gooが旅行情報収集にも便利な「自然文検索」機能を復活

 NTTレゾナントが運営するポータルサイト「goo」の「自然文検索」サービスの実験については、当欄の「goo日本語自然文検索は旅行情報探しに抜群の効果」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040215などで紹介していたが、いつのまにか運営が中止になっていた。
しかし、この10月4日からようやく正式運用が開始された。検索窓http://search.goo.ne.jp/web.jsp?TAB=&MT=&web4.x=33&web4.y=4 右側に表示される「文章で検索する」をチェックを入れ「検索」ボタンを押せば、キーワードではなく話し言葉の形式の自然な文章で検索できる。 
 入力された文章は自動的に解析され、適切と思われる検索キーワードを生成し検索を実行するという。これにより、適切な検索キーワードが思い浮かばない場合や、検索結果が0件の場合でも、日本語自然文検索機能を利用することで適切な検索結果を得られる可能性を高めることができるとのこと。
いくつか、試してみた。
 「ヨーロッパ最大の滝」では、「最大の滝」の定義の仕方による違いもあって、複数の回答結果が得られた。
 「ヨーロッパの最高峰」と検索してみたが、結果はモンブラン(4870m)ではなく、ロシアの北カフカスにあるカバルディノ・バルカル共和国にそびえる標高5642.7 m のエルブールス山(Elbrus Info Site http://www.elbrus.org/)が有力とされていた。「山尾先生の筑附通信 ヨーロッパ最高峰について」http://homepage3.nifty.com/tasiro/elbrus.htmによれば、ヨーロッパとアジアの境はコーカサス山脈とされているが、エルブールス山は、境となるメインの山稜より約10キロほど北側、つまりヨーロッパ側にあるので、これがヨーロッパの最高峰だ、というのが一般的な説明のようだ。
 「世界最長の橋」で自然文検索してみても、橋の構造により諸説が現れた。面白かったのは「松尾橋梁株式会社」http://www.matsuo-bridge.co.jp/index.htmlのページで、「橋を知る」のコラムに「世界の橋の歴史年表 」、「世界の橋のデータベース」があった。
☆右上の写真はスイスのSionから北にバスで45分ほどのところにあるデルボランス(Derborence)http://www.derborence.ch/への道の途中で見た300m近い落差のある滝。

サイクリングや散歩ルートも割り出せるGoogle Maps活用ツール

 東京ガス・エンジニアリングは、同社が提供する地理情報 Web サービス「GeOAP」(ジオープ)http://www.geoap.jp/で、出発地から目的地までの2点間の最短経路情報を座標列で提供する機能を追加した。
 GeOAPは、GIS(地理情報システム)のソフト部品を各種メソッドとして公開し、地図だけではなく、距離情報など付加価値の高い地理情報をユーザに提供するWebサービスだ。
 「GeOAP」のトップページの「GeOAP体験」コーナーにある「距離検索」は、住所A、住所Bのそれぞれの空欄に「住所」または「郵便番号(7桁)」を入力してクリックすると、最寄り駅までの距離と住所A、B間の経路距離と直線距離を算出してくれる。「Google Maps上に表示」を押すと、住所A、B間の経路地図を表示してくれる。住所A、B間の距離は25km以内に制限されている。この「距離検索」は趣味のサイクリングの経路を割り出してくれるのに実に便利だ。通い慣れたルートを、これで再確認してみるとさらに最短距離で結ぶルートがあることが分かった。今までは、遠回りしていたことになる。
 「目標物経路」の機能は「GeOAP体験」では小学校、郵便局、公園・墓園に限られているが、「住所」を入力、抽出範囲と分類を選んで、最寄りの目標物までの地図を取得することができる。
「住所処理」の機能では、GeOAPで緯度経度変換を行ってくれる。「住所」を入力してクリックすると、アドレスマッチングまたはジオコーディングと呼ばれている、デジタルマッピングに不可欠な作業を行ってくれる。
なお、トップページにある「体験コーナー」http://www.geoap.jp/service/trial/trial1.htmをクリックするとさらに詳しい機能を案内するページへ飛ぶことができる。
 この機能は、タクシーに関するポータルサイト「タクシーサイト」http://www.taxisite.com/の料金検索サービス の「タクシー料金を調べる」http://www.taxisite.com/far/pref.aspxの経路表示等にも利用されている。
 同サービスは、乗車地と降車地までの距離から想定される料金を計算し、衛星写真・地図上に経路を表示するもの。GeOAP を利用して経路距離および経路の座標列を取得し、衛星写真・地図には Google が提供している「Google Maps 」を利用している。出張旅費の確認などにも利用できそうだ。
☆右上の写真は オーストリア ザルツブルク市内のザルツァッハ川に沿ったサイクリングコース

