個性的なプチホテルを見つける方法

ヨーロッパを旅して、旧市街の中心にインテリア・センスのよい家族経営のプチホテルを見つけ、「今度来たら、こんなホテルに泊まってみたい」と思った経験はないだろうか。しかし、日本では、そのようなホテルは旅行会社のホテル・リストや既存のガイドブックに載っていることは滅多にない。その理由は、旅行会社が扱っているホテルは基本的に、団体向けホテルの個人へのばら売りであり、個人旅行者にもアメリカン・スタイルのホテルやビジネスマン向けのチェーン・ホテルを真っ先にすすめているからだ。
そこで、今回は、プチホテルの見つけ方と、手配の仕方、そして、個性豊かなプチ・ホテルの魅力を堪能するテクニックをご紹介しよう。
 面白いことにアメリカやオーストラリアでは、プチホテルのことを、Boutique Hotelという名で呼んでいる。アーティストやデザイナーの個性を全面に打ち出して、建物やインテリアなどを作ったプチホテルをDesigner's Hotelと呼ぶこともある。
 プチホテルの知られざる魅力のひとつは、小さいながらも優れた企画力や手配力を持っているところが少なくないことだ。たとえば、フィレンツェのPendiniグループhttp://www.florenceitaly.net/nihongo/index.htmlは観光局顔負けの日本語の観光案内ホームページを開いており、「ウッフィツィ美術館で行列に並ばずに入れる事前予約」や「グッチやプラダのアウトレットへの車手配」など個人旅行者向けの実に細やかなサービスをおこなっている。
 私が、プチホテルの企画パッケージの魅力を痛感したのは、ハンガリーの温泉保養地への格安な“温泉パック”を利用したときのことだ。ホテルの格によっても値段は異なるがブダペストの場合、7年前の料金だが、2泊3日でウィーンからの往復交通費、温泉利用料込みの宿泊費、オペラ鑑賞、1回のジプシー音楽付きディナーがパッケージとなって1人3万円前後からあった。
インターネットもなかった時代のことで、このようなパックはわざわざウィーンの旅行会社の店頭に出向いて申し込んでいた。
 今では、このような企画パックもインターネットで探して申し込めるようになった。たとえば、ハンガリーの52軒のホテルが参加している日本語を含めた6カ国語で予約できるHotelTelNet http://www.hoteltelnet.hu/jp/のサイトでは、温泉付きホテルが温泉療養と音楽会鑑賞、ディナーショーなどを組み合わせた2〜7泊の企画パッケージを提供していることが分かる。ほかにも,F1観戦や乗馬、ハンティング、釣り、料理教室、グルメ体験、ワインテイスティングなどさまざまな趣味嗜好に合わせたパッケージをこのようなサイトで探すことができる。
ヴェネチアの豪華ホテル Cipriani http://www.hotelcipriani.com/web/ocip/ocip_a1a_splash.jspのPalazziと呼ばれる別館のグルメ・パックを10年前に利用したときのことも忘れられない。ひとフロアーに3部屋しかないのだがフロアーごとにバトラー(執事)が付き、外出から戻ると好みのカクテルを持ってきてくれたり、小腹が空くと部屋にあるキッチンでCiprianiブランドのパスタを茹でて軽い食事を作ってくれたりもする。一番の感激は、夕食をヴェネチアの高級レストランの中から自由に選んでいいことだった。しかも、何を食べてもいいと言うことだった。半信半疑ながらも図々しくトップ・レストランのHarry's Barに行ってみた。ここぞとばかりキャヴィアのカナッペやトリュッフのパスタ、舌平目のグリルなど高価な料理を選んだが、本当にサインだけで済んでしまった。しかも、ホテルの専用ボートで大運河を越えて送り迎えまでしてくれたのだ。
Ciprianiは、10年経った今もこのパッケージを満載した美しいパンフレットを送り続けてくれている。グルメ・パックも健在で、ゴルフ・パックや同じオーナーシップのフィレンツェ郊外のVilla San Michele宿泊と組み合わせたハネムーナー向けのパックもあった。今では、これらのパッケージもCiprianiのサイトのNEWS&OFFERS→Special Offersのページで見ることができる。
これらの「企画パック」はヨーロッパに限らず世界中のホテルの多くが提供している。Googleなどでホテルのオリジナル・ホームページを見つけて探してみてはいかがだろうか。創意溢れる「企画」を眺めるだけでも、しばし旅行気分に浸れることだろう。
 以下のサイトもプチホテルを探すのに役立つだろう。Boutique Hotels http://www.boutiquehotels.com.au/index.html は、数は少ないがオーストラリアに拠点を置く世界のブティック・ホテルのポータル・サイトだ。今日、トップページを見たところプラハアール・ヌーヴォーのホテルParíž http://www.hotel-paris.cz/aj/indexaj.htmlが取り上げられていた。
40カ国の400近い伝統あるシャトー・ホテルやレストランをメンバーとする組織Relais & Châteaux member のサイトhttp://www.relaischateaux.com/en/は、ちょっと高級なプチホテルを探すのに役立つ。イギリスのSmall Luxury Hotels グループhttp://www.slh.com/index.htmlも高級なプチホテルをメンバーに抱えている。
☆写真はブダペストのホテルGellert http://www.danubiushotels.com/gellertの温泉