマ時代の城壁や井戸の跡も残っている。最近は、ツーリスト向けに模様替えをしてウィナー・シュニッツエルやグラーシュ・スープなど温かい食事も出すようになり、照明も明るくなった。
ウィーンらしいワインケラーは減る一方で、昔は、旧市街の中だけで8軒ほどあったが、今は、4軒ほどに減ってしまった。

 ウィーンのワイン酒場の常で、ここでは1/4リットルのジョッキーでワインを飲むことになる。1/4 で2.9ユーロから、ボトルでとっても14.5ユーロからと値段は手頃。ツマミには名物のとろけるような牛タンのハムに西洋わさびを添えたもの(Zunge mit Kren 6.30)や卵入りのお団子をスライスして炒めサラダを添えたもの(Eiernockerln mit grünem Salat 6.8)、チロル風のポテトとベーコンなどを炒めた料理(Tiroler Gröstl mit Krautsalat 8.2)、ウィーン風肉まんじゅう(Fleischknödel mit Speckkrautsalat 8.8)などがある。
ここには、滞在中二度通ったが、一度はウィーンに住む日本の友人たちが集まってくれて盛り上がった。日本語情報紙「月刊ウィーン」http://gekkanwien.blog14.fc2.com/の編集長さんも駆けつけてくださった。

ヴィノテーク2011年11月号(11/1発売)日本のワイン&オーストリアワイン特集

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新自然派ワインを求めて―オーストリアワインの魅力

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