1974年の“欧州鉄道旅行再現の旅”から帰国しました

3月10日より4月8日までの29日間、「1974年の欧州鉄道旅行を今一度」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20071005、「1974年の欧州鉄道旅行をいよいよ再現」 その1http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20080118〜3http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20080222などで取り上げた学生旅行の復刻版の旅に出かけて、無事帰国しました。

旅の印象をひと言で言うと“グローバリゼーション”。どの街も繁華街にはスターバックスH&MZARAマクドナルドなど世界規模の展開を行っている企業の店舗が並んでいて、ちょっと見た目にはどの都市か判別できないほどだ。スペインやイタリアのシェスタの美風も少なくとも都市においては消滅。中欧の手刺繍や伝統的民芸品作りも滅びの道を歩んでいるように思われた。EU圏とシェンゲン条約加盟国の拡大によって国境を感じることもなく、国ごとの通貨両替による目減りもなくなった代わりに、物価が高値で均一化していっていた。とくに、昔物価が安かったスペインの物価が一番高く感じられ、好景気のバルセロナはパリより高いと実感した。

 一方で、34年前の宿や安食堂、市場、親しくなったいくつかの店は健在で、中には22年ぶりにふらりと入ったのに店主が飛んできて握手を求めにきてくれたブダペストのアンティーク・フォークロア・ッショップのような店もあった。そのほぼ同い歳の店主は、昔、片言のドイツ語しかできなかったのに流ちょうに英語やイタリア語まで話すようになっていた。その理由を聞くと「グローバリゼーションだよ」と22年前の彼から想像もできない返事が返ってきた。思えば最後にあったのはチェルノブイリの1986年。私が、ハンガリーの友達の子供たちに甲状腺癌を予防することができるとされたヨード剤を配りに来たときのことhttp://d.hatena.ne.jp/Europedia/20061117。もちろん東西の壁が崩れる前のことだ。ひとしきり“グローバリゼーション”談義を交わし、お互いの空白を埋め合ったものだ。

各地のレストランもグローバル化の波に抗しきれず、メニューを変に“国際化”してみたり、小手先の“健康志向”への変身などで失望させられたところも多かった。他方、良質な素材を使い、人件費も惜しまなかったレストランがいくつか閉店に追い込まれていた。レストランでのひとつの嬉しい発見はしっかりした哲学を持った何人かのオーナー・シェフが時代に流されない賢明な対応策を見出していたことだ。これについては、後日報告したい。

34年前の旅では自らはカメラを持って行かなかったので、その分情景が網膜に未だに強く焼き付いているのだが、行き帰りの飛行機で一緒だった友人と偶然街角で出くわし、撮ってもらった写真が数葉残っている。別の友人に旅立つ前に勧められた「同じアングルで写真を撮ってきて見比べてみる」こともやってみた。先の、22年ぶりに会った店主も22年前と同じアングルで撮らせてもらったので、このブログで比較写真を公開したいと思う。

 当欄の「海外旅行に持って行きたいデジカメとスーツケースなど」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20080229で紹介した、デジカメやスーツケースも大活躍してくれた。とくに、パナソニックルミックス FX35 http://panasonic.jp/dc/fx35/index.htmlは思った以上に旅にぴったりなデジカメで、フラッシュを使わずにも料理写真が撮れるモードが重宝し、結局全ての食事をデジカメに収めることができた。
 今回は、取材の仕事ではないので仕事用の写真は撮る必要はないと自分に言い聞かせながらも、つい取材癖がもたげてしまい、結局1,400枚ほどの写真を撮る羽目になった。

 なお、旅のレポートは、来週から当ブログの当該日に遡ってボチボチ書き込んでいく予定です。

■今日のブックマーク&記事■
□UNHCR's Google Earth maps  http://www.unhcr.org/googleearth
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がGoogleと提携し、世界の難民の状況をネット上のGoogle Mapで見られるようにしたサイト。


 下記の本は、拙著「ウィーン旅の雑学ノート」のテキストと江原美紀男さんのイラストマップに新たに撮影した写真を加えてリメイクし4月11日にダイヤモンド社より発売された「ウィーン旧市街 とっておきの散歩道」(1,575円 発行「地球の歩き方」)です。

ウィーン旧市街 とっておきの散歩道 (地球の歩き方GEM STONE)

ウィーン旧市街 とっておきの散歩道 (地球の歩き方GEM STONE)