カンボジアへの1週間の旅 その1

11月16日から22日までの1週間、念願のカンボジア旅行に出かけてきた。主な目的は、第6回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作品「淡淡有情」(平野久美子著)で描かれた、後に外交官として活躍する戦前の日本でエリート教育を受けたカンボジア人留学生ウォンサニットさんと彼を支えた樺太生まれの千代さんという女性のお墓参りと、生前、一人でも多くの子供たちに教育の場を、将来の夢を、と願っていた千代さんの遺志をついで、多くの日本人の支援者の力によってバッタンバン州の小中学校内に建てられた「千代さんメモリアルスクール」を見学させてもらうことだ。
 プノンペンから北西300kmにあるバッタンバン州の「千代さんメモリアルスクール」までは、校舎の管理を引き受けてくださっているNPO法人「JHP学校をつくる会」(代表小山内美江子氏 http://www.jhp.or.jp)の方々に案内していただいた。
「千代さんメモリアルスクール」とウォンサニットさん、千代さんについては、平野久美子さんのホームページの「忘れられた日本人−千代さんメモリアルスクール−」http://www.hilanokumiko.jp/web/05_charity/index.html で短く紹介されている。また、ウォンサニットさん、千代さんの生涯について興味をお持ちの方は下記の「淡淡有情」をぜひお読みいただきたい。
 

淡淡有情

淡淡有情

 

 ウォンサニットさんと千代さんは、1975年、ポル・ポト政権樹立とともにフランスに亡命、1993年のカンボジア帰還まで、パリ10区でクメール料理店を経営していた。実は、私は、1990年頃にその料理店"L’Auberge des Temples"でお二人に一度だけお目にかかったことがある。そういうご縁もあり、一度はお墓参りに伺い小中学校も見学させていただきたいと思っていたのだ。

 ポッティボーン小学校(生徒数 約600人)、ゴダルドンティウ 中学校(生徒数 約1,500人)の写真と立派な寺院の前に建てられたお二人のお墓の写真も紹介しておこう。



 なお、千代さんとウォンサニット氏の遺志は、子供達に勉強の場を、というだけでなく、整理整頓、清潔な暮らし、という日常の生活指導にも及んでいた。現在、上記の学校では周囲の川の浄化など身近な環境問題に取り組んでいた。また、ポッティボーンの小学校からは校舎の増設申請が来ているそうだ。ゴダルドンティウ 中学校には、コピー機もなく、不足している教科書の代わりとなるテキスト作りにも不自由していると言う。さらに、両校とも天体図や人体模型、地球儀、顕微鏡などの視覚教材も皆無に近い。
 日本では、小中高の視覚教材がデジタル化し、アナログの視覚教材は破棄されていっているようだが、なんとかカンボジアの小中高で有効活用してもらえる方法はないものだろうか。

 「忘れられた日本人−千代さんメモリアルスクール−」のページには継続的な支援のための寄付口座も案内されている。お志のある方はなにとぞよろしくご協力のほどを。