地球の窮状を訴える「地球白書 2007-08」が出版された

 「地球白書 2007-08」は、ワシントンD.C.のワールドウォッチ研究所(Worldwatch Institute)http://www.worldwatch.org/ が発行した“State of the World 2007”の日本語版で、詳しい内容は http://www.worldwatch-japan.org/BOOKS_SYOUKAI/HAKU_2007-2008.htmlで見ることができる。

 その紹介ページの冒頭には、
 「2008年、世界で2人に1人が都市に住み、6人に1人がスラムに住む。スラムで住む2人に1人は水道も使えない。そして、年間160万人が満足なトイレも使えず命を落とす」
 「1950年、人口、1000万人以上の都市はニューヨークと東京の2つだけだった。2007年、こうした『メガシティ』は世界で20都市にのぼる。
  そして、2015年までに、人口100万人の都市の数が、アフリカで59、ラテンアメリカとカリブ諸国で65、アジアで253になるという。早ければ2030年には、世界の都市人口の5人に4人が、現在呼ぶところの発展途上国に住むことになる」とあり、今年の「地球白書」は「都市」をテーマに、様々な地球環境問題を読みといていっているのが特徴のようだ。

目 次:
はじめに 環境界の一年間の主要動向
第一章 持続可能な都市をつくる−21世紀の人類の試練
第二章 衛生革命−きれいな水と女性が安心できるトイレを
第三章 都市農業−食料と環境と生きがいのために
第四章 公共交通都市−クルマ依存から「歩きやすい街」へ
第五章 エネルギー自給都市−再生可能への転換と効率改善
第六章 防災都市−人命と財産を守る都市づくり
第七章 公衆衛生都市−安全で健康に暮らせる都市づくり
第八章 地域経済主義−グローバル化から経済を取り戻す
第九章 貧困や環境的差別との闘い−都市空間を公平にする

 まだ、近くの図書館に届いていないので「地球白書 2007-08」を読んでいないが、とくに読みたいと思うのは、第一章の「格差と環境 都市の比較に見る低・中・高所得都市の国家的背景」や第四章の「公共交通都市―クルマ依存から『歩きやすい街』へ」、「マイカーの年間ガソリン使用量―突出するアメリカの都市 東京はアトランタの一〇分の一」、「歩行者と自転車のために 『人間優先』の都市政策が全ての基本」、「都市交通の経済学 クルマ依存を覆す鉄道交通のメリット クルマ依存は非経済的 クルマを持たない豊かな生活 環境に配慮した交通政策は経済成長をもたらす」といった記事だ。

 ワールドウォッチジャパンhttp://www.worldwatch-japan.org/  は、1988年から隔月の地球環境総合誌「WorldWatch」の日本語版を『ワールドウォッチ』として刊行している。2000年10月には、ワールドウォッチ研究所との協議により日本語の広報機能を果たすために、ホームページを開設した。「地球環境問題レポート」http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/index.htm のページには、「中国 経済成長が環境と社会に不安定さをもたらす」、「中国 急速な経済発展が環境汚染を引き起こす」、「東京や大阪などの大都市が海面上昇で危機に」といった「地球白書」からの引用や「気候変動が北極のイヌイットの生活を直撃、予想以上に早い氷の融解」、「生態系:緊急に保護を要するオーストラリアの大サンゴ礁」、「漁業資源:『海のエコラベル』が持続可能な漁業生産を守る」、「地球温暖化:気候変動で登山がさらに危険に」、「水資源:ミネラルウォーターは環境に有害」といった大変興味深い記事が取り上げられている。
 ワールドウォッチジャパンは、無料で購読できる「環境メールマガジン」も月に2〜3号発行している。「環境関連リンク集」http://www.worldwatch-japan.org/LINK/index.htm も貴重だ。

地球白書 [2007-08] 都市の未来 ―ワールドウォッチ研究所

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  • 作者: クリストファーフレイヴィン,ワールドウォッチ研究所,ワールドウォッチジャパン,環境文化創造研究所,浜中裕徳,林良博,原剛,福岡克也,松下和夫,安井至,北濃秋子,木下由佳,木村ゆかり,富田輝美,浜崎輝
  • 出版社/メーカー: ワールドウォッチジャパン
  • 発売日: 2007/11/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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