長崎の斜面地住まいをサポートするシステム

長崎の街は港と中心市街を取り囲むすり鉢状の斜面地が居住区となっており、市街地の約7割が斜面地と言われている。その多くは、車が入らない細い道と階段からなり、交通手段はバイクぐらいだ。

わが家も、鍋冠山公園(標高169メートル)へ向かう車の入れない細い坂道の途中、海抜86mほどにあり。車道からは最短で70mほどだ。

長崎の斜面地に住む際には、2つの問題がある。荷物の配送と平地からのアクセス手段だ。荷物の配送については宅配便制度が充実しているので、階段の上にある家でも追加料金なく配送してもらえる。
 引っ越しの際も、東京で専門業者に見積をお願いする際、「車道から正面玄関まで100mほどありますけど大丈夫ですか」と聞くと、「今は東京のマンションでも車の入れるところから玄関まで100mというところはざらですから、追加料金無しでOKですよ」と嬉しい返事だった。

Amazonの通販を利用することも多いのだが、こちらは Amazonプライムの会員になっているので3,900円(税込)の年会費で配送料は原則無料になる。

家を建てるときも、資材の運搬が大問題だった。昔は、ロバや馬で運搬されたが、現在は禁止されている。わが家の場合、施工業者が坂道を傷つけないため小型運搬機にゴム製のキャタピラをつけた改造を施してくれたので解決した。家の土台のコンクリートは巨大なクレーンで、隣家数軒の頭越しに流し込んでくれた。

住むようになってからも配送にはお世話になり続けている。とくに、家庭菜園を拡張してからは街外れのホームセンターhttp://www.nafco.tv/stores/info/detail/193までサイクリングがてら出かけて、培養土や肥料、庭に播く砂利、トイレットペーパーなどを大量に買い込む。先週も、20リットルの培養土の袋に換算して70袋ぐらいの荷物を運んでもらったが配送料は540円だ。お店に聞いたところ小型トラック1台分ぐらいまではこの値段とのこと。重い砂利袋などを含めた荷物を駐車できる場所から、手押しカートや背負子で何回かに分けて運び込んでもらってこの値段だ。


もう一つの問題は、車の入れないような斜面地への住民自身のアクセスだ。これも、過疎化の予防のためもあって、長崎市が「斜面地のまちづくり」http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/660000/664000/index.htmlのための様々な対策を立ててくれている。  

 ここに住む具体的な計画を立てる前の2004年までには、路面電車の終点石橋電停近くから、わが家の100mほど手前まで、斜行エレヴェーター(高低差50m、全長160m)と垂直エレヴェーター(高低差18m)を組み合わせた「グラバースカイロード」http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/670000/678000/p001693.htmlが出来上がっていた。2本のエレヴェーターで合わせて68mの高低差を苦もなく運んでくれる。市道扱いなので利用料は無料だ。
 このエレヴェーターがなければ恐らくこの地に住もうという気は起こらなかっただろう。遠来の友人たちには“わが家の専用エレヴェーター”として案内させてもらっている。

この斜行エレヴェーター以外にも、さまざまな「斜面移送システム」http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/670000/678000/p001694.htmlが工夫されている。たとえば、右上の写真は、港を挟んだ対岸の水の浦地区にある懸垂型ゴンドラの「水鳥号」だ。
このほかにも、車の入れる斜面地への「乗り合いタクシー」http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/640000/642000/index.htmlも5カ所ほどで運行されている。


■今日のブックマーク&記事■

NPO法人「長崎斜面研究会」 http://www.shamenken.jp/
□「長崎遠めがね」の「グラバースカイロード」紹介記事 http://hoshinabe.ojaru.jp/389_gurabasky/gurabasky.html
□「鍋冠山公園 眺めを楽しむ公園」http://www.city.nagasaki.lg.jp/sumai/630000/632000/p010334.html
□「鍋冠山展望台リニューアル・オープン」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20160402
□「外国人観光客に人気の知られざる展望台」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20140206
□「長崎バス観光 まるごとながさき車窓コース」http://nbkanko.com/publics/index/303
(坂道や石畳道をマイクロバスで巡る2017年4月から始まる新コース)