ストリート・マップ・サイトが消えてゆく

旅行に必要な考えられる限りの情報を盛り込んだフランスを中心とするヨーロッパで展開し15,000都市をカバーしていた地図サイトISMAPが消滅してからもう2年以上が経つ。もともとMicrosoftの支援の元に立ち上がったデジタル・マップ・サイトで日本語ページまであり、PDAなどとも連動していたのだが残念な限りだ。ISMAPについては、「フランスから始まったデジタルマップISMAP」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040511の記事も参照いただきたい。
 一方、「デジタル・ガイドブックwCities.com がリニューアル」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20061206などで取り上げているwCitiesは、ますます内容が充実してきているが残念なことに、地図がGoogle Mapに入れ替えられたため、単一の物件だけが地図上に表示されるようになり、以前のような付近のショップやレストラン、ホテル、観光スポットなどを一斉表示することができなくなってしまった。

日本の女性誌がよく特集するような海外のショッピング・ストリートマップのようなヴィジュアル性豊かなデジタルマップとしては、フランステレコムの子会社PagesJaunes社の電子電話帳がパリの裏通りに至るまでストリートマップや航空写真を掲載しており、建物の写真や一軒一軒の商店なども細かくチェックできた。残念ながらこちらもショップやレストラン、ホテル、観光スポットなどが並んだスクロール可能なストリートマップは消えてしまい。一般的なデジタルマップと物件の周辺図のみとなってしまった。もっとも、パリ市内のほとんどの建物の正面写真が見られるので宿泊予定の宿の周辺を画像で下見しておくといった使い方には充分役立つ。

 試しに、PagesJaunes http://www.pagesjaunes.fr/ の英語版で1974年に泊まった安宿Hotel de Buciを調べてみよう。トップバーにはYellow Pages、White pages、Whose number is this ?、World Directories といった一般的な電子電話帳の機能ボタンが並ぶ。それぞれ、企業電子電話帳、個人電子電話帳、電話番号からの逆引き電子電話帳、日本のNTT英語版電子電話帳など世界の電子電話帳のリンクページの機能を備えている。PagesJaunesの電話帳に慣れたらWorld Directoriesから他の国の電話帳を開いてその機能を見比べてみるのも面白いだろう。

 PagesJaunesのトップページhttp://www.pagesjaunes.fr/ciweb2g-pagesjaunes/RecherchePagesJaunes.do?langue=enのActivité(Business type)にHotelと入れ、Nom(Name)にHotel De Buci、Numero (Number)に半角数字で22と入れ、Rue(Street)の欄にカルチェラタンにあるRue de Buciという通りの名を入れ、Localite(Town) にparis、Departement ou region(Dept district or region) の欄にもparisと入れRechercher(Search)ボタンを押すと、22番地の4つ星ホテルHotel de Buci http://www.hotelbuci.fr/の詳細が現れる。地図や建物の正面写真、ホテルのオリジナル・ホームページへのリンクなども並んでいる。

 itinéraireの文字をクリックすると空港や鉄道駅など任意の地点からHotel de Buci までの行き方が表示される。電話番号の下にPlan/Itinéraire横のPhotoをクリックすると建物の正面写真が現れ、写真の右の矢印をクリックすることで周辺の建物の写真を眺めることもできる。

 パリへの旅から戻ってきた友人のおすすめのワイン・レストランを割り出すのにこのPagesJaunesが役だったこともある。よくある話で、友人の記憶は「あそこの大通りを右に曲がって煙草屋の角から2〜3軒目だよ。名前はシャブリなんとかと言っていたな」という程度。ふつうなら諦めてしまうのだが、どうしてもその店に行きたくなったので、PagesJaunesのShops by street(商店街のスクロール・マップ−現在運用中止中)を使ってたどるとルーブル近くのRelais Chablisien (4, r. Bertin-Poiree 1区 現在はLes Dessous de la Robeというレストランに変わっている)を見つけることが出来た。残念ながらレストランのホームページはなかったが、店の正式名称をGoogleに入れて検索すると、その評判や値段の目安まで一目瞭然だった。

 PagesJaunesのトップページ右フレームのVille en DirectのPhotos -Franceからはパリのほかニースやリヨン、ストラスブールなど17都市の500万点を超える街角の写真が検索可能だ。この機能は、QDQ.comスペイン電話帳 http://fotos.qdq.com/マドリードバルセロナ、セヴィリヤ、ヴァレンシアなど周辺国の都市でも普及し始めており、今後急速にヨーロッパ中に広がっていくことになるだろう。Ville en Directには天気予報ページを開いたりといった旅に役立つ様々な機能が含まれているので、興味のある方は探検してみるとよいだろう。
 PagesJaunesの電話帳に慣れたら世界各国の電子電話帳(オンライン電話帳)をリンクしているInfobel World Telephone Directories http://www.infobel.com/teldir/ で、他の国のデジタル電話帳を探して試してみるのもよいだろう。その特徴や機能についてのコメントを英語で加えている便利なサイトだ。大陸別の地図を選択して、国別の選択画面に移行し、目的の国を選ぶ。多くの国が複数の電子電話帳をリンクしており、星の数でその評価を加えている。一部の国の電話帳は地図上に位置を表示するほか、メールアドレスやURL、ファックスの番号まで検索することができる。

“日本の女性誌がよく特集するような海外のショッピング・ストリートマップ”は、GPSとの連動で再度ウェブ上に復活してくるものと信じる。機会があれば、最新の“ストリートマップ探し”を当欄でも試みてみたい。

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☆右上の写真は カルチェラタンの4つ星ホテルHotel de Buci http://www.hotelbuci.fr/