高松宮同妃両殿下の417日間世界一周ハネムーンをホテルラベルで追う

高松宮同妃両殿下が1930年4月21日から1931年6月11日までの417日間に渡って全行程7万3900キロのグランド・ハネムーンの足跡を追った本が出版された。同行した侍女が書き記した手紙や集めていた当時のホテルラベルなどを資料として書き起こされた「高松宮同妃両殿下のグランドハネムーン」(平野久美子著 中央公論新社刊 2400円)である。
 行きは、日本郵船の鹿島丸で42日間かけてマルセイユへ行き、ヨーロッパを時間をかけて周遊した後、ヨーロッパからアメリカへはアクィタニア号で渡り、アメリカを大陸横断列車で横断し、帰りはサンフランシスコから秩父丸でハワイ経由横浜へという旅であったという。20数カ国を巡るハネムーンは、風雲急を告げるヨーロッパでの皇室外交でもあり、費用は現在の価格でおよそ6億円であったそうだ。
60ページに及ぶカラー・グラビアの中にはアール・ヌーヴォーアール・デコの美しいホテルラベルが多数紹介されており、世界的なホテルラベルコレクターであるマヌエル・ミモーゾ氏のコレクションも紹介されている。同氏は自身のホームページ http://pwp.netcabo.pt/0150669101/default/default.html でこれらの貴重なコレクションを公開しており、サイトを見て回るだけでも世紀末の豪華ホテルの雰囲気が満喫できるだろう。ラベルは、Index of pages on labels から時代、様式、印刷業者、アーティスト、テーマ別で見ていくと分かりやすい。ゴルフや航空機などをテーマとしたページも興味深い。