1974年の欧州鉄道旅行を今一度 その1

 初めてヨーロッパを旅したのは、1974年、大学2年生のときだった。2月26日に羽田を発った南回りのエールフランス機はサイゴン、バンコック、デリー、テヘラン、テルアビブと5カ所に立ち寄り、最終目的地のパリまで30時間もかかる長旅だった。
 この旅については、当欄の「ノスタルジック・ジャーニー・オン・ザ・ウェッブ」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050606 でもふれたことがあるが、いよいよ来年の同時期にその鉄道旅行を再現しようと目論んでいる。
 そこで、今日から何回かに分けて、当時の旅を振り返りながら、その旅を現在復元するとどのような旅になるかをシミュレーションさせてもらいたいと思う。

 その頃の日本には個人旅行者向けのガイドブックは皆無で、洋書屋で見つけ出したアメリカの若者のバイブル「$10 a Day in Europe」http://www.frommers.com/だけが頼りだった。この本を頼りに、21日間有効のユーレイル・パスを使って、行き当たりばったりで1泊千〜2千円の安宿を探し、学生食堂などで1食100〜300円ほどで済ますという倹約旅行を続けた。見るもの聞くものが面白く、食事をするのを忘れることもたびたびだった。おかげで、1ヶ月弱の旅から戻ったときは10キロ近くも痩せている有様だった。

 物持ちのよい方なので当時使った「旅の手帳」やトーマス・クック時刻表、ユーレイル・パス、領収書、美術館等の入場券の半券などを今でも保存している。当時の時刻表を見ると国境での停車時間が今よりも長かったことが分かる。TEEと呼ばれる懐かしい欧州横断特急を除いて、国境での検査は停車して行うのが原則だったのだ。

 当時は、今のような形の多様な格安航空券はなく、大学生協旅行センターがジャンボジェットの一定の席を貸し切る“ブロック・チャーター”に参加しての“現地解散個人旅行”という形を取った。
現在のように、到着空港と帰国便出発空港を異なる空港にするという“オープンジョー”の格安航空券などなかったので、帰りもパリに戻る必要があった。ちなみに、オープンジョーという呼び名は、旅程を描いた形が、鮫などの顎(jaw)をオープンしたときの姿に似ているところからきている。

 “復刻版”の旅では、パリに戻らず、ウィーンから帰国というフライトを利用しようと思う。歳を取ってくると、飛行機は所要時間が短い直行直帰がなにより。ヨーロッパ内で乗り継ぐ旅程にすると保安検査や恒常的な遅延などで思わぬトラブルに巻き込まれることも多くなってきているようだ。

そこで、東京からパリまでノンストップ、ウィーンから東京までもノンストップという航空券を探してみた。すぐに思いついたのは、両都市にフライト・ルートを伸ばしている全日空だ。帰りは、オーストリア航空の機材を使ったコード・シェア便となるが、全日空のエコ割21WEB http://www.ana.co.jp/int/fare/eco/main/eu/eur/index_1421_w.htmlを使えば安く旅程が組めるはずだ。

 いつも、ビジネスクラスの格安航空券を使ってみたい誘惑に駆られるが、そこは“つもり貯金”して、ビジネスとエコノミーの差額25万円前後を、現地でのささやかな贅沢に使うことにしよう。ビジネスクラスの料理やワインと座席の快適性は確かに魅力だが、わずか、往復24時間に25万円を費やす気には未だなれない。
 体力のあるうちは、“乗り換えのビジネスクラス格安航空券よりもノンストップのエコノミー格安航空券”というポリシーで行きたいと思う。

昔、アップグレードされてローマからファーストクラスで帰ったことがあるが、そのときは、目一杯ファーストのサービスを堪能しようと思い、最初に、寿司をつまみにシャンペンを飲み過ぎ、シートの快適さもあって目が覚めてみれば成田に降下中という苦い思い出もある。根っからの貧乏性が災いして、アッパークラスのサービスも逃しやすい性分なのだ。
 
ネットで調べてみると、往路は、2008年2月26日(火)11:55発のNH205便でパリに16:25到着。帰路は、3月24日(月)13:55 ウィーン発のNH286便で、翌日09:30成田着という、行き帰りともに1974年の旅と同じ日に発着の旅程が組めた。

その時期のエコ割21WEBの料金は76,000円だが、空港使用料や燃油サーチャージは(現時点で)32,510円かかる。合わせると108,510円だ。
 1974年の往復の航空券代は119,000円だった。当時の大卒初任給が3万円代だったことを考えると、航空券はずいぶん安くなったものだ。

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☆右上の写真は、1974年2月のトーマス・クック時刻表と21日間有効のユーレイル・パス

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