ヨーロッパ28日間鉄道旅行 その2

今回の旅のテーマは2つあった。

 ひとつは、ユーレイルパスを使った最後の鉄道周遊旅行を行うことだ。
「1974年の欧州鉄道旅行を今一度」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20071005で紹介した旅から最近まで、振り返ってみるとユーレイルパスを初めとする欧州の鉄道パス利用期間(フレキシーパスの有効期間ではなく)の合計は2年近くになる。若い頃には、3ヶ月有効のパスを2回使ったこともあった。
しかし、インターネットでの区間チケット予約が簡単になり、事前予約割引などの特典が増えた現在、よほど行き当たりばったりの旅を目指す人以外、ユーレイルパスの利用価値はなくなってきた。1974年にしたように「行き当たりばったりで1泊千〜2千円の安宿を探し、学生食堂などで1食100〜300円ほどで済ますという倹約旅行を続け」られる年齢でもないので、最後に「ユーレイルパス卒業旅行」をさせてもらった次第だ。

今回の旅行は28日間。「春のヨーロッパ鉄道旅行計画」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20140415で書いたようにボーナス期間の2日間を加えても17日の有効期間のパスなので、到着都市パリでの4泊、最終目的地のハイデルベルクでの4泊を除いても、有効期間が足りなくなる。そこで、旅の5日目のパリからアムステルダムへの移動から使い始め、21日目のフィレンツェからチューリッヒまでの移動日が最終日となる17日間を使うことにした。
 23日目のチューリッヒからハイデルベルクへの移動はスイス鉄道のサイトで事前割引チケット(1等予約料込み 66スイスフラン=7,724円)を日本から購入しておいた。
 27日目にハイデルベルクからフランクフルトまでの移動が残るが、ここは鉄道にせずハイデルベルクの中心にあるCrowne Plaza Hotelからフランクフルト空港まで直行するシャトル・バスhttp://www.transcontinental-group.com/en/frankfurt-airport-shuttlesを利用することにした。これも日本からのインターネット事前購入割引で14.40ユーロ(2,059円)。所要1時間で、おみやげが詰まった重い荷物2個+機内持ち込み1個で計68kgを持って乗り換えをする必要もなくラクだった。
列車での周遊旅行中も、パリで買った本や友人達への日本からのおみやげなどもあり30kg近い重さのスーツケースを持ち運んだのだが、重すぎて棚に上げることができなかった。幸い、すべての区間で荷物置き場や空席の間に置くことができたので助かった。

後から考えると、パリ→アムステルダム間を別個に購入して、7日目のベルリンへの移動から23日目のハイデルベルクまでをパス通用期間としておけばよかったと後悔した。というのは、旅行前から難所と思っていたユーレイルパス保持者向けのThalys新幹線 https://www.thalys.com/be/en/のパリ→アムステルダム間(所要3時間17分)のチケットが現地では売り切れとなっており、ユーレイルパス保持者向けでないチケットなら日本からも現地でも1等が1万5千円前後で買えたからだ。

結局、パリ北駅でブリュッセル行きをユーレイルパス保持者向け追加料金42ユーロで購入、ブリュッセルからは予約なしで乗れるEC特急をロッテルダムでIC特急に乗り換えて所要合計4時間25分ほどでアムステルダムに着く予定だった。
しかし、実際にはあてにしていたEC特急が「オランダ国鉄の(勝手な)都合により運行中止」となり、ブリュッセルからアントワープアントワープからオランダ側のRoosendaal、さらにBredaへ、ここから東京駅のモデルと言われるアムステルダム中央駅まで、ローカル列車を4本乗り継いで所要6時間37分での長旅になてしまった。
 同じ憂き目にあったユーレイルパス利用の旅行者も大勢いて、同様の乗り継ぎを繰り返していた。Roosendaalの駅では、オランダ国鉄がお詫びのしるしにミネラル・ウォーターを配っていた。

旅行の行程をインターネット事前購入割引のチケットで購入していけば、ユーレイルパスを買うよりも安く済んだこともよく分かり、文字通りの「ユーレイルパス卒業旅行」となった。

さて、この旅のもうひとつのテーマは「第一次大戦開戦100周年」を記念して各地で催される記念展や軍事博物館などでの特別展示を見て歩くことだ。

 パリのリュクサンブール公園の北側にある宮殿の裏手には、第一次世界大戦の戦場を描いた巨大地図が無料で公開されている。フランスのタイヤ大手ミシュランがスポンサーとなっており、同社が戦争中にいかにフランスに貢献したかを示す当時の戦意高揚のイラストや写真も併せて展示されている。
 地図には、アジアや太平洋での戦況も描かれており、帰国して調べ直したい課題が多く見つかった。いつもなら、ヨーロッパの旅には「世界歴史地図」を持参しているのだが忘れてしまったのが残念だ。結局、ウィーンの書店で買うことになったのだが。
この展示は、8月まで行われているようだ。

パリ以外でも、各地の歴史博物館や軍事史博物館を訪れたが、大戦勃発が1914年の7月28日だったので、これから特別展を始めるという都市も多かった。

ウィーンに住んでいた1970年代には“前の大戦”というと第二次世界大戦ではなく、第一次世界大戦のことと考えているお年寄りが多かったことに驚かされた。第二次大戦のあまりの悲惨さを直視したくないとの思いもあったのだろうが、世界初の総力戦で、しかも、ハプスブルク帝国が滅びた第一次大戦の方が時代の大変革として頭に焼き付いていたのだろう。
意外に思われるかも知れないが、イギリス、フランス、イタリアに限れば、第一次大戦の戦死者の数は、第二次世界大戦の戦死者数より多かったのだ。

 そう言えば、2014年1月19日の日経新聞が「第一次大戦の源泉とは」という社説を掲げていたが、その末尾に「第一次大戦の負債をドイツが完済したのは、今からほんの四年前のことです」と書かれていた。ヨーロッパは100年経った今も第一次大戦を引きずっているのだ。

関連ウェブサイト:

□firstworldwar.com http://www.firstworldwar.com/ 

BBC History - World War One Centenary  http://www.bbc.co.uk/history/0/ww1/

□Lives of the First World War(Imperial War Museums)https://livesofthefirstworldwar.org/

□AP News “Luxembourg Gardens Fields of Battle – Lands of Peace 14-18 2 Paris exhibits shed light on First World War”http://bigstory.ap.org/article/2-paris-exhibits-shed-light-first-world-war 

□サイクルスタイル記事【山口和幸の茶輪記】“第一次世界大戦から100年目のツール・ド・フランスになに思う…” http://cyclestyle.net/article/2014/06/25/10936.html


■今日のブックマーク&記事■

Lonely Planet's Best in Europe 2014 http://www.lonelyplanet.com/europe/travel-tips-and-articles/lonely-planets-best-in-europe-2014?affil=EML_EDITORIALNEWS_74

Google.com/flights/ https://www.google.com/flights/

総力戦 (現代の起点 第一次世界大戦 第2巻)

総力戦 (現代の起点 第一次世界大戦 第2巻)

ヨーロッパ鉄道時刻表2014年夏ダイヤ号

ヨーロッパ鉄道時刻表2014年夏ダイヤ号