花であふれる庭と果樹野菜の収穫最盛期

*[長崎日記]花であふれる庭と果樹野菜の収穫最盛期

       

2メートルほどの高さに育った裏庭のタチアオイ

   わが家の庭が花であふれるのは毎年5月がピークだ。最も華やかなのは2メートル前後の高さに立ち上がった50本ほどのタチアオイ立葵)の赤紫の花だ。裏庭が中心だが、種の自然飛散で昨年より2割は花の数が増えている。
 残念なことに5月18日の激しい風雨で10本ほどのタチアオイが倒れ、そのうちの3本は根から折れてしまっていた。それ以外のタチアオイは支柱を立て結束したので、なんとか次々に花を開き続けている。2年前に植えた白梅も傾いたのだが、こちらは力仕事となるので台風シーズンとなる前に友人に手伝ってもらうつもりだ。

 昨年、裏庭から港側の庭に移植した1本のタチアオイから飛び散った2本の立葵も2メートル近くに伸び、そのうちのオリーヴの樹のそばで咲く方は枝分かれして10本ほどの太い茎が伸びて、道行く人に珍しがられている。この花からさらに多くの種が飛び、来年は賑わいが増すことだろう。
   このほかに、一昨年の秋に植えた芍薬シャクヤク)や4種類の薔薇も見事な花を咲かせている。アジサイは、日が当たりすぎる場所に植えたせいか10本ほど並び咲いていたのが2本に減ってしまったが梅雨になってから急に元気になったようだ。
 10年前に鉢植えのまま東京から運んだアマリリスは、この冬に地植えしたところ、鉢植えの時とは比べようもない大輪の花を開いた。

   カラフルなコスモスの混合種も昨年の枯れ枝から撒いた種が庭中から芽を出し、すでに開花したものもある。今月中旬、新たに種を播いた分も7月には花開いていくことだろう。

   

ポール・マッカートニー種の薔薇

 

梅雨になってから急に元気になったアジサイ

 

冬に地植えしたアマリリス

ハーブガーデンの中で落とし種から咲いたコスモス

 

   毎年夏の楽しみとなる、2メートルの高さのロシアヒマワリが作る200本ほどの並木は、先月書いたように、ロシアヒマワリの種(中国製)は入手が困難になっていたので、今年は数を減らして5月中旬に種蒔きをした。すでに芽を出してきたが、並木と呼ぶほどに咲きそろうかどおうかは分からない。

   港側の庭を中心に落とし種から自生してきたコスモスやロシアヒマワリが10~20センチの高さに育っているので、雑草の機械刈りができないのが悩みの種だ。
   5月10日に、植木屋さんに入ってもらって定例の「春の剪定作業」を行ってもらったが、その際の雑草処理は、先月紹介した雑草の役割を活かす「風の草刈り」という手法で、地上10センチより高い、草が風で曲がるあたりをビニールコードの草刈り機で刈ってもらった。
   今回は、虫の害で枯れてしまったオリーヴの樹の大枝も切り取ってもらったので、庭から港の景色がよく見えるようになった。切り取ってもらっても葉の残っている枝や 根元のひこばえ(木の切り株や根元から生えてくる若芽)から樹勢が回復できるということなので、気長に待つことにする。

  

大枝を切り取ったオリーヴの樹の陰で咲くタチアオイ

 雑草と言えば、30坪ほどの広さの前庭の芝生を刈る作業も5月から本腰を入れなければならない。芝生だけならマキタの電動芝刈り機を使っているので月に2度の作業で充分なのだが、年々、雑草に侵食される部分が増えており、芝生より伸びるのが早いので、その対応が大変だ。芝生を痛めず、雑草だけを除草するという触れ込みの薬剤を使ったこともあるが、ほとんど効果はなかった。
 芝生の雑草も先月紹介した「風の草刈り」の効果を狙って頻繁に刈り取り、雑草の減少を狙いたいと考えているのだが......。

 
   花々では、種を取るために収穫後も放っておいて1メートル近くの高さに育ったイタリアン・パセリやルッコラ、ディル、コリアンダー(香菜)の花も地味だが、庭に彩りを添えてくれている。