米Googleのブログ検索サービス新登場

 米Googleはブログ検索サービス「Google Blog Searchhttp://blogsearch.google.com/ のベータ版を公開した。検索対象は、米Googleが運営する「Blogger」はもちろんのこと、他のサイトのフィード(RSS等)を公開するすべてのブログ・サービスを対象としているようだ。検索対象言語は、英語のほか、日本語や中国語、韓国語、仏語、伊語、独語、スペイン語ポルトガル語など35の言語も利用可能。
日本語での「Google Blog Search」ヘルプを読むには「Blogger」の「言語の選択」http://www.blogger.com/language.gで、「日本語」にチェックを入れ「設定の保存」を押して、Blogger ヘルプ>Blogger の基本>ブログ検索に関するよくある質問のページを開くとよい。
試しに「インターネット・トラベルNEWS」を「Blog Search」http://search.blogger.com/で日本語設定にして検索すると1,348のマッチングがあった。そして検索結果一覧のトップにはTop blogs matching という項目があって「インターネット・トラベルNEWS」にダイレクトにリンクが張られていた。つまり、検索キーワードそのもののサイトがトップに出てくる仕組みだ。「Google Blog Search」の方で検索するとTop blogs matchingはRelated Blogsという項目名だった。なお、設定を日本語にしていても日本語検索ができないことがあるが、同じ検索を2度行うとうまくいくようだ。
例によって、ウィーン、フィレンツェ、オペラ、サイクリング、ワイン、Szentendre(ハンガリーの地方都市)など自分の興味で検索しまくったが、ウェブ・サーチと違い、ブログ上を飛び交っている新鮮なトピックスが一望できるので、鮮度が命の旅行情報を手に入れるには実に便利だ。
ついでに、SACDスーパーオーディオCD)で、検索してみたら「なかなかSACDの発売タイトル数を増やさない、ソニー・ミュージックエンタテインメント」など最近話題の記事が次から次に見つかった。トップのRelated Blogsには、THE SACD REVIEW http://blog.livedoor.jp/sacd_review/ という日本語のSACD に関するページがあり、「SACD買うなら最初の10枚はこれ!」など、SACDプレイヤーを買ったばかりの私には貴重な情報に出会えた。
☆写真は ザルツブルク郊外サンクト・ギルゲンのハイキングコース“パノラマルントヴェーク”でひと休みするサイクリング・ツアー中の家族。サイクリング・コーズの概要はhttp://www.rc-gnigl.at/rc/home.nsf/open/CD741CE8D7A89B58C1256C4500657DCB

図書・雑誌の総合目録ウェブ・データベース

先週の土曜日に「パソコン上に“旅行事典”を築いて情報収集自由自在」という記事を書いたが、そこに付け加えたいのが“図書・雑誌の総合目録ウェブ・データベース”だ。
 どのようなデータベースがあるかを見比べるのに便利なのが「東京大学医学図書館−所蔵検索−」のページhttp://www.lib.m.u-tokyo.ac.jp/find/find.htmlだ。
 そこに、リンクされているデータベースを紹介しよう。国立情報学研究所が運営する全国の大学図書館等が所蔵する図書・雑誌の総合目録データベース「NACSIS Webcathttp://webcat.nii.ac.jp/ は、書籍だけでなく雑誌のも検索できる。自分の行きたい土地に関する雑誌記事などを探すのに大変便利だ。
 通称「OPACオーパック)」と呼ばれる「東京大学オンライン蔵書目録データベース」https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/ は、東京大学図書館(室)の図書・雑誌所蔵目録データベースだが、そこにない書籍などは自動的に上記のNACSIS Webcatとの横断検索もかけられる。
一番網羅性が高いのは、国立国会図書館の「NDL-OPAChttp://opac.ndl.go.jp/index.htmlだろう。国立国会図書館所蔵の図書、雑誌新聞、電子資料、和古書・漢籍、博士論文、地図、音楽録音・映像資料、蘆原コレクションの検索ができる。
旅行関連書籍の図書館としては、JTB系列の財団法人日本交通公社が運営する「旅の図書館」http://library.jtb.or.jp/ (東京都千代田区丸の内1−8−2)がある。ここには、ガイドブックはもちろん、地図や各航空会社の機内誌、観光局のパンフレット類、航空・鉄道時刻表、民族学誌などもそろっている。雑誌や新聞の旅行関連記事もスクラップされているので旅行直前に籠もってみるとよい。「旅の図書館」のホームページには「図書検索」の機能も設けられており、書名、著者名、出版社名で検索することができる。
☆右上の写真は 世界一のグラフィック・コレクションを有しているウィーンのアルベルティーナ美術館http://www.albertina.at/cms/front_content.php

