秋のウィーン・ブダペスト22日間の旅 その2 「長崎から成田経由でウィーンへ」

*[海外旅行] 秋のウィーン・ブダペスト22日間の旅 その2 

 「長崎から成田経由でウィーンへ」


○長崎から成田空港へ

 

 出発当日の10月4日は、荷物はキャスター付きバッグが10キロ弱、機内持ち込みのパソコンや書類などを入れたリュックが7キロ弱と身軽だったが、友人が車で送ってくれるという言葉に甘えて楽をさせてもらった。11:30グラバー園裏手の自宅発、12:20長崎空港着。

   長崎空港では、ジェットスター成田行き646便が出発する14:30までの時間をオーストリアの友人への長崎みやげなどの買い物をして過ごした。

   成田第3ターミナルには定刻より20分ほど早い16:00到着。着後、無料循環バスで第1ターミナルへ。出発ロビーのある4階のABCカウンターで長崎から送っておいたスーツケースを受領後、ホテルの送迎バスで前泊の宿である成田エアポートレストハウスhttps://www.apo-resthouse.com/へ向かい、17:30にチェックイン。
   夕食は、ホテルのレストランでエアポート御膳という軽めのコースで済ませ、22:00には床についた。

docomoのデータ定額サービス「世界そのままギガ」

   を予約

    翌10月5日は成田のホテルで早く目が覚めたので、旅行中のスマートフォン海外利用の予約設定を、インストール済みの「ドコモ海外利用」アプリから行った。
 2019年までのヨーロッパ旅行ではホテルの無料Wifiだけの接続で間に合っていたが、この4年の間にスマートフォンも進化し、旅行中に街中で活用できるアプリも増えたので、docomoの「日本で契約しているプランのデータ量を海外でも使えるデータ定額サービス」で「世界そのままギガ」https://www.docomo.ne.jp/service/world/roaming/sonomama-giga/という有料オプションに加入することにした。私の場合「ギガホ プレミア」という無制限利用可能のプランに入っていたので、海外でも30GBまでは通信速度制限なく利用できる。
   10月06日00:00(現地時間)から10月25日00:00までオーストリアハンガリーの2カ国利用の予約申し込みをしたところ、料金は19日間¥14,380だった。利用開始の1時間前まではキャンセルも可能とのことだった。
   現地で利用時には最初、ホテル滞在時はWifi、外出時には「世界そのままギガ」といちいち切り替えていたが、「そのままギガ」の接続が快適で、30GBの速度制限まで使うこともないと思ったので、利用開始3日目からはWifiへの切り替えを止めた。持参のモバイルPCの方はホテルのWifiで快適な通信ができた。

   なお、今までも海外旅行の際には、近所のドコモショップで「スマホの海外利用ガイドブック」という小冊子を入手して予習していた。現在は、紙のパンフレットはなくなっているのではと思って聞いたら健在だった。アナログ人間にはこの方が有り難い。もちろんドコモのサイトからダウンロードすることもできる。

  

docomoスマホの海外利用ガイドブック」(全30ページ)

   ついでに、主にスマートフォンで行った旅行中の日本の情報収集についてふれよう。コロナ禍以前は、モバイルPCでNHKのストリーミング・ニュースを聞いていたが、現在はポッドキャストhttps://www.nhk.or.jp/podcasts/で聞く方式に変わったようだ。そこで、遅ればせながらポッドキャストのアプリを出発間際にインストールしておいた。現地では1時間前後遅れてからニュースを聞くことができた。

   日本の新聞の海外での閲覧もいろいろ方法があるようだが、私は日経新聞を購読していたので、クレジットカード払いで購読中の読者が無料で受けられるビューアーサービスhttps://www.nikkei.com/promotion/service/viewerapp/howto/を使ってヨーロッパ滞在中に読んでいた。PCやタブレットでも閲覧できるが、スマートフォンでも充分読むことができた。

   そう言えば、ヨーロッパ在住の日本人の間で親しまれていた日本語テレビ放送「JSTV」が10月末でそのサービスを中止するという記事を当ブログでも紹介したが、この最後の放送をブダペスト滞在中にIntercontinental Hotelで視聴することができた。
  JSTVではNHK大相撲中継やニュース、民放のドラマやバラエティーが視聴できたので、日本からの出張者の中にはJSTVが視聴できるホテルを選んで出張手配をする人も多かったと聞いている。
   現在は、さまざまな視聴方法があるようで、私も、Wowowやスカパーのアプリをインストールしてあったので一部の番組を視聴できたはずだが、結局利用せずに終わった。興味のある方は「海外で日本のテレビを見る」を検索してみると良いだろう。