 例年5月に入ると、虫に食べられて収獲できなくなるサニーレタス、レタス、サラダミックス、ベビーリーフなどの葉ものも今年はなぜか収獲が出来ており、毎朝のサラダボールなどにつかっても減らないので、友人たち手伝ってもらっている。
 落とし種から遅れて出てきたイタリアン・パセリやミント、コリアンダーや4月初めに種蒔きしたバジルや二十日大根、ミニレタスも収穫が始まっている。
 4月中旬に苗を買ってきてネットを張った胡瓜の畝は、最初猫の被害が目に余ったのだが、裏庭のバジル畑同様、ある程度育つと不思議なことに猫が手を出さなくなった。猫にも生長する植物に対する畏敬の念というものがあると、好意的に解釈しておこう。

 胡瓜は花芽が付き初めているので6月上旬には収穫が始まりそうだ。この畝からの収穫は7月中旬には収穫を終えることになりそうなので、5月26日に新たにネットを張って準備した畝に、今度は苗からでなく、節成(ふしなり)胡瓜という、親づるの節ごとに雌花をつける性質があり、栽培がしやすく収穫量も多い品種を種から直播きした。本来はポットに種播きして苗に仕上げてから畝に移植すべきなのだが、わが家の菜園は日当たりが良いせいか直播きでも充分に育つ(はずだ)。

   

花芽が付き始めツルをネットに伸ばし始めた胡瓜

   5月の最大の収獲は4本の木から穫れる枇杷だ。前にも書いたように、長崎の露地枇杷は1月の零下5度の寒波で大被害を被り県内の収穫量は7割減の見込みというが、わが家の枇杷には、被害はほとんど見られなかった。
  5月28日に小学校の同級生3人のほか、その1人の子、孫まで手伝ってくれた。野菜の収穫カゴに大盛りで8杯分ぐらいの収穫があった。もちろん、食べきれる量ではないのでそれぞれジャムなどに加工して保存食とするようだが、今から「返礼品」が楽しみだ。
   私自身は、毎日収獲して昼食代わりの「おやつ」として食べている生フルーツ盛り合わせのヨーグルトに加えて消化しているのだが、鳥との収獲競争がいつまで続くだろうか。

 果樹では、アンズや枝垂れ桃の実、ジュンベリー、ブルーベリーもそろそろ収穫時期だが、これも1人では収穫しきれないので、友人たちの手助けを待つことになる。


     

収穫カゴに大盛りの枇杷

 野菜では、ジャガイモの収穫も始まっている。2月下旬に4カ所の畝にデジマ種の種ジャガイモ22個、メークイン種17個を植え付けていたが、メークイン種の枝葉が枯れてきたので先行して約2キロほどを収穫した。春作は植え付けを減らした上に、肥料の追加や土寄せなどの手入れを怠ったせいもあって、秋作の半分ぐらいの収穫見込みだ。デジマ種も6月初めには収獲できそうだが、長崎が平年より6日早い5月29日に梅雨入りしたので、毎年梅雨の時期に増える虫の害に耐えられるか心配だ。

   一年中収獲できている2つの畝とその周辺に広がるホースラディッシュ(西洋ワサビ)も、4月には葉がすっかり枯れて食用になる地下茎もダメージを受けたかと思ったが、5月に入って新しい葉が急に伸びてきて高さが70センチほどになった。すっかり元気を取り戻したようだ。試しに掘ってみたが充分に独特の辛みもあった。
   港側の庭に、2年前の擁壁修復工事で余った土を運んだら、驚いたことに、そこに紛れていた地下茎の切れ端から新たなホースラディッシュ畑が広がってしまっている。恐るべき生命力だ。
 ホースラディッシュはローストビーフやサラダなどに添えると大変美味しいのだが、ツルハシなどを使って掘り出すのが大仕事なので、引き取り手が少ないのが悩みの種だ。

    

ホースラディッシュとその後ろはイタリアン・パセリの花

 

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今回は、長崎の居留地にまつわる話しを2つ紹介しよう。

 

 