Albertina: The History of the Collection and Its Masterpieces

Albertina: The History of the Collection and Its Masterpieces

「Google Maps API」活用のユニークな地図連動サイト その2

Google Mapsを活用した日本の旅行関連サイトがさらに2つ誕生した。「楽天トラベル」http://travel.rakuten.co.jp/は、ロンドン、パリ、ローマ、ニューヨーク、ロサンゼルス、北京、上海、広州、香港など欧米とアジアの9カ国14都市において、地図上にホテルなどを表示することにより、目的地を地図上から選ぶことが可能となった。これによりユーザーは、希望の都市の観光名所や建造物から地域を選択することが可能となり、慣れない都市の予約も簡単に行えるようになるという。今後も随時、地図検索のリニューアルを行い、主要な都市を地図から選択可能とし、ユーザーの利便性を高める予定とのことだ。
楽天トラベル」はその「ニュースリリース」で、海外ホテル検索:「上海のテレビ搭付近」に宿泊したい場合を例に、
  1.世界地図から「中国」を選択します。
  ( http://travel.rakuten.co.jp/ry_kaigai.html
  2.「上海」を選択します。
  ( http://travel.rakuten.co.jp/kaigai/china/index.html
  3.「テレビ搭」を選択します。
   (地図上に主な建造物などが表示されています)
  ( http://travel.rakuten.co.jp/kaigai/china/shanghai.html
  4.検索条件を入力します。
と、その使用例を解説している。
 ロンドンhttp://travel.rakuten.co.jp/kaigai/europe/london.html とパリ   http://travel.rakuten.co.jp/kaigai/europe/paris.htmlの地図ページも挙げておこう。

 一方、カカクコムhttp://www.kakaku.com/は、ホテルの当日予約サイト「yoyaQ.com」において、「Google Maps API」を使った当日の空室検索サービスhttp://yoyaq.com/pc/index.asp#area_searchを開始した。
 トップページの日本地図から北海道、宮城、東京、長崎など13地域の中から選ぶと地図が表示され、「yoyaQ.com」で取り扱っているホテルの場所が「H」のイラストで表示される。イラストをクリックすると、ホテルの紹介文や写真、空室状況を表示する仕組み。
 これによりユーザーは、予約を希望するホテルだけでなく、その周辺情報や、近隣のホテル情報もあわせて閲覧することができるという。広域でのホテル検索を実現すると共に、実際の距離感を分かりやすく表示することで、ホテル選びをより楽しめるようになるそうだ。今後は予約受付期間の延長やホテル情報の更なる充実など、ホテル宿泊を計画時から楽しんでもらえるサービスを増やしていく予定とのこと。
カカクコムにとっては、レストランのくちコミサイト「食べログ.com」http://tabelog.com/、旅行のクチコミサイト「フォートラベル」の「世界地図で見る世界遺産ガイド」のページhttp://4travel.jp/map/?mode=sekaiisanに次いで3つ目の「Google Maps API」活用サービスとなる。
☆写真は リトアニアの首都ヴィリニュス旧市街の高級プチホテルStikliai Hotel http://www.stikliaihotel.lt/ 

