明治・大正期の木造洋館に関するサイト

 昨夜、ネットサーフィンをしていて、ホテル幻影「失われたホテル アルハンブラアメリカンホテル」http://www3.ocn.ne.jp/~kyokyo/alhambra.htmというページに出会った。

 当欄の「 ミュージカル“アルハンブラアメリカンホテル”」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040323 でも紹介させてもらったが、私は、1957年4月より1960年3月までの間、曾祖母が元々所有していた洋館「松が枝町40番館」に住んでいた。同洋館は、昭和の初めまでは高級船員や貿易商、海軍士官などを相手にする「アルハンブラアメリカンホテル」として曾祖母並びに大叔母ルイザによって経営されていた。

「ホテル幻影」にある大浦14番地の絵はがきは、“アルハンブラアメリカンホテル”が松が枝町に移転する前のホテルの姿を伝えている。

 40番館に移転したホテルは、1階が酒場で2階がホテルという西部劇でお馴染みの様式のつくりだった。1960年前後は、1階が三菱の社倉(社員家族専用購買所)として利用されていた。

当時、40番館の敷地裏手には日本風の長屋もあり、そこには“アルマさんのママさん”と呼ばれる90歳代の女性が住んでいた。家には仏壇があり、義和団の乱(「北京の55日」−1900年)で20歳前後で戦死した若いイギリス水兵の夫の遺影が飾られていた。イギリス政府は夫の戦死後70年以上に渡り、2度の大戦中も途切れることなく、月100米ドルの遺族年金を支給し続けたと聞いている。
余談だが、この戦いには映画「サウンド・オブ・ミュージック」のモデルとなたトラップ大佐http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20060721も、オーストリア・ハンガリー帝国海軍の陸戦隊員として従軍し、マリア・テレジア勲章をもらっている。


 同ホテルとルイザ並びに常連客のエピソードは、2004年に長崎ブリックホールで上演された市民ミュージカル「星眼鏡ノオト〜アルハンブラアメリカンホテル追想録」http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-White/1779/hosimg.htmlで実に見事に再現されていた。

 松が枝町40番館の建物は、小林勝氏の写真集「長崎・明治洋館」でも、「風化のあとが克明に刻み込まれた赤煉瓦の壁、木の鎧戸、二階のベランダの手摺、軒下欄間のアーチ、裏手に回れば天草石を積み上げた屏など、いろいろな素材が組み合わせられ、独特の雰囲気を漂わせた木造洋館であった。合理性、機能性をのみ追求する現代の建築に比べると、いかにも間の抜けた、とぼけた建物であった。しかし、かえってそれが親しみを感じさせてくれたものである。撮る側が親近感を抱いていると、取られる対象も確かにそれに応えてくれるものである。この洋館を撮った写真は国画会展や二科展などで数回受賞させてもらったが、昭和41年8月突然解体された。私にとっては写真開眼の洋館でもあった」と書いておられる。

 小林勝氏が案内役となった長崎放送のテレビ番組「九州遺産第9回−時を越えて 長崎の洋館たち」(1998年)でも、生活感が残っていた数少ない洋館として高く評価されていた。

1960年当時、松が枝町40番館での朝食は、ニシンの燻製とゆで卵を刻んだものをサンドイッチの具にしたり、自家製のベーコンやソーセージをイギリスパンと一緒に食べるなどヴォリュームのあるものであった。
 20年ほど前に、スコットランドを訪れた際、長崎居留地の朝食がスコットランドの朝食そのものであったことに驚かされたが、グラバーを始め長崎在住英国人のほとんどが、英国貿易商の傍流であるスコットランド系であったことを思い出した。


今日は、松が枝町40番館に思いを馳せたついでに、明治・大正期の木造洋館に関するサイトを紹介しておこう。
 

西洋館 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E9%A4%A8
洋館探訪(Old Western Style Architectures)http://homepage2.nifty.com/youkan-tanbou/
東 京 の 古 い 洋 館(明治大正昭和初期の洋風建築)  
http://www.asahi-net.or.jp/~cn3h-kkc/tokyo/yorkan.htm
よこはま洋館付き住宅を考える会 http://yyjk.web.infoseek.co.jp/
横浜 観光 グルメ ガイド♪「山手の丘の洋館めぐり」http://www.smile07.net/archives/cat47/post_312/
異人館ネット http://www.ijinkan.net/index.html
かさこワールド「洋館写真」 http://www.kasako.com/youkanfoto2.html


長崎大学「幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」http://oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/jp/
長崎建物図鑑 http://arch.cside.com/tatesya-nagasaki.html
あっ!とながさき「居留地時代を偲ばせる洋館あれこれ」http://www.at-nagasaki.jp/theme/history/th004/
「長崎煉瓦洋館紀行」http://shigeru.kommy.com/nagasakirengakikou.htm
「長崎雑記帳」http://www7a.biglobe.ne.jp/~t-uchida/zakki.html
「星眼鏡ノオト〜アルハンブラアメリカンホテル追想録〜を100倍楽しむ!」http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-White/1779/hosimg.html
アルハンブラアメリカンホテル」http://www3.ocn.ne.jp/~kyokyo/alhambra.htm
「ながさき」を歩こう 長崎さるく http://www.saruku.info/


西洋館を楽しむ―カラー版 (ちくまプリマー新書)

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NHK 美の壺 明治の洋館 (NHK美の壺)

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洋館さんぽ WEST 目的でさがすガイドブック

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背景ビジュアル資料〈5〉洋館・洋風建築

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