海外でノンビリと温泉ライフを楽しもう その1

 海外で温泉を楽しもうとすると、少々日本とは習慣が違うようなので敷居が高いと感じている人も多いのではないだろうか。
 私も、初めてブダペストで温泉に入ったときは大いに戸惑ったものだ。ブダペスト市内には30カ所近い泉源があり、公衆浴場も多いが、旅行者にとって便利なのは温泉付きホテルの滞在だろう。
 秋から冬にかけて、ウィーンの旅行会社のウィンドウを覗くと国内は元よりハンガリーチェコの温泉保養地への格安な“温泉パック”が張り出してある。ホテルの格によっても値段は異なるがブダペストの場合、5年ほど前の料金だが、2泊3日でウィーンからの往復交通費、温泉利用料込みの宿泊費、オペラ鑑賞、1回のジプシー音楽付きディナーがパッケージとなって1人3万円前後からあった。
このようなパッケージでブダペストを代表するアール・ヌーヴォー建築としても有名なゲレルト温泉ホテルhttp://www.srs-worldhotels.com/hungary/budapest/hotel_budgel.htmlに泊まったときのことをお話ししよう。15年ほど前なのだが、料金は2泊3日で2万円以下だったと記憶している。
客室から温泉へは専用のエレヴェーターで降りていく仕組みで、降りてから部屋番号等を受付カウンターに告げると、希望のコースへ案内してもらえる。当時は、英語はおろかドイツ語も通じなかったので苦労したが、日本の褌に似たエプロンを渡されそれに着替えて、先ずはマッサージ・コーナーに行ってみた。そこにはユセフ・トルコのような(昔のプロレスラーです)大男が待ちかまえていて、マサージ台に案内し有無を言わさずマッサージを始めた。ところが、これが全くツボを心得ていないで、力任せに身体を揉むばかり。思わず、ツボを教えようかと思ったが、いかめしい面構えを見ると、言葉が喉に詰まってしまった。そして、英語が話せないはずのユセフ氏は、マッサージが終わり近くになると「Good massage、Good tips」と呪文のように繰り返し始める。マッサージ代金も“温泉パック”に含まれているはずなのだが、小心者の私はGood tipsを払ってしまった。
 その後で、観光ポスターにもなっているアール・ヌーヴォー様式の大温泉に浸かることにした。確か、このプールでは水着に着替えたと思う。
 ポスターでは幻想的な美しさをたたえていたのだが、入ってみるとヌルヌルとしていて、結構不気味なものがあった。しかし、低い温度のコーナーでは、一日中本を読んでいたり、チェスに興じている人々も居た。
ハンガリーの名誉のために言っておくと、最近の温泉は整備され、清潔で近代的なクアハウスも続々と生まれているし、英語も通じるようになった。7〜8年前に泊まったGrand Hotel Margitsziget http://www.srs-worldhotels.com/hungary/budapest/hotel_budgra.htmlとThermal Hotel Helia http://www.srs-worldhotels.com/hungary/budapest/hotel_budthh.htmlはいずれも、清潔感に溢れ外国人の利用がしやすいように英語のガイダンスもしっかりしていた。
また、ヨーロッパでも国によっては、ひたすら温泉水を飲むだけだったり、温水プールの中をゆっくりと歩いたりとさまざまな利用方法がある。本来、温泉は療養なのだから、1週間単位の滞在で最初に医師の診断を受けてから治療プログラムを作り上げるという方式をとっているところも多い。
 ハンガリーの68軒のホテルが参加している日本語を含めた6カ国語で予約できるHotelTelNet http://www.hoteltelnet.hu/jp/ は、ゲレルトも含めた温泉付きホテルが温泉療養と音楽会鑑賞、ディナーショーなどを組み合わせた2〜7泊の企画パッケージを提供するといったホテルの個性を活かしたお得なパッケージを用意している点がユニーク。ほかにも,F1観戦や乗馬、ハンティング、釣り、料理教室、グルメ体験、ワインテイスティングなどさまざまな趣味嗜好に合わせたパッケージをサイト上で探すことができる。
欧米の温泉ホテルの多くは、インターネット割引や“温泉パック”をインターネット公開しているので検索エンジンでThermal Budapest、Spa Czech、Hot spring Italyといった検索を行ってみるとよい。もちろん、温泉ホテルの名が分かっていればそれで検索するのが近道だ。
温泉が湧く国々の政府観光局に行けば温泉に関するパンフレットも用意されているだろう。スイス政府観光局http://www.myswiss.jp/ のホームページを見ると左フレームの「EXPERIENCE」にちゃんと「スパリゾート」という項目も用意されている。他の政府観光局ホームページもチェックしてみるとよい。
☆写真はハンガリーの首都ブダペストのゲレルト温泉ホテル