海外でノンビリと温泉ライフを楽しもう その2

ヨーロッパの温泉がおすすめなのはいくつか理由がある。まず、ヨーロッパの主要な温泉はローマ軍が見つけている点だ。温泉好きのローマの兵士達は、むしろ、温泉があるところに駐屯地を設けたと言えるだろう。その結果、有名な温泉は歴史と伝統があり、世界遺産に指定されたところも多い。したがって、見どころが多いことはもちろん、宿泊施設や交通などの観光インフラも整備されている。
幸いなことに、葡萄造りは乾燥した土壌が適しており、他の農作物に適しない火山性土壌も葡萄なら大丈夫。そして、これがローマ人とわれわれ日本人にもうひとつの楽しみを追加してくれることになったのだ。つまり、温泉保養地の多くはワインの名産地でもあり、飲む楽しみも味わえるのだ。
たとえば、フランスのエクサン・プロヴァンスボルドー地方、ハンガリーのバラトン湖周辺、ドイツのバーデン・バーデン、スイスのバーデン、オーストリアのバーデンなどの温泉地は周囲に広大な葡萄畑を抱えている。
ワインの名産地は、ローマ人によって早くから拓かれたこともあって、その長い歴史とワイン造りの文化の故に世界遺産に指定されているところも多い。したがって、歴史ファンの人々も魅了して止まないことだろう。ハンガリーのトカイ、オーストリアのヴァッハウ渓谷、両国国境にあるノイジードラー湖、ドイツのライン渓谷、フランスのサンテ・ミリオン地区、ポルトガルのアルト・ドウロ・ワイン生産地域などが世界文化遺産に指定されている。
 海外の温泉について知るには「健康と温泉FORUM」http://www.onsen-forum.co.jp/というホームページの「海外温泉地情報」http://www.onsen-forum.co.jp/column/foreigninfo/がおすすめだ。ヨーロッパを中心とする世界の温泉地情報を集めたサイトで、温泉を画像やアクセス、泉質などとともに紹介している。“温泉パッケージ”や問い合わせ先を記載しているものもある。膨大な数の「バックナンバー」も閲覧できる。「世界の温泉地データ」や 海外の滞在型旅行のお薦めスポット紹介やアグリツーリズムや体験型の新しいバケーションスタイルの提案などを行っている「ロングステイ情報」のページもある。
海外の温泉事情を述べた本もいくつか出ている。手元には池内紀氏の「西洋温泉事情」(鹿島出版会)という本があるが、温泉の歴史や文化、著名人のエピソードなどが豊富な写真と図版を交えて描かれている。Amazonで調べてみると¥2,900で在庫もあるようだ。ついでに洋書検索で「Spa」を引いてみるとよい。
 もうひとつ、「日経マスターズクラブ」の連載コラム「世界の名湯&癒しのスパ」 http://nb.nikkeibp.co.jp/masters/members/COLUMN/NUMBERS/hot/ も海外温泉体験旅行の計画作りに役立つだろう。なお、母体の月刊誌「日経マスターズ」の12月号には、連載「賢い大人の旅行術」の一環として国内の「旅行情報のインターネット収集術」を山口が書かせてもらっている。
☆写真はオーストリア中部の温泉保養地バート・イシュルのカイザー・ヴィラ(ハプスブルク家の別荘)

西洋温泉事情

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