   長崎は、1859年「安政五カ国条約」の締結によって開港され、外国人の居住する地域として長崎港に面した大浦とその周辺の埋め立て、背後に広がる東山手、南山手の造成に始まり、1866年には、南は小曽根築地から北は旧出島まで約11万坪に及ぶ長崎外国人居留地が完成した。1899年には「居留地」の法的な位置づけは廃止されるが、その後も長崎の異国情緒の漂う一帯として存在感を示している。

   居留地の地図と概要は、「さるくマップ」https://saruku.nagasaki-visit.or.jp/saruku-map/の「居留地」をクリックするとPDFで開くことができる。
 わが家は「居留地」の外側に位置するが、マップには含まれており、「港内の船に時を知らせるタイムボールがかつてありました」と記されている。「タイムボール」については当ブログの「長崎のタイムボールについて」https://europedia.hatenablog.com/entry/20160715/p1をご覧いただきたい。

  長崎の居留地については、下記のホームページも参考になるだろう。

  □ナガジン  「長崎異人館ストーリー」
  http://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/hakken0905/index.html

  □ながさきプレスweb magazine  〈長崎居留地vol.1〉
  https://www.nagasaki-press.com/kanko/column-kanko/nagasakipress-kankoka/nagasakikyoryuuchi-1/

 


通っていた幼稚園の建物が高級ホテルに

 

 その居留地にまつわる話しの一つ目は、1898年に南山手町16番フランスの修道会が建てた赤煉瓦造り3階建ての「マリア園」と呼ばれた、現存する洋館としては最大級の規模の建物に関してだ。
 戦前は、女子修道院、幼稚園、外国人子女のための学校「清心女学校」などが併設されていた。
   戦後は、女子修道院に加え、戦災孤児などの養護施設、清心幼稚園などが運営されていた。実は、私はこの清心幼稚園に通っていた。

   この「マリア園」については、智書房の出した  「大いなる遺産 長崎の教会―三沢博昭写真集」という本でも紹介されており、同書店のホームページで、マリア園は「清心修道院http://www.tomojapan.com/nagasakinokyoukai-web/kyoukai/seishin.htmlとして取り上げられている。
                     

   この建物を、不動産開発やホテル経営などを行っている東京の森トラストが買収して「22年度には“インターナショナルラグジュアリーホテル”の開業を目指すそうだ」と当ブログの2017年8月の記事で紹介したが、このほど下記の正式なプレスリリースが有り、一斉にメディアで報道された。

  □PR TIMES  5月24日 プレスリリース 
   「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」誕生
      https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000217.000018049.html

  それによれば、森トラストは、IHGホテルズ&リゾーツhttps://www.ihg.com/hotels/jp/ja/reservationが展開するホテルブランド『ホテルインディゴ』を誘致し、「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」という名称で2024年冬頃の開業を目指すそうだ。地上3階・地下1階で、客室数約70室、敷地面積5,505.29㎡、延床面積4,561.91 ㎡という概要。

   実は、この幼稚園の同級生たちと、改築工事が始まる前に最後の見学会と同窓会を開きたいねと話し合っていたのだが、コロナ禍などもあり実現できなかった。
 居留地から洋館や洋風住宅がほとんど消えていくなかで、「この赤煉瓦造りの修道院が外観だけでも残ってくれるのは嬉しい」というのが、幼稚園の同級生たちの共通の意見だ。

 幸い、私自身は2006年4月に、長崎市のウォーキングツアー「さるく」https://saruku.nagasaki-visit.or.jp/の「南山手洋館」コースに参加し、マリア園http://minamiyamatekai.or.jp/m_index.htmlの中に50年ぶりに入り、懐かしいチャペルなどを見学することができた。
 「南山手洋館」コースは、私の母方の先祖がアルハンブラアメリカン・ホテルを経営していた松が枝40番館と呼ばれた洋館の跡地でも立ち止まった。このホテルは長崎の市民の手によって「星眼鏡ノオト〜アルハンブラアメリカンホテル」https://europedia.hatenablog.com/entry/20040323/p1というミュージカルのモデルともなった。
 同ミュージカルは、2004年に長崎市民の手で上演され、出演者だけでも102人、3時間半に及ぶ大作で、全編に流れる素晴らしい音楽もこのミュージカルのために作曲されたもので、45名のフルオーケストラで生演奏された。