 


○成田空港から直行便でウィーンへ

 

   翌朝、ホテルで朝食を済ませた後、大型スーツケースにドイツ・ストラティック社製のキャスター付きバッグをキャリーオン(二段重ね)し、背中にリュックという大荷物を持って08:30ホテル発の送迎バスで空港第一ターミナル南ウィングに向かい、08:55にはオーストリア航空カウンターで大型スーツケースを預けてチェックインを済ませ、キャスター付きバッグとリュックを機内持ち込みにして、スターアライアンス加盟航空会社の上級クラスが利用できる保安検査のゴールドトラック(優先レーン)を通って、出国審査に向かった。
 なお、今回の旅に備えて買い換えたスマートフォンと大型スーツケース等については、当ブログ6月30日の記事https://europedia.hatenablog.com/entry/2023/06/30/124428の最後の方に詳しく書いておいた。


 

スーツケースにキャスター付きバッグをキャリーオン


   

  出国審査は、前回の旅と比べて自動化が進んでいた。保安検査の次にある、無人の(サポート・スタッフはいるが)顔認証ゲートでIC旅券のICチップ内の顔の画像と、顔認証ゲートのカメラで撮影した顔の画像を照合して本人確認を行なうという方式になっており、顔認証の処理が完了し、問題がなければゲートが開き、通過することができるという手順だ。審査官から旅券にスタンプを受ける必要がなくなっているのが少し寂しい。出入国在留管理庁のサイトには「スタンプを希望される方は最寄りの職員にお問い合わせください」と書いてはあるのだが。顔認証ゲートについては、出入国在留管理庁の「顔認証ゲートの更なる活用について」https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00168.htmlに写真入りで詳しく解説されている。

   出国審査を通過して、雑誌などの買い物をしてからラウンジでひと休み。オーストリア航空は独自のラウンジがないので、代わりにスターアライアンス加盟航空会社のANAユナイテッド航空のラウンジが利用できた。ユナイテッドの方が出発ゲートに近かったので、そこで40分ほど休んで、10:00には出発ゲートに到着。

   10:28に搭乗し、OS 052便(ボーイング 777-200ER)は定刻より2分ほど早い11:08(以後、予定時刻ではなく実際の発着時刻)にゲートを離れ(すなわち出発)、11:23に離陸した。
   席は、2席分のスペースに1席が設けられた1人席でゆったりと過ごすことができた。オーストリア航空ビジネスクラス・シートはフルフラットとのことだが、クチコミサイトの情報では完全にフラットにはならないと書かれていた。実際にフルフラットポジションにすると少し傾斜が残る。また、そのポジションで横になろうとすると身長173センチの私でさえ足がつかえ、寝ることができない。結局、寝るときはフルフラットポジションより少し上げたポジションで休むことになった。
  機材や内装、キッチンの更新が遅れているせいか、シートに限らず、トイレなどの設備や食事の選択などの対応は、コロナ禍以前に利用したJALカタール航空に比べても後れをとっている印象だった。


   

オーストリア航空 05Aの座席


  

   離陸から1時間後に昼食のサービスが始まった。オーストリア航空の往路は事前のメインディッシュの選択やアレルギーの要望が出せなかったので、配られていたメニューからその場で選ぶことになった。メインは3種あったが、小麦や鶏肉・トマトなどのアレルギーなので、「チキン・レッグ」や「トマトソースのラヴィオリ」は選べず、「赤魚(メバルの1種)の治部煮」を選ぶことになった。
   あまり食欲がなかったせいもあってか、今回は、まったく食事の写真を撮っていない。昔は、本や雑誌の取材で旅行することが多かったので、食事に限らず、片っ端からカメラに収めていた。そのおかげでリタイア後も撮影癖が抜けずにいたが、ようやくその職業病から抜け出せたようだ。

 食前酒、スープ、デザートはパスしたが、ワゴンで運ばれてきて、目の前で選べる前菜は食欲をそそったので、「リーフサラダ」と和食の「金柑と大根の甘酢仕立て」を少々もらった。ワインは、お目当てのグリューナー・フェルトリーナー種の白ワインがメニューになかったので、Langenlois産のリースリングをウィーン流の1杯である1/4㍑もらったが、アテンダントのすすめがあったので、Gelber Muskateller種の白ワインも少々試してみた。これがマスカット葡萄のようなフルーティーな中辛口でことのほか美味しかった。ウィーンに着いてから気づいたのだがGelber Muskateller種の白ワインはブームになっており、たいていのレストランでは置いていた。栽培面積も増えているそうだ。