「Google Maps API」活用のユニークな地図連動サイト

 米Googleが提供している「Google Maps API」の機能を利用した地図連動サイトが続々誕生している。Google Mapsそのものについては、当欄の「Google Mapsは誰でも応用できる“電子白地図”」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050729なども参照していただきたい。また、すでに、「はてなフォトライフ」の画像を地図上に表示する「はてなマップ」(ベータ版)http://map.hatena.ne.jp/ も紹介した。
同じく紹介済みの「世界旅行博」http://www.ryokohaku.com/top.htmlのサイトに、「衛星マップを散歩(マッポ)しよう! 都市名をクリックすると衛星地図が飛び出します!」http://maps.google.co.jp/という旅行博参加国をヴァーチャル旅行できるページが登場した。
すでに、何度か取り上げた旅のクチコミサイト フォートラベルも、「世界地図で見る世界遺産ガイド」のページhttp://4travel.jp/map/?mode=sekaiisanGoogle Mapsを活用している。
 カカクコムhttp://kakaku.com/は、レストランの口コミ情報サイト「食べログ.com」http://tabelog.com/でレストランの地図検索サービス・ページhttp://tabelog.com/restaurant/rstmap.asp をオープンした。現在、東京、神奈川、京都、大阪、神戸の5地域の3万店近くのレストランの情報が登録されているという。
 求人情報サイトを展開するイー・マーキュリーhttp://www.emercury.co.jp/も東京の求人情報の検索ができる「地図から検索 Find Job ! Maps」(ベータ版)http://www.find-job.net/fj/mapsearch.cgiを公開。
 Google で「Google Maps API 」のキーワードで「日本のページを検索」すると、ナント138,000 件も検出された。
その中には、「Google Maps / Google Earth 応用例」http://www.blogpeople.net/TB_People/tbp_3468.htmlのページや「earthhopper」http://earthhopper.seesaa.net/article/6067919.htmlなど、Google Mapsの現状を把握するのに便利なサイトもあった。
 後者は、アメリカの「Google Maps Mania」http://googlemapsmania.blogspot.com/というページも紹介しており「Google Maps でデジタル家系図」などユニークな活用例を紹介している。
表示させた地図範囲について書かれたブログ記事を検索できる新しい検索エンジンmaploghttp://maplog.jp/というものも見つかった。
個人的には、武蔵大学サイクリングOB部ログ「自転車旅行を愛する人たち」http://cyclo.way-nifty.com/cyclo/google_maps_api/にはまった。武蔵大学サイクリング部やOBのサイクリングの軌跡を地図でたどることがで、「Google Mapsツールドフランスを空から観戦」といったページもある。
これらのサイトを見ると、個人の旅行記やツアーの“写真交換会”、旅行会社のツアー催行状況生中継、ローカル観光局のプロモーション、旅仲間の募集、ワイン・テイスティング・マップ、危険地域マップなど旅行関連ページへの多様な応用の可能性を思いつかせてくれる。

Google Mapsは誰でも応用できる“電子白地図”

