秋のウィーン・プラハ18日間の旅 その3

今回はウィーン滞在中に気づいたことやレストラン、両替などについて書かせてもらう。

ウィーン到着の10月14日(土)、ホテルに到着したのは20時、日本時間では翌日の午前3時だ。フランクフルトからウィーンへのフライトでスナックが出たこともあり、この日はあらためて夕食はとらなかった。夜、寝ているときに水が飲みたくなると時のことを考えて、機内でもらったペットボトルを空の状態で持ってきて、ホテルの水道水を詰め直してミニバーに入れておいた。

昔、ウィーンのホテルのミニバーに炭酸抜きのミネラルウォーターが置いていないのを不思議に思って、知り合いのホテルマネージャーに理由を聞いたことを思いだした。「客室の水道の蛇口をひねればよく冷えたアルプスの雪解け水が流れてくるのに、誰が高い金を出して水を買うんだ」とのことだった。

前回、ヨーロッパへのフライトを10月14日にした理由を書き忘れた。15日の朝にウィーン・フィルのコンサートがあったので、本来はもう1日余裕を持って13日の到着としたかったのだが、昔からの習慣というか験担ぎで、13日の金曜日には国際線に乗らないと決めていたからだ。朝起きるのが辛いかと案じていたが、現地時間22時に寝て、翌朝の6時には目が覚め、疲れも感じなかった。

ウィーンでは、毎回来るたびの習慣で、15日の午前のコンサートのあと、友人たちと、ドナウの本流を見下ろすKahlenbergの丘から葡萄畑に降りて行く途中にある行きつけのホイリゲ(ワイン居酒屋)Hirt http://heuriger-hirt.at/で乾杯。ウィーンならではの1/4リットルのジョッキーでちょうど時期のSturm(濁り酒)やワインの新酒を好物のウィーン風ハンバーグや肉まんじゅう、野菜のパイ焼き、ポークのクミン風味グリルなどのつまみと一緒に味わう。陽光の下、快適に飲めるのは、おそらく週末として今年最後となるようで、予約をしていなければ入れなかった賑わいぶりだった。

ウィーンでの友人たちとのもうひとつの恒例行事は、旧市街の16世紀のバロック建築の地下深くにあるワインケラーZwölf-Apostelkeller(十二使徒ケラー)http://www.zwoelf-apostelkeller.at/での飲み会だ。最初にこのケラーに来たのは1974年のことだから43年前になる。実は、そのときから、毎年のようにここのメニューを集めていて今でも20枚ほど手元にあり、メニュー内容はほとんど変わりがないものの価格がオーストリア・シリングからユーロになったり、43年前と比べると4倍ほどだったりと変遷を振り返ることが出来る。ちなみに、今年は去年と値段がまったく変わっていなかった。

 ウィーンのワイン酒場の常で、ここでは1/4リットルのジョッキーでワインを飲むことになる。1/4 で3.9 Euroから、ボトルでとっても17.9 Euroからと値段は手頃。ツマミには名物のとろけるような牛タンのハムに西洋わさびを添えたもの(Zunge mit Kren 7.2)や卵入りのお団子をスライスして炒めサラダを添えたもの(Eiernockerln mit grünem Salat 8.7)、野菜の重ね焼きGemüsestrudel 8.9)、ソーセージやハムなどの盛り合わせ(Apostelplatte 14.5)、仔牛のウィナー・シュニッツエル(19.9)などを頼み、小皿に取り分けて食べた。
料理の味はほとんど変わっていないようだが、友人たちと一緒に気づいたのは、ジョッキーのワインがどれも水で薄めたかのように不味く感じられたことだ。値段に大幅な違いがないので、少々情緒にかけるが、これからはボトルで頼んで小さなワイングラスで乾杯することにしよう。

今回の旅では、ヨーロッパでの15泊中7回のコンサートがあったので、夕食はコンサート終了後の遅い時刻となることが多かった。行った店は、オペラ座裏手のワイン・レストラン Augustinerkeller https://www.bitzinger.at/de/augustinerkeller/、生パスタのセルフサービス・チェーンVapiano http://at.vapiano.com/de/restaurants/vapiano-moulin-rouge-walfischgasse-11/、楽友協会から歩いて10分ほどにあるヴェトナム料理店Saigon http://www.saigon.at/home.php?lc=enミシュランにも掲載されているシュテファン寺院近くの老舗レストランZum Weissen Rauchfangkehrer http://www.weisser-rauchfangkehrer.at/jp/などだ。