   パンは小麦アレルギーがあることからギャレーで水をもらったときに、食事の準備をしていたアテンダントに「グルテンフリーのパンはありますか」と聞いたら、「事前に要望を出さなかったのですか」と聞かれ、「グルテンフリー食の事前注文はできなかった」と伝えたら首を傾げていた。

   そのアテンダントが、ほかのスタッフにも私のリクエストを伝えてくれたようで、メインディッシュのサービスの時は、どこかからグルテンフリーのパン(日本製)を探してきてくれた。残念ながら美味しくなかったので、以後は、お断りしたが。
   このときばかりでなく、アテンダントの対応は実に細やかで行き届いていて、設備の古さをおぎなっていた。

   なお、アレルギーをお持ちの方は当ブログの2018年の記事「ヨーロッパでのアレルギー、グルテンフリー対処方法」https://europedia.hatenablog.com/entry/20180530/p1も参考にしていただきたい。
 この記事を書いた頃は、自分のアレルギー対処ノウハウが不十分で、せっかくの食の楽しみを逃した側面もある。最近は、小麦でも「外皮」や「胚芽」の部分も合わせた「全粒粉」のパンやライ麦パンなどの場合、アレルギーが出ないことが分かった。また、小麦の麺類やアレルギーのある果物、野菜、肉でも夕食の際には少量とっても大丈夫なことも分かった。私の場合、アレルギーは食後に運動をする場合に発症しやすいようだ。

   オーストリア航空の食後の楽しみは、10数種類のコーヒーのサービスだ。ウィーンに住んでいた頃から好んで飲んでいたブラックコーヒーにオレンジ・リキュールを加えたMaria Theresiaを迷わず注文。久しぶりに飲んだら気圧のせいもあるのかリキュールがまわった。

   無理して、ビジネスクラスを選ぶ理由のひとつは、トイレの数が座席数の割りに余裕が有り、食後のトイレの行列が比較的避けられるためでもあったのだが、今回は当てが外れた。3つあるトイレは実際はエコノミーとの共用になっていたので、食後と着陸前には長い列ができていた。

   さて、食欲もあまりなかった機内での時間は、もっぱら充実していた機内エンターテイメントhttps://www.austrian-inflightentertainment.com/en/で過ごした。
   座席の前には、15インチのタッチスクリーンが設置されていて、メニューには、Movies, TV, Audio, Game, Your flight(飛行状況案内)などの項目がある。
   最初はAudioで、クラシックやオペラを視聴していたが、意外と選択肢が少なく、すぐに飽きてしまった。
 Moviesの新作紹介に映画“Alma & Oskar”という2023年公開の映画があったので見てみた。作曲家グスタフ・マーラーの未亡人アルマ・マーラーの生涯を恋人であった画家オスカー・ココシュカとの関係を中心に描いた映画で、かねてから公開されたら見たいと思っていたものだ。マーラー役の俳優があまりに貧相で、マーラーの信奉者としてはひどいミス・キャストと思えたので途中で見るのを止めようかと思ったが、すぐマーラーの没後のできごとに切り替わったので、終わりまで88分間、興味深く鑑賞させてもらった。アルマとココシュカのエキセントリックな側面と時代背景がよく描かれていた。

   映画の後も、眠れなかったので、TVをチェックするとConcerts & Showbizのジャンルに昨年のザルツブルク音楽祭で上演されたプッチーニの三部作(Il trittico )があった。これは、彼の作曲した3つの一幕物オペラ、「外套」、「修道女アンジェリカ」、「ジャンニ・スキッキ」を一夜で連続して上演するという演目だ。ウィーンの国立オペラで10月13日にこのIl trittico を鑑賞する予定だったので、良い予習になると思い、3時間にわたる上演を途中で何回か止めながらも最後まで鑑賞した。
  指揮は、今回、10月18日にウィーンでマーラーの「第七交響曲」(クリーヴランド交響楽団)を聴く予定のFranz Welser-Möst、演奏はウィーン・フィルだ。

       

