*[長崎日記]春のガーデニングとコロナウイルス

*[長崎日記]春のガーデニングコロナウイルス

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垂れ桃

 新型コロナウイルス感染症の蔓延により、世界が音を立てて変容して行っている気がする。過去も現在も中国との交流が盛んな長崎市だが、今のところ、市内での感染者は公表されていない。医療関係者の話でもコロナウイルスによると思われる肺炎は顕在化していないようだ。
 それを良いことに、2~3人の友人たちと1週間に1回ほどのペースでわが家での「ワイン会」を続けている。気が早いと思われるかも知れないが、最近の話題は、感染症終息後の世界がどのように変わるかと言うことが中心だ。もっとも、終息と言っても、一部の識者の間では、地球規模で見れば終息は1年から2年後になるのではとの意見もあるので、先の長い話ではある。

 終息後の世界では、死生観は元より、芸術、娯楽、教養、旅行、食生活など暮らしを巡る様々な事象に変化がもたらされるだろう。ブレイン・ストーミングというほどではないが、「偽物が簡単に見透かされる時代が来る」、「古典や漢文への回帰が起こる」、「歴史を真剣に学ぶようになる」、「芸術・芸能の文化が断絶する恐れがある」、「パンデミックの背景には、地球温暖化とそれに伴う生態系の変化があるに違いない」、「消費生活が見直され、元のような消費形態の急回復はない」、「EUが解体していく」と言ったことが酔いに任せて話題に上った。

 個人的には海外旅行、とりわけヨーロッパ旅行が当分の間見送られるだろうと思う。私自身は、今年秋に予定していたヨーロッパ旅行はとっくに諦め、来年に予定していたギリシャ・トルコの旅も再考しなければならないと思っている。一度止まった定期航空路線網は完全回復まで相当の時間がかかるに違いない。パイロットや運航関係者の再編成・慣熟訓練、航空機の徹底的なオーバーホールも必要になるはずだ。また、検疫の強化、セキュリティの厳格化、閉鎖された観光施設の再整備、人種的偏見の顕在化、新たな感染症への恐れ、可処分所得の減少などから旅行意欲自体が弱くなる可能性もある。

 もうひとつ恐れるのは、パンデミックが収まらないうちに、他の災害が重なることだ。地震津波、火山噴火、風水害、森林火災、原子力事故、「蝗害」などなど。社会が疲弊していれば、追い打ちを掛ける災害がもたらすダメージは甚大なはずだ。

 さらに、日本は食料自給率の低さが気になる。原油価格が暴落しているとは言え、価格に関係なく戦争やテロ、政変に起因する“油断”はあり得るだろうし、パンデミックの余波で金融危機が起これば、円滑な貿易決済を必要とする輸出入も滞るだろう。

 農林水産省のホームページhttps://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.htmlを見ると長崎県は、カロリーベースでの食料自給率は50%弱だが、生産額ベースの自給率は150%近い。これは、本マグロや鱧、伊勢エビなどの高級魚を中心とした豊富な海産物や枇杷、イチゴなどの比較的高価な果実類が多く収獲できるからとのことだ。ちなみに、長崎県の海岸線は北海道より長い。北方領土を除けばの話だが。

 食料に関しては、東アフリカ・中東・パキスタンの砂漠地帯のサバクトビバッタの大量発生による「蝗害」(こうがい)のもたらす農産物被害の影響も気になる。
 清朝時代の安徽省湖北省の東隣り)の農民の生活を描いたパール・バックの小説「大地」で描かれている「イナゴ」(バッタ科)の害による大飢饉の「イナゴ」は「トノサマバッタ」や「サバクトビバッタ」であった可能性があるという。

 食料自給率向上に少しでも貢献するというわけではないが、わが家の自家菜園は、増産態勢に入った。今年の春作を止めようと思っていたジャガイモも今月初めに3つの畝に植え付け、すでに元気な芽が出てきている。ベビーリーフやサニーレタス、サンチュ、サラダ・ミックス、水菜などの葉ものやバジル、ルッコラ、イタリアン・パセリ、ミントなどのハーブも芽が出てきており、ベビーリーフはそろそろ収獲できそうだ。
 これから実を結び始め収獲が見込めるものとしては、垂れ桃やアーモンド、ジュンベリー、山椒、オリーヴなどがある。

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アーモンドの花

 すでに収獲済みで保存庫や冷蔵庫に入れてあるものは、不作年と台風による塩害で収穫量が500個ほどと3割減になった甘夏や逆に120個ほどの豊作だったレモン、30個の初収穫ができた柚子がある。いずれも、夏まではもちそうだ。

 庭を観察していて気になるのは、年々、蜜蜂や昆虫を見かける数が減っていることだ。国連環境計画UNEP日本語情報サイトの「食料を作るには虫や動物がいなくちゃ!」https://ourplanet.jp/bugs-and-beastsには、国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、「世界のほとんどの国の食料の90%をまかなっている100種類以上の作物種のうち、70%以上が蜜蜂を経由して受粉している」と書かれている。

 わが家では、アーモンド、パッションフルーツ、桃、キュウリ、レモン、柚子、甘夏などが蜜蜂のお世話になっている。蜜蜂ばかりでなく、蛾、ハエ、スズメバチ、甲虫、チョウなどの昆虫や鳥類や哺乳類も、花が咲く植物のほとんどの繁殖プロセスに貢献しているそうだ。
 昆虫や鳥類の減少の原因は、農薬や除草剤の散布のほか、大気汚染(ミツバチの植物探知能力を損なう恐れがある)、気候変動によって変化した生育期と降雨パターン、送電線などの電源から出る電磁場など、近現代になって発生したさまざまな事象によるもののようだ。

 さて、東京では、公園などでの花見が自粛されているようだが、長崎でも桜の名所のいくつかでは自粛が呼びかけられている。長崎市内のソメイヨシノの開花は、3月24日だったが、近くにある気象台の標本木より40メートルほど高い位置にあるわが家の一本桜は2日遅れの26日に開花。あと2~3日で満開になりそうだ。桜は散り始めが一番美しいと思うので、今週末には、庭にテーブルを持ち出して、少人数の“禁断”の花見の宴を催す予定だ。

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五分咲きの桜



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