  

赤煉瓦造り3階建ての「マリア園」(2008年11月撮影)


「ルイザとアルハンブラアメリカン・ホテル」

 

 さて、居留地にまつわる話しの二つ目は、上記の外国人子女のための学校「清心女学校」に通い、市民ミュージカル「星眼鏡ノオト〜アルハンブラアメリカンホテル」の主人公ともなった私の母方の祖父の妹で大叔母にあたるルイザの生涯を豊富な資料と写真をもとに描いた本「ルイザとアルハンブラアメリカン・ホテル」(Flying Crane Press 2023/4/29刊¥1,650)についてだ。

   著者は、長崎居留地研究の第一人者として知られるブライアン・バークガフニ教授。教授は、長崎新聞の連載コラム「ながさき異聞」の2023年1月15日の記事に「ここ数カ月、私は長崎居留地研究を進める中でルイザという女性に魅了され、まるで夢の中の人を追いかけるように、領事文書、教会の記録、新聞や書籍、そして子孫が保管する資料からその足跡をたどっている」と熱を込めて書かれていたが、それが実を結んだのが4月29日に出版された「ルイザとアルハンブラアメリカン・ホテル」だ。
   amazonの同書紹介記事によれば「19世紀末から20世紀にかけて、長崎は国際貿易港として未曾有の繁栄を謳歌し、同市の外国人居留地には多国籍コミュニティが形成した。本書は、長崎外国人居留地の歴史と人間像に焦点を絞り、最初は大浦14番地の大きな建物で、後に下り松川南岸の元酒場で営業していたアルハンブラアメリカン・ホテルの経歴と人々に光を当てる。山口サクという勇敢な元潜伏キリシタンの日本人女性とその混血の娘ルイザの実話である......。(中略)一方、戦後の開発の中で忘れ去られ、取り壊しの危機に瀕していた旧アルハンブラアメリカン・ホテルは、和洋折衷のデザインと、朽ちかけたファサードから滲み出るロマンチックな美しさに魅せられた写真家や執筆者の目に留まり、姿を消した後もその残像を長崎の歴史に中に刻んだ」とある。

   この本は現時点では、amazonの詳細サーチで書名や著者名、ISBN番号などを入れても、出てこないが、面白いことにgoogleで「ルイザとアルハンブラアメリカン・ホテル」と検索するとamazonの該当ページが出てくる。

      

                                   
             


■今日のブックマーク&記事■

□トラベルボイス5月1日記事“世界中の空港で発生する「預け手荷物トラブル」、時代遅れの処理への、課題を解決する新たなテクノロジーとは?”
  https://www.travelvoice.jp/20230501-153185?media=tvm

□トラベルボイス5月25日記事“長崎・南山手エリアに「ホテル インディゴ」開業へ、伝統的建造物を再生、森トラストがIHGが協業で”
  https://www.travelvoice.jp/20230525-153545

□CNN May 27記事“Europe is trying to ditch planes for trains. Here's how that's going”
    https://edition.cnn.com/travel/article/planes-to-trains-europe-climate/index.html

□トラベルボイス5月26日記事“今後1年以内に「海外旅行に行く」は14%、20代男性が最多、60歳以上はまだ様子見、ネックは「為替」”
     https://www.travelvoice.jp/20230526-153549

□TRVLWIRE 5月26日記事“欧州で新寝台列車「ヨーロピアンスリーパー」が運航開始
https://trvlwire.jp/?p=34111&utm_source=mailnews&utm_medium=article&utm_campaign=20230529

GOETHE 5/29記事“建築家・谷尻誠、内緒にしておきたいホテル&温泉6選”
https://goetheweb.jp/lifestyle/travel/20230529-tanijiri-hotel 

□マネー現代5/29記事“「円安ニッポン」の救世主・超富裕層がやってくる…!ロンドンの超高級ホテルに泊まってみて分かった!本物のセレブのおカネの使い方”
https://gendai.media/articles/-/110493         

 

5月20日の朝、庭から見た「クイーン・エリザベスⅡ」(9万900トン)の入港