晩秋のウィーン22日間の旅 その4 

*[海外旅行]晩秋のウィーン22日間の旅 その4 

 「自炊と新酒を楽しむ居酒屋、レストランなど」

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ドナウの本流を見下ろす ホイリゲ Hirt からの眺め

 今回、自炊のできるホテルを選んだのは、アレルギー体質がひどく外食が困難な点がひとつと、音楽会が終わった10時頃からコース料理を食べるのが苦痛だったからだ。

 以前にも書いたが、アレルギーの原因となる物質「アレルゲン」は、大好物の、トマトが一番強い反応を示し、続いてジャガイモ、イチゴ、キウイ、バナナ、リンゴ、ピーナッツもダメ。小麦や大麦、大豆、胡麻、トウモロコシもアウトという有様だ。
 当欄【ヨーロッパでの「アレルギー」、「グルテンフリー」対処方法】https://europedia.hatenablog.com/entry/20180530/p1」に書いたようにヨーロッパでは、レストラン・メニューに主要「アレルゲン」の表示が義務づけられているので、外食はしようと思えば可能なのだが、音楽会のない日は友人たちと新酒を飲ませるワイン居酒屋や地下のワインケラーに行ったので、結局、ひとりで外食したのは1回だけだった。

 では、どのような“自炊生活”だったかというと。まず、朝食は日本で作っている朝食とほぼ変わらない品揃えができた。“ウィンナコーヒー”を自分で淹れて、ベーコン・エッグをフライパンで焼き、市場やスーパーで買ってきた大盛りのサラダを添えて食べるというのが基本だ。初めは、トースターがないのでパンをフライパンで焼くのに苦労したが、そのうちにうまく焼けるようになった。
 サラダは、ギリシャ風、プロヴァンス風、農家風などチーズやハム、ハーブなどの組み合わせで多種多様なものが売られているので、翌朝のサラダをお店で選ぶのが楽しみでもあった。また、サラダにのせるオリーヴやモッザレッラチーズ、ドライフルーツなどもナッシュマルクト市場で調達した。

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ホテルのミニキッチン

 グルテンフリーのパンは、たいていのスーパーで扱っているが、正直言って美味しいものは少なかった。そこで、ウィーンの友人に聞くとGrimm http://www.grimm.at/という老舗パン屋のものが評判だというので、3日目からはそこの物を買うようにした。   

 Grimmは1536年創業で、大昔に何回か取材したことが有り、自分の書いたガイドブックなどでも紹介したことがあった。火曜日の朝がグルテンフリー・パンを焼く日と決まっているようで、それ以外の日は品数が少なかった。パンのほかに粉菓子(クーヘン)の類もあったのでおやつに買い置きしておいた。

 昼食は、日本でと同様、基本的にとらない。代わりに、新鮮なフルーツをたっぷり入れたヨーグルトやクーヘン、ナッシュマルクト市場にある店で買ったトルコ菓子などのおやつを15~16時にコーヒーと一緒に食べた。

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ナッシュマルクト市場のトルコ人経営の惣菜店

 夜は、自炊というよりもワインによる“晩酌”がメイン。つまみは、事前にスーパーなどで買っておいたものやナッシュマルクト市場の内外にあるレストランからのTakeoutを利用した。

 そういうときに役立ったのがTripadvisor https://www.tripadvisor.jp/のレストラン・ページの「テイクアウト可」「グルテンフリー有り」という選択機能だ。主にアジア料理系のレストランを利用し、海鮮炒飯やライスヌードルなどをメインとし、野菜炒めや海鮮サラダなどを添えた。家に持ち帰ってから温め直したり、冷蔵庫にある食材を付け足したりもした。

 悪いことにホテルのすぐそばにはWEIN & CO Naschmarkt https://www.weinco.at/filiale/wien-naschmarkt-9316というウィーンでも最大級のワインショップ兼軽食レストランがあった。深夜まで営業していたので、つい買い足してしまい飲み過ぎることになった。

 「ひとりで外食したのは1回だけだった」と書いたが、それは、楽友協会からホテルへの帰り道にある評判のヴェトナム料理店Vietthao https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g190454-d2417368-Reviews-Vietthao-Vienna.htmlだった。小さな店でいつ覗いても混んでいたが、中に入ると1人用の席をわざわざ設えてくれて、料理も“特注”に気さくに応じてもらえた。チャンスがあれば滞在中にもう一度訪れたかった好感の持てる店だった。

 さて、ウィーンの新酒(ホイリゲ)だが、解禁日は毎年11月11日と決まっており、友人たちには解禁日を狙ってきたのだろうと冷やかされた。

 最初に新酒を味わったのは到着後2日目の11月15日。友人に車で連れて行ってもらったウィーンの南20kmほどにある周囲を葡萄畑に囲まれた町メードリング(Mödling)のホイリゲ・レストランだった。メードリングは一時期ベートーヴェンが住んでいたことでも有名でルネッサンスバロック様式の古い館も残っており、昔、ウィーンの森歩きでよく訪れたことがある。

 その町の広い中庭を持つ地元の人しか来ないHeurige Pferschy-Seper https://www.pferschy-seper.at/でウィーン風ハンバーグやポテトでくるんだ肉まんじゅう、ポークのクミン風味グリルなどをツマミにホイリゲを1/4リットルのグラスで飲んだ後は、グリューナー・フェルトリーナーやゲルバー・ムカテラー種の地元産のボトルワインを2本ほど空けた。

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Heurige Pferschy-Seper のツマミとワイン

 次にホイリゲを味わったのは、11月17日で、毎年のように通っているドナウの本流を見下ろすKahlenbergの丘から葡萄畑に降りて行く途中にある行きつけのホイリゲ(ワイン居酒屋)Hirt http://heuriger-hirt.at/だ。ウィーンならではの1/4リットルのジョッキーで新酒を同じく好物のウィーン風ハンバーグや肉まんじゅう、野菜のパイ焼きなどのつまみと一緒に味わう。庭の席が眺めが良いのだが、この時期は寒いので、室内の窓際の席で楽しんだ。

 ウィーンでの友人たちとのもうひとつの恒例行事は、旧市街の16世紀のバロック建築の地下深くにあるワインケラーStadtheuriger Zwölf-Apostelkeller(街中のホイリゲ 十二使徒ケラー)http://www.zwoelf-apostelkeller.at/での飲み会だ。最初にこのケラーに来たのは1974年のことだから45年前になる。メニューは暗記しているので、牛タンのハムに西洋わさびを添えたもの(Zunge mit Kren 7.5)や卵入りのお団子をスライスして炒めサラダを添えたもの(Eiernockerln mit grünem Salat 8.9)、野菜の重ね焼きGemüsestrudel 8.9)、仔牛のウィナー・シュニッツエル(19.9)などをメニューを見ないで頼むと周りの客から驚きの目で見られた。残念ながら最近は、この店のグラスワインが不味くなってきているので、値段に大幅な違いがないボトルワインを中心に楽しんだ。

 この店の西洋わさび(ホースラディッシュ)の味が忘れられず、今では、長崎の自宅の庭で栽培し、自家消費には充分すぎる量が収獲できるようになった。

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牛タンのハムに西洋わさびを添えたツマミ

 次回は、「ワイン・食材ほかのショッピングとクリスマス市 編」を書く予定だ。


当欄関連過去記事:
グルテンフリー米パンの手作りにチャレンジ」 https://europedia.hatenablog.com/entry/20180417/p1


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