日本旅行のバーチャルカウンター店舗

ITの成果を生かして、ウェブ上で旅行会社と旅行者が同一のインターネット画面を一緒に切り替えながら見て、オンラインで対話を交わし、旅行計画表を埋めていく.....。というと、まだ、遠い将来のことのように思われるかもしれないが、実は、すでに実用化されている。しかも、お互いにブロードバンドでインターネットが使える環境にあれば、プラグイン・ソフトのインストールは必要だが、機器を追加することもなく可能である。
このような機能を持ったプロダクトの一例として、MVP株式会社http://mvp.jp/が開発した“シンクロブラウザ”http://www.synchrobrowser.net/がある。これは、旅行会社側と顧客が各々のパソコンのブラウザを同期させながら対話を進めるもので、たとえば、シャトーホテルを日本語化した画像付のサイトで顧客と選びながらマイ・ページ(旅程表)に加えていく。ホテル選びの途中で、ミシュランなどの別サイトに一緒に飛びホテル近くのレストランを選び(これも旅程表に加える)、さらに、鉄道電子時刻表サイトなどに飛び好みの時間帯の列車を選んで次の都市への移動スケジュールを決める。オペラなどのエンターテイメント鑑賞の要望があれば、オペラのスケジュールサイトに飛び演目を見ながら希望の価格帯の席をその場で予約してしまう。旅行者側に語学のハンディがあり、予約画面の記入が困難であれば相手のかわりに自分のパソコンから入力フォームを埋めてあげて、お客に同じ入力画面を確認してもらって送信させることも不可能ではない。
さらに、ホームページ上の地図やオプショナルツアーの選択画面、旅程表画面の上に直接、図形や文字を描きこんだりすることもできる。
この作業中の旅行者とのコミュニケーションはIP電話やチャットと組み合わせることが可能で、IP電話サービスの相互接続を利用すれば遠距離でも通信コストも気にする必要はなくなる。
また、第三者が加わることもできるので、遠距離にいるハネムーナーが別々の端末から同時に旅行会社と接続して旅行計画を詰めたり、旅行者側と旅行会社に現地オペレーターや添乗員、挙式手配業者などが加わって計画を詰めるといったこともできる。
このほか、航空会社の予約システム(CRS)や初心者向けパソコンの使い方を遠隔地から教習したり(受講生がどの部分が判らないかが一目瞭然)、サポート・サービスに活用したり、海外旅行中の危機管理や代替手配に利用したり、テレビ会議に使ったりと応用範囲は広い。
上記の機能のすべてを使い切っているわけではないようだが、これを真っ先に旅行ビジネスに導入したのが日本旅行http://www.nta.co.jp/の「ヴァーチャル・カウンター」だ。ちょっと分かりにくいが、トップページ右下の「インターネットご旅行相談サービス」のバナーを開けば概要が分かる。また、同社のニュースリリース“ホームページで「バーチャルカウンター店舗」展開を開始”http://www.nta.co.jp/news/2005/1024.pdfでも詳細を知ることが出来る。
 ニュースリリースによれば、「従来の電話による会話だけではなく、関連する画像やテキストなどをお客様と店員とが相互に共有することができるため、実店舗での対面接客サービスに近い、バーチャル店舗サービスを実施します。これにより、ホームページ上においても、お客様はリアルな店頭カウンターと同じ感覚で店頭社員から接客を受けることができることになります。また、ブラウザ間で情報を共有できますので、『お客様がどこをご覧いただいているのか』、『何にお困りなのか』などお客様の状況を把握することが容易となり、サービス品質の向上、満足度の向上につながることを狙いとしています」とのことだ。