Google Mapsについては、当欄でも「Googleの地図サービス 日本(ベータ)版http://maps.google.co.jp/が運用開始」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050715、「Googleの検索パワーと結びついた地図サービスGoogle Mapshttp://maps.google.com/http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050328などで触れているが、アメリカのGoogle Mapsには誰でも応用できる“電子白地図”のような機能があることも取り上げておこう。
 ひとつは、アメリカの主要都市でのタクシーやリムジンバスの現在地が検索できる機能「Google Ride Finder」サービス・ベータ版 http://labs.google.com/ridefinderだ。都市名や郵便番号、住所を入力すると、空港へのシャトルサービスなどを運営する会社の連絡先と、運行中のバスやタクシーの現在地が地図上にほぼリアルタイムで表示される。所在地を示すバルーンをクリックすると電話番号がポップアップ表示され、ホテルなどからここに電話して予約できる仕組みだ。
Google Ride Finder」の応用として、ツアー催行会社が自社ツアーすべての地球儀上での移動状況をウェブ上で図示し、一般消費者へのデモンストレーションに使ったり、危機管理に役立てたりといった使い方も考えられるだろう。
 「Google Ride Finder」の応用ではないが、旅行業者向けの「JATA世界旅行博2005」http://www.jata-wtf.com/jp/の中には、GoogleMap を利用し「世界旅行博参加国」の衛星マップ散歩ができるページhttp://www.jata-wtf.com/map/map_list.phpが加えられ、ヴァーチャルに参加国を訪問できるようにしてある。
 Google Mapsをベースにしたコミュニティーサービスも米国で始まっている。このほどスタートしたばかりのサービスをふたつ紹介しよう。
 一つは,World Pressが提供する「Google Sightseeing」http://www.googlesightseeing.com/Google Sightseeingは、観光スポットの衛星写真をネタに、自分の旅の思い入れや新発見などを伝え、他の訪問者とコミュニケーションを図るというサイトだ。利用者は自分のお気に入りの観光スポットの衛星写真とコメントを投稿していくことができる。
 もう一つは「Foundcity」http://www.foundcity.net/。これは、個人が自分の住む街などの中にお気に入りのスポットを記入したマイマップを作り、お気に入りのレストランやナイトスポット、観光ポイントなどをデジタル・マップ上に登録していくというシステム。ブログ感覚で簡単に地図付きのデジタル・ガイドブックが作れるという仕組みだ。ヴォランティア・パワーで全世界をカバーするデジタル・ガイドブックが出そろえば、旅行者にとって心強いツールとなるに違いない。
 振り返ってみれば、「TRON」構想を唱えた東大教授坂村健氏は99年9月20日日経新聞朝刊に「情報新文明世界へ」という記事で夙に「情報新文明世界」の到来を訴えておられた。
同氏は「無償の活動を総生産に組み込めない経済モデルは、いずれ時代遅れになる」と主張し、「無償の活動」の一例として、「歩いていると由緒ありげな“石地蔵”が目にとまる。すると、“地蔵”に張り付けられたチップと携帯端末が交信し、丁寧な歴史解説と、関連情報へのリンクが表示される。そしてページの最後には入力者の名前が....」「このように、チップが埋め込まれるだけでなくコンテンツ(情報の内容)があってはじめて『世界』の情報化は実現する。そして、そうした一木一草までの情報入力はボランティアベース以外に不可能である」と述べ、「記述のデータ規格が問題となる」と指摘しておられた。 「記述のデータ規格」がブログのRSSなどで解決の方向に向かい、Google Mapsのような誰でも応用できる“電子白地図”の提供が始まった現在、「情報新文明世界へ」の大きな一歩がクリアされたと言えるだろう。

情報文明の日本モデル―TRONが拓く次世代IT戦略 (PHP新書)

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三次元映像ソフトとGoogle Mapsを結びつけた Google Earth

Googleは地図ソフト開発会社の米Keyhole社を昨年買収し、同社の技術を利用した地図情報サービスを提供することを表明していた。そのことについては、当欄の「世界中の都市を三次元映像で空から訪問できるKeyhole」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050126でもふれている。
これを受けてこの6月末には、空撮写真をベースにしたKeyholeの三次元映像ソフトとGoogle Mapsを結びつけた 新たなサイトGoogle Earth http://earth.google.com/のベータ運用を開始した。Google Earth 利用の際は、トップページ右上の「Get Google Earth  Free Version」よりViewerソフトのインストールが必要だ。
 Google Earth には、2つの有料版もある。GPS 機器との連携、表計算ソフトなどで用いる CSV 形式の住所情報読み込み、地図上へのメモ記入といった機能を備える有料版「Google Earth Plus」は年間20ドルで使用できる。また、業務用途や商業利用向けの「Google Earth Pro」は年間400ドルで利用できる。
 解像度は15メートルだが、カリフォルニアのサン・ディエゴのように約8mの解像度の都市もある。
 ニューヨークなどアメリカの都市の場合は、レイヤー機能が利用可能で、三次元映像上にホテルやレストラン、カフェ、銀行・ATM、ビデオ・レンタル店、空港・交通機関、公園、ゴルフ場、鉄道、ショッピング・モール、地下鉄の駅、道路、鉄道、市境などのアイコンや線を選択表示することもできる。旅行で訪れる街のホテル周辺の土地勘を得たいときなどに便利だ。
東京や大阪、ローマ、ロンドンなどの都市も鮮明な三次元映像を見ることができるが、レイヤー機能は未だ働かないようだ。
しかし、東京からローマといったようにGoogle Earth上で移動すると、地球上空をパラセーリングで浮遊するように移動できるのでなかなか楽しい。
利用の前に、トップページ右下のProduct tour やSightseeing - top spotsでその機能の概要を把握しておくとよいだろう。
一方、アメリカのMicrosoftも一昨日MSN Virtual Earth ベータ版http://virtualearth.msn.com/を公開した。

