ヨーロッパで気軽に温泉三昧の日々を

この季節になると、ヨーロッパの温泉体験を懐かしく思い出す。
 「去年マリエンバードで」や「黒い瞳」など映画に登場するヨーロッパの温泉リゾートを見る限りでは、ちょっとフォーマル過ぎて敷居を高く感じてしまうのではないだろうか。
 確かに映画のように長期滞在の湯治客が社交や演奏会を楽しみながら医者の作った療養メニューや食事療法でじっくりと湯治をするのがヨーロッパの温泉の本流ではあるのだが、伝統的階級社会が崩れてくるに連れ温泉文化も随分と大衆化が進んできたようだ。
 実際に、ここのところ大都市の公園に併設された日帰りの温泉施設や家族連れで楽しめるテーマパークのような郊外のクアハウス、2泊3日といった短期の温泉パックを用意したホテルなど異邦人でも気軽に訪れることのできる温泉が増えてきている。

たとえば、カフェ・オバーラーのウィーン本店http://www.oberlaa-wien.at/index1.htmlがそうだ。クアコンディトライ・オバーラーというのが本店の正式名称で、70年代に整備された硫黄泉の湧く温泉公園(クア・パーク)でヘルシー志向のダイエット・ケーキを売り出して評判を勝ち取った店だ。この温泉では温水プールで泳ぐことが中心で、ウィーン市民で賑わっている。
 ウィーンの南130kmほどには郊外テーマパーク型の典型のログナー・バート・ブルマウhttp://www.blumau.com/22931_DEもある。こちらは自然との共生を追求した画家フンデルトヴァッサーがデザインした230万平方メートルに及ぶ巨大リゾート施設だ。ベッド数800のホテルはなだらかな緑の丘に覆われ、温泉プールやエステ、サウナ、マッサージなどの付属施設は曲線を多用した独特のフォルムとデザインパターンで飾られ、大人をお伽ぎの国に誘う不思議な森の入り口といった観がある。

ヨーロッパの古都の魅力と本物の温泉を同時に満喫したいという欲張りな人には、ヨーロッパ最大の温泉都市であるハンガリーの首都ブダペストを薦めたい。なにしろ、市内の128の泉源から湯煙りが立ち昇り、30数カ所の温泉浴場が点在している。
おすすめは、温泉ホテルが用意している宿泊パックの利用だ。中でもドナウ河畔に建つアール・ヌーヴォー様式のホテル・ゲレルトhttp://www.danubiushotels.com/en/budapest-hotels/danubius-hotel-gellert-budapestが素晴らしい。天窓から降り注ぐ光が水面に揺らぐ幻想的な雰囲気の中で湯に浮かべた盤の上でチェスを打ったり、ひねもす読書に耽るといった少々アナクロな愉しみ方もここなら絵になる。
 私が、ホテルの企画パッケージの魅力を痛感したのは、このホテル・ゲレルトの格安な“温泉パック”を利用したときのことだ。ゲレルトの場合、8年前の料金だが、2泊3日でウィーンからの往復交通費、温泉利用料込みの宿泊費、オペラ鑑賞、1回のジプシー音楽付きディナーがパッケージとなって1人3万5千円前後からあった。
 インターネットもなかった時代のことで、このようなパックはわざわざウィーンの旅行会社の店頭に出向いて申し込んでいた。

 今では、このような企画パックもインターネットで探して申し込めるようになった。たとえば、ハンガリーの115軒のホテルが参加している日本語を含めた11カ国語で予約できるHotelTelNet http://www.hoteltelnet.hu/jp/のサイトでは、温泉付きホテルが温泉療養と音楽会鑑賞、ディナーショーなどを組み合わせた2〜7泊の企画パッケージを提供していることが分かる。ほかにも,F1観戦や乗馬、ハンティング、釣り、料理教室、グルメ体験、ワインテイスティングなどさまざまな趣味嗜好に合わせたパッケージをこのようなサイトで探すことができる。

拙著「フィレンツェ旅の雑学ノート」で絶賛したCorbaiaというワインを生むキャンティのワイナリーCASTELLO DI BOSSIは、ワイナリーでのテイスティングと宿泊を受け入れているが、そのプログラムを掲載していたのは日本のNPO法人「健康と温泉FORUM」のホームページ http://www.onsen-forum.jp/の「コラムーロングステイ情報」 http://www.onsen-forum.jp/co/column/longstay/longstay03.htmlだった。
ボルドーの有名ワイナリーの中にあるLes Sources de Caudalie http://www.sources-caudalie.com/という温泉ホテルでは、ワインが含むポリフェノールや温泉水を用いたヴィノテラピーという療法を編み出してその目玉にしている。

関連過去記事:「海外の温泉保養地を調べるのに役立つサイト」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20060328

■今日のブックマーク&記事■
□Japan internet.com「Google、ヨーロッパで地図情報を手がける Endoxon を買収」
http://japan.internet.com/wmnews/20061219/12.html
□Japan internet.com「NTT ドコモ、モトローラGSM 対応「FOMA M702iG」を12月22日発売」http://japan.internet.com/allnet/20061219/6.html
 海外でも音声通話をはじめ、iモードiモードメール、iチャネル、SMS やテレビ電話 が利用可能とのこと。国際ローミングの際に便利な、ネットワーク自動切換機能、ダイヤルアシスト機能も搭載。また海外で便利なワールドクロック、為替計算機能付きの電卓、英語予測機能、電子辞書を搭載している。
☆右上の写真はブダペスト ホテル・ゲレルトの温水プール

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