黒海上空を通過中のフライトマップ

   黒海上空を通過後、飛行機はブルガリアルーマニアハンガリーの上空を通過、定刻より3分だけ遅れた18:28にウィーン到着。所要時間は14時間20分だった。
   スムーズに入国審査を終え、荷物の受け取りターンテーブルで、優先扱いで出てくるはずのスーツケースを待つが、他の人のものは途切れずに出てくるが、私のは一向に出てこない。すべての荷物が出終えて、5分ほど待つと、またターンテーブルが動き出して続々と荷物が流れてくるが、私のスーツケースはまったく見当たらない。それもそのはず、表示を見ると、現在、流れているのはアンカラからの後で着いた便だった。
    せっかく「ロストバゲージの危険性を避けてノンストップ便を選んだのに」と悔やんでもしょうがないので、バゲージクレームのカウンターで順番を待つ。3組ほど前に並んでいたので自分の番まで20分ほどかかった。その間に、「機内持ち込みに着替えや洗面用具、スーツケースの写真など入れておいて良かったが、保険の手続きや明日購入しなければならないものもある面倒だな」などと思い悩んでいたら順番が来て、事情を説明した。すると係員が持参のクレイム・タグを手に取って、「これなら今ターンテーブルに乗っています」と確信に満ちた口調でのたまわった。「次の便が終わっても出てこなかったと言っているのに」とぼやきながらも、あまりの強い口調にダメモトでターンテーブルに向かってみると。なんと、私のスーツケースだけがひとり寂しそうに私を待って回り続けていた。   

 クレイムタグとターンテーブルにスマートトラッカー(小型GPS)のスキャンシステムでも組み込まれていたのではと一瞬思ったが、そんな形跡もない。
    後日、1ヶ月ほど前の同じ便で成田から戻ってきたウィーン在住の友人に話すと、彼らもまったく同じ経験をして、アンカラからの便の後に出てきたという。

 

 何はともあれ、無事に感謝して到着出口から150メートルほどの距離にあるにあるNH Vienna Airport Conference Center https://www.nh-hotels.com/hotel/nh-vienna-airport-conference-centerにチェックイン。時計を見ると19:32分。長時間ロストバゲージ騒動で煩わされたと思っていたら、到着からたった1時間ほどの間の出来事だった。
    チェックイン時に、「メンバーの方ですね。何度もご利用いただき有り難うございます」と言われて、いつもより広い上層階の部屋にアップグレードしてもらえた。

 

   チェックイン・カウンターを背にして、離れようとしたらその女性がくしゃみをした。反射的にドイツ語圏の人が行う習慣で、振り返って“Gesundheit!”(お大事に)と声をかけた。彼女は日本人からそのような反応があるとは意外だったようで、戸惑いながらもにっこりと笑って“Danke”と返してくれた。このとき、4年のブランクがあるが自分のドイツ語もこれからの旅でまだまだイケそうだと変に自信がついた。
   部屋に向かうエレヴェーターの中で、伊丹十三さんの「ヨーロッパ退屈日記」に引用されていた彼の友人が詠んだ「旅慣れてニタリと笑う俺の心のドン・ジョバンニ」という歌をなぜか思い出した。

  

    部屋に落ち着いたのは19:50頃、日本時間にすると午前02:50だ。機内で着陸前の軽食事に配られたおにぎりを夕食代わりに食べてから、熱いお湯につかり、現地時間21:00には就寝。熟睡することができた。


   今回は「海外旅行(旅日記)」の「その2」としながら、長崎からウィーン空港まで止まりで、未だウィーン市内にも入っていない。まあ、だいぶ寄り道があったのでよしとしよう。
    10月末の当ブログで、「旅のレポートは、来週あたりから書き始め、12月中に終了する予定で6回ほどに分けて報告したい」と書いたが、どうも年を越してしまいそうだ。

   振り返ってみると、2019年の11月12日(火)から12月3(金)までの「晩秋のウィーン22日間の旅」の最終回「その7」https://europedia.hatenablog.com/entry/2020/03/12/172753 を書いたのは、2020年の3月12日だった。

 

今回の旅程

●2023年10月4日(水)~10月25日(水)「秋のウィーン・ブダペスト22日間の旅 その1 」オーストリア航空  長崎→成田 ジェットスター(成田1泊)→成田 オーストリア航空→ウィーン(4泊)→ブダペスト(3泊)→ウィーン(12泊)オーストリア航空→成田→ジェットスター→長崎

 

 

■今日のブックマーク&記事■

□TRVLWIRE 11月13日記事
「生成AIで旅行計画、北米では旅行者の3分の1以上が経験済み」
  https://trvlwire.jp/?p=35418

□TRVLWIRE 11月27日記事
「日本人の長距離海外旅行、ついにリベンジ需要表出か、他国には劣るも19年超」
  https://trvlwire.jp/?p=35445

□トラベルボイス11月30日記事
「日本人の海外旅行の意向は2300万人、一人旅の増加傾向も、今後の打ち手をツーリズムEXPOで聞いてきた」
  https://www.travelvoice.jp/20231130-154586