“まぼろしの落語”「トスカ」をTBSチャンネル2で放映

月末には、スカパーhttp://www.skyperfectv.co.jp/の月間番組表などを流し読みして興味のある番組の録画予約をしていくのだが、TBSチャンネルhttp://www.tbs.co.jp/tbs-ch/tch2/で大好きな柳家小三治師匠の「茶の湯」が9月14日に放映されるという記事が目に止まった。TBSチャンネル2の番組表サイトを開いてみると、その時間帯に柳家喬太郎師匠http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Performers/Details/5ed8889f-76df-49f3-887e-da37d2384767の「錦の舞衣・上(にしきのまい・じょう)」http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/v2121/、「錦の舞衣・下(にしきのまい・げ)」http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/v2137/の放映もあるという。

 実は、この落語こそ15年以上聴きたいと待ち望んで果たせていなかった“まぼろしの落語”だ。2005年1月の当欄「オペラと落語が好きという方のための“雑学”」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050113や翌年の「異なるジャンルの才能が競演したときの奇跡的熱演」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20060323でもふれたが、「錦(にしき)の舞衣」はオペラ「トスカ」の原作と同じ戯曲「ラ・トスカ」を元にしている。落語版「トスカ」の初演は1891年(明治24年)7月、オペラ「トスカ」の初演は1900年(明治33)年の1月14日で、落語の方が8年以上先行していたことになる。

 このことを知ったのは、1998年1月頃の朝日新聞の記事がきっかけだ。それは、「円朝版トスカ、みやびに再現」というもので、プッチーニの「トスカ」と同じ原作の、フランスの劇作家サルドゥーの「ラ・トスカ」を翻案した明治期の名人、三遊亭圓朝の「錦(にしき)の舞衣」が1998年1月に柳家小満ん師匠http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Performers/Details/0f5c0fa4-ca62-4457-ad1d-9980509a1bedが高座にかけ、開演前にはプッチーニの「トスカ」が流れたというものだ。

 インターネットで調べた情報でその記事を補うと、三遊亭圓朝が「錦の舞衣」と題する十一回の続きものを高座に掛けたのは1891年(明治24年)7月の歌舞伎座でのことだったという。(「百年目」圓朝年譜http://5inkyo.hippy.jp/hyakunen/encyo_nenpu.html

 プッチーニの「トスカ」の初演は1900年(明治33)年の1月14日、ローマのコスタンツィ劇場(現ローマ歌劇場)でのことだから、プッチーニに先駆けること8年半前に歌舞伎座で演じられていたのだ(戯曲「ラ・トスカ」が演劇としてパリで初演されたのは1887年)。なお、圓朝はこの1900年の8月11日に亡くなっている。

 三遊亭圓朝は、当時の東京日々新聞記者(後の社長)であり劇作家の福地桜痴から聞いた話を翻案したものと思われる。

 圓朝は、歌手トスカを踊りの師匠 お須賀、画家マリオ・カヴァラドッシを絵師・狩野毬信(まりのぶ)と名付け、1837 年の大塩平八郎事件と重ね合わせ、吟味与力(スカルピア−個人的にはスカルピアこそ「トスカ」の主人公と思う)の陰謀で拷問死した夫 毬信の敵討ちを妻のお須賀が果たすまでの長い物語りに作り上げた。おそらく今回の上演も上下80分近いものと思われる。

 圓朝の傑作「死神」もリッチ兄弟作のオペラ「クリスピーノと代母」(1850年イタリア初演)とグリム童話「死神の名付け親」に基づいているそうだ。


 右上の写真はオペラ「トスカ」第3幕の舞台とされたローマのサン・タンジェロ城

下記のDVDの解説書には「圓朝のトスカ」という記事もある。

トスカ TOSCA ― DVD決定盤オペラ名作鑑賞シリーズ 10 (DVD2枚【2作品+シリーズ完結記念ボーナス1作品】付きケース入り) プッチーニ作曲

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錦の舞衣

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