 コンサートのないときに行ったお店では、ワイン・ケラーEsterhazy-Keller https://www.esterhazykeller.at/esterhazykellerオペレッタやウィーン民謡などの生演奏(アコーディオンとヴァイオリンのデュオ)が良かった。拙著「ウィーン旅の雑学ノート」の古い記事を部分引用しておこう。
エステルハージー侯爵家のワインケラー

左手に鋳物の看板をくぐってゆるやかに下るスロープがあり、ハールホフ(Haarhof)という小さな広場に出る。この高低差は、防壁の外に堀があったころの名残でもある。さて、私が嵌まるのは堀ではなく、スロープの左手途中にあるエステルハージー・ケラーだ。このワインケラーは旧市街では一番安く、しかも、午前十一時から営業という不謹慎さだ。このケラーが慎みを忘れてしまったことには同情の余地がある。ケラーのある建物はエステルハージー侯爵家の持ち物だった。トルコ軍の十七世紀の第二次包囲の際に市民防衛隊の面々はもっぱらここで会議を開いたが、お目当ては侯爵がふるまうただ酒だったとか。しかし、お堅いマリア・テレジアは飲み屋としての営業許可をなかなか与えず、ついに、折れて与えたときも夕刻四時の開店、夜九時の閉店を条件とした。そして、この厳しい条件をこの店はなんと一九八〇年代まで守り通したのだ。朝っぱらからの営業に誰が文句をいえよう。
 ケラーは大きな部屋だけでも三つあり、奥は、地下水路につながっている。わがコルプ先生の話では、ナチ併合時代にレジスタンスがこのケラーから出入りし地下水路を伝わって連絡を取り合っていたことにゲシュタポもまったく気づかなかったそうだ。

 友人に車で連れて行ってもらった郊外のワイン造りの町Gumpoldskirchenは、10数年ぶりの訪問だったが、教会と葡萄畑、町役場を中心とした古い町並みが昔のまま残っていて感激した。 Straitz http://www.straitz.com/straitz/Heurigentermine.html という広い中庭を持つ昔ながらのホイリゲで食事とワインを楽しんだ。

最後に、今回の旅での両替方法とレート、並びに貯まったマイレージについてレポートしておく。
昨年の「初秋のウィーン・ブダペスト16日間の旅 その5」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20161225 で“「ソニー銀行のキャッシュカード」と「Visaデビット」がひとつになりました”というSony Bank WALLET http://moneykit.net/visitor/sbw/を利用してみた結果を報告した。今回もこのカードを使おうと思ってユーロ預金の残金も確認しておいたのだが、うかつにもカードを持ってくるのを忘れてしまった。
 そのため、現地での支出のほとんどは、日本航空のマイルが貯まるJALカード(ショッピングマイル・プレミアム)http://www.jal.co.jp/jalcard/function/jpp.html を使った。前回の報告にもあるが、このカードは海外でのショッピングでも100円に付き1マイルが付くので、(1マイルがいくらに相当するかは1マイル5円など諸説あるが、私は1マイル3円と評価している)100円の利用で3%得するとも考えられるわけだ。そう考えると、マイル加算を犠牲にしてまでSony Bank WALLETを使うメリットはないように思われるので、かえって良かった気がする。
今回のカード使用で得たマイルは、5,164マイル。これに、JALの航空券購入で得た4,318マイルとJAL便搭乗の10,419マイルを合わせると19,901マイルが貯まったことになる。自分流に換算すると6万円弱だ。

帰国後に確認したクレジット・カードの換算レートは、旅行期間中にユーロの変動もあったので135.264円〜137.588円の間だった。クレジット・カードが使えないときの支払には、前回の使い残しのユーロ現金を充てたが、10月16日に、銀行で日本円からユーロに両替したことがあり、1ユーロが135.89円というレートで、クレジット・カードのその日のレートが135.334円だったので、ほとんど差はない。その銀行はシュテファン寺院の裏手にある Schelhammer & Schattera https://www.schelhammer.at/というところで、ウィーン在住の外国人の間ではレートが比較的良いことで知られている。

 
■今日のブックマーク&記事■

□“The Best Bilingual Food Guide to Japan . Bento.com” http://bento.com/

ウィーン 旅の雑学ノート―ハプスブルクの迷宮を極める

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