20年ぶりの香港旅行 その2

2泊目からは九龍サイドのペニンシュラー・ホテルの隣にあるYMCA http://www.ymcahk.org.hk/sales/html/hst001e.htmに移った。ハーバービューの部屋が取れたので、毎晩行われる香港サイドのビル群で行われるレザービーム・ショーも堪能できた。

前回ふれた「香港滞在の最終日に、個人的な大発見」は、滞在最終日の朝、YMCA のブレックファスト・ルームでのことだった。混んでいたので、それまでと違う奥の席に案内され、ふと窓の外を見るとタイムボールらしきものが目に入ったのだ。

 当欄の「長崎新聞にタイムボールの基礎発見の記事」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20130912 でもふれたが、長崎のわが家には昔、高さ27メートルのタイムボールがそびえていた。
外国航路の航海士が、大砲の音などで船舶時計(クロノメーター)を合わせていたのでは、音速の遅延による誤差で経度を知るための位置観測に大きな誤差が生じ困っていた。そこで、鉄柱に金属球を刺した塔から正午ちょうどに玉(タイムボール)を落下させ、それを見て時計の針を正午に合わせる仕組みが考え出された。世界の主要な港では、ラジオ・ビーコンが普及する20世紀の初頭まで、このタイムボールが稼働していた。

香港のタイムボール(中国語で時間球)は、1885年〜1907年の間、ビクトリア・ハーバーを見下ろす旧海上警察本部の敷地に置かれていた。私が目にしたのは、今は、1881ヘリテージ http://www.1881heritage.com/flash/#/en/home/と呼ばれる海上警察本部の古い建物を改造したショッピングモールの敷地に、近年、復元されたタイムボールタワーだった。
 食事の後に、駆けつけてみると、ちょうど係の人が中が展示室になっているタイムボールタワーの扉を開けるところだった。内部には、複雑な機械仕掛けの落下装置やタイムボールを眺めながら時計を合わせる船乗りのイラストなど興味深いものが数多く展示されていた。

立派に復元されたタイムボールタワーを見学させてもらい、わが家の敷地のタイムボールの残骸とおぼしきものも「復元」の時が来るまで大切に保存しておかなければとの思いを新たにした。


香港への旅から戻ってひとつ気がついたことがある。昔、香港でよく見かけたタイタイ(太太)・マダムを今回はまったく見かけなかったことだ。タイタイというのは華南地方で、「裕福な奥様」を意味する言葉らしいが、私は、“中国の伝統と教養を内に秘めながらも、凛とした姿に中国人であることの誇りが滲み出、気品がありながらも生活力旺盛な賢夫人”というイメージで捉えていた。そのタイタイを見かけなかったのだ。
 事情通に後から問い合わせると「よくお気づきになりましたね。香港のタイタイはとっくの昔に香港を離れてしまったか、香港で亡くなられてしまいました。主な移住先はやはりアメリカです。意外とイギリスは少ないのですがその理由はわかりません。次世代のタイタイが育つような文化的土壌が現在の香港にはありませんから自然消滅していく運命なのです」とのことだった。

旅から戻って気がついたことと言えば、今回利用した航空会社で、以前、利用したフライトの4区間のうち1区間のみマイレージ記録に反映されていなかったことがあったことを思い出した。念のためチェックしてみると、案の定、冒頭の長崎→羽田が記録されていなかった。2度目でもあったので、航空会社に「以前にもこのようなことがありました。今後も、毎回マイ・ページでチェックして漏れがあれば、その都度申告しろと言うのが、御社の回答でしょうか?」と丁重にお尋ねしたら、「今後につきましても、お手数ではございますが、積算の確認にご協力いただけましたら幸いに存じます」との回答が返って来た。あな、をかし。


■今日のブックマーク&記事■

□香港政府観光局1881ヘリテージ http://www.discoverhongkong.com/jp/see-do/culture-heritage/historical-sites/colonial/1881-heritage.jsp 

□1881heritage.com http://www.1881heritage.com/flash/#/en/history/ 

□「長崎遠めがね」記事「タイムボールの柱の基礎?発見」http://blogs.yahoo.co.jp/hoshinabedon/37780317.html

□暦と星のお話「日本のタイムボール」    http://www.geocities.jp/planetnekonta2/hanasi/timeball/timeballjapan.html

長崎ランタンフェスティバル旧正月) http://www.nagasaki-lantern.com/



航海技術の歴史物語―帆船から人工衛星まで

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