海外の旅行ガイドブックを振り返る その3

レストランやグルメ、ワインに関する情報はガイドブックよりも料理雑誌等の方が役立つのではないだろうか。欧米では、「グルメとワインと旅」という雑誌のジャンルが確立しており、可処分所得の多い層が読者となっているので広告収益も充分上がっているようだ。日本でもこのジャンルの雑誌が創刊されたことはあるが、成功と言えるものはまだないようだ。そのようなニーズがないのかと思っていたら、アメリカの編集者に「その方面の優秀な編集者が日本にはいないから」と言われてしまった。そう言えば、日本のその手の雑誌は編集者の独りよがりで「君たちの知らないいいところを教えてあげるから黙って買って読んでなさい」といった心根が感じられて辟易とすることが多い。
さて、レストラン情報を得るガイドブック並びにウェブガイドとしては「ヨーロッパ42カ国のレストラン情報を網羅したViaMichelin」という記事 http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040403でも紹介したミシュラン・ガイドブックとそのウェブサイトViaMichelinが一押しだ。とくに、ViaMichelinには自分の計画する旅程表を地図上に描き、利用予定のホテルやレストランも書き込めるルート・プランナー機能もあるので楽しい。
ミシュラン・レッド・ガイドブックはどちらかというと伝統的料理を出すレストランや老舗が高く評価されるが、グルメガイドのGault Millauはフランスのヌーヴェル・キュジーヌを原点とし日本の懐石料理の影響も受けた旬の素材を軽めの味付けとヴォリュームで出すクリエイティヴな料理を高く評価する傾向がある。ミシュランよりこちらのレストラン・ガイドの方が馴染みやすいという同胞も多いようだ。
Gault MillauはGault氏とMillau氏が立ち上げたグルメ・ガイドだが現在は、両氏の手を放れているようだ。Guide Gault Millauhttp://www.gaultmillau.de/gmd/index.php3はドイツ語のサイトだがフランス、ドイツ、オーストリアをカバーしている。
 Gault Millauのフランス発信のサイトhttp://www.guides-gaultmillau.fr/もあるが、現在リニューアル中で、公開されているコンテンツは少ない。Gault Millauはフランスで雑誌も出しているがこれがなかなか面白く、一時期は定期購読していたこともある。20年以上前だが「この夏コート・ダジュールで50フランで食べられるコース・メニューのある店」といった特集が実に役立った。
 Gault Millauと親戚関係とも言える北米のグルメ・ガイドGayot http://www.gayot.com/も有名だ。北米の主要都市の他、ロンドンやフランスのガイドブックも出しており、そのホームページには、レシピやワイン、グルメ・ツアーに関する記事も豊富にある。
 アメリカのガイドブックFodor's Travel Guide http://www.fodors.com/とArthur Frommer's Budget Travel Online http://www.frommers.com/のサイトには、ともに世界中の大都市のどの地域にあるレストランか予算はといった項目で検索できる機能がある。
イベントガイドなどを発行するTime Out社http://www.timeout.com/の Eating & Drinking欄でも主要都市のレストランを紹介している。
TravelLady Magazine http://www.travellady.com/という雑誌のウェブ・サイトは女性ばかりか男性のグルメたちにも大人気のサイトで、千以上のバックナンバー記事が閲覧できる上に、Destinationsには世界各国のグルメ・サイトへのリンクが並んでいる。ケーキなど甘いものに関するページが異常に多いのはご愛敬だ。
アメリカで出されている有名なワイン雑誌Wine Spectator http://www.winespectator.com/のホームページはワインファンにとって旅に役立つ情報の宝庫だ。ワインファンへのおすすめの宿やレストランが紹介されているが、残念ながほとんどのコンテンツの閲覧が有料化されてしまっている。
窓からの景色がよいホテルを部屋番号とともに紹介するRoom with a Viewの連載で有名なConde Nast Traveler Magazineのサイトで、東京の「眺めの良い部屋」はどこかと検索してみたら、銀座第一ホテルの東京タワーが眺められる部屋が出てきた。
イギリスの出版社Conde Nastが出している月刊の旅行雑誌Traveller http://www.cntraveller.co.uk/に名物連載“Room with a view”があった。今も続いているかどうかは知らないが、ホテルの部屋から眺めを撮った写真を中心とする1ページの連載だった。写真を撮ったホテルの部屋番号とURL等が記載されているので読者は、その部屋を指定して予約することもできた。かつては、“Room with a view”のバックナンバーもウェブ上で画像付きで楽しめたのだが、サイトを見た限りでは名物連載が見られなくなったようだ。昔、ウェブ上のバックナンバーで見つけた東京を代表するRoom with a viewが銀座第一ホテルの東京タワーが見える部屋の写真になっていて少々落胆したことを思い出した。
なお、米語スペリングのTraveler http://www.nationalgeographic.com/media/traveler/はNational Geographicが出す全く別の雑誌で、こちらは右フレームの「Traveler Magazine Articles」からバックナンバーの記事の一部を読むこともできる。