Googleの地図サービス日本版が運用開始

 アメリカの「Google Maps」とGoogleの検索パワーと結びついた「Local Search」サービスについては、当欄の「Googleの検索パワーと結びついた地図サービスGoogle Mapshttp://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050328で、取り上げたが、この日本版「Googleマップ」 http://maps.google.co.jp/と「Googleローカルhttp://local.google.co.jp/のベータ版が7月14日に公開された。
デフォルトが自分の住む渋谷になっていたので、ローカル検索で、キーワード「ワイン」場所「渋谷」、キーワード「100円ショップ」場所「渋谷」、キーワード「ドイツワイン」場所「渋谷」、キーワード「日本酒」場所「渋谷」などいくつか検索を行ってみた。「ドイツワイン」の場合、「ラインガウ 青山店」http://www.rheingau.co.jp/が出るかどうかをチェックしたかったのだが、確かに「ラインガウ」がトップに出たが、リンクはグルナビの同店紹介ページに張られており、オリジナル・ホームページは“その他大勢の”「5件のリンク」の中に埋もれていた。ほかにも、リンク間違いやオリジナル・ホームページがあるのにそのリンクが見つからない、あるはずのレストランが出てこないなどのケースが多かった。また、「渋谷」と絞り込んだはずなのに、該当物件が少ないせいか、新宿なども含んだ広域図に切り替わっていた。
 ベータ版なので致し方ないのだろうが、Googleのことだから急速に改善されるだろう。郷里の唐津や長崎のローカル検索も行ってみたが、タウンページデータベースの情報に依拠しているためだろうか、リンクがほとんど張られていなかった。
 Google マップの「ヘルプ」には「Google マップ にある自分の会社やお店の情報を更新するにはどうすればよいですか」という項目もあったので、Google マップやローカルの利便性に気づいた企業などが競って「情報更新」を求めれば、「クリッカブル・マップのタウン・ガイド・ポータル」としての圧倒的地位を案外早く確立するのではないだろうか。
思いついて、キーワード「政府観光局」場所「港区」でローカル検索してみたが、各国政府観光局が集中する東京都港区の地図とともに数百の観光局関連サイトが検索結果に並んだ。海外旅行の前に観光局巡りをしたいという人には便利だろう。
なお、我が家の住所を「Googleマップ」に入れると、見事に住んでいる建物を中心とする地図が開いた。「サテライト」のページに切り替えると航空写真に切り替わるが、写真は8年以上前のものだった。
当欄がホスティングしてもらっている「はてな」は早くも「Google マップ」を活用した「はてなマップhttp://map.hatena.ne.jp/ ベータ版をオープンした。ブロッガーたちの書き込みパワーが想像もつかないような世界を拓いてくれるのかもしれない。
☆右上の写真はスイス ベルン旧市街の空撮写真(ベルン市観光局提供)

海外旅行の目的地の紫外線指数を知るには

海外旅行をするときはサマー・リゾートはもちろん、ヨーロッパ・アルプスなどのマウンテン・リゾートでも、日本以上に強い紫外線を浴びることがある。
 日本では、この17日から気象庁が紫外線情報のページhttp://bosaidata.kishou.go.jp/uv/u_uv.htmlを設け、国際指標「UVインデックス」http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/hp/3-40uvindex_manual.htmlを使って0から13+までの14段階の紫外線の予想を表示するようになった。
海外旅行の際の旅先の「UVインデックス」を知るには、すでに紹介しているアメリカの気象予報ポータルThe Weather Underground http://www.wunderground.com/ (日本語ページ有り)が使いやすいだろう。
  The Weather Underground は、世界6万都市の気象情報や日没時間などをほぼ漏れなく網羅し、しかも日本語で表示するという便利この上ない気象ポータル・サイトだ。
 初めて利用する際には、トップ画面左フレームにある「Page Prefs」で日本語を選択し 「Units:」で、摂氏・センチの表示などを選択しておくとよい。現在地の時間などをカスタマイズすることもできる。調べたい都市の選択は地図からも検索ボックスからも可能。トップ画面の中央には米国全図があるが、その右横の世界地図か、左フレーム下方の「International」からアメリカ以外の地域をクリックすると世界各地の地域図と国名一覧が出てくる。国名を選択すると都市一覧が現れ、都市名のクリックで詳細画面が開く。
 天気予報(東京の場合7日間)のほか、体感気温、視界、気圧、湿度、風、日の出・日の入り、月の出・月の入り時刻、月齢、紫外線指数などが表示される。
紫外線UVインデックスは、各都市の予報画面の中央左にあるCurrent Conditionsの「UV:」欄に0〜16の17段階で表示されている。
 英語画面ではジェットストリームなどの航空気象や台風・ハリケーン情報、海洋気象、積雪情報も表示される。このほか世界各地の任意の日の星座表(Star Chart)や1994年に遡る過去の特定日の天気なども表示される。
 アメリカ方面では、土地・季節ごとの季節の植物アレルギー発生状況(Allergy Alert)、大気汚染指数、レーダーと衛星による気象画像なども表れる。
 なお、都市により情報項目に欠落があったり、“入電状況”により気象情報が「情報なし」と表示されることもある。

アメリカの横断型ホテル・航空券価格検索エンジンの新顔

 当欄の昨年9月の記事で「アメリカで横断型ホテル・航空券価格検索エンジンの競争激化」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040928 という記事を書き、YAHOOのFareChasehttp://yahoo.farechase.com やOpodo、Zujiなど米国以外の有力サイトも含んだ65の旅行サイトから航空券料金情報を横断検索するMobissimo http://www.mobissimo.com/を紹介したが、昨年登場したもので一つ紹介し忘れたことに気が付いた。
 それは、Kayak http://www.kayak.com/s/index.jspというサイトだ。Kayakは、フライトやホテルのほかレンタカーやクルーズ、ヴァカンスパッケージも検索対象としている。Kayakには、詳細検索を初期画面に戻ることなく開始できるなど他の価格比較サイトにはない使いやすさもある。また、独自にホテルの口コミ情報や雑誌等メディアの評価記事、地図(Mapquest)、写真、概要やアメニティーの解説などのコンテンツを充実している点も比較サイトとしてはユニークだ。
 異なるデザイン、異なる機能の旅行販売サイトが乱立している現状は、消費者にとってひとつひとつのサイトの使い方をいちいち覚えなければならないという面倒さがつきまとう。そこで、それらを横断的にナヴィゲートするKayakのようなサイトが歓迎されることになるのだろう。Kayakは大手サイトに代わってワンストップ・サイトとしての地位を獲得することを目指しているのだろうが、低コストでの運用ができれば、消費者の利便性はもちろん、ホテルなどのサプライヤーにとっても歓迎されるであろう。
ベータ版運用が正式運用に切り替わった将来、KayakやMobissimo、Yahoo.farechase.comなどの価格比較エンジンはExpediaやTravelocityなどの高機能な大手販売サイトと今後どう棲み分けていくのだろうか。消費者側のメリットとしては、マイナーなサイトも含めた価格の比較がワンストップでできる点や航空会社などサプライヤーに直接申し込めるので大手旅行販売サイトが一部商品に課している手数料を支払わなくて済むなどの利点がある。
 デメリットは、大手サイトにあるような周遊型航空券の検索やホテルと航空券の組み合わせパッケージなどの高度な検索機能が使えないこと、(Kayakを除いて)商品に関する詳細説明や地図表示等のコンテンツが利用ができない点、大手サイトが意図的に検索対象となりにくいキャンペーン・ページなどに置くサプライヤーの特別提供料金等を見つけにくい点などが挙げられる。

Google「ツールバー 3 (日本語ベータ版)」を公開

 グーグルは4月1日から、Internet Explorerツールバーhttp://toolbar.google.com/intl/ja/の「ツールバー 3 (日本語ベータ版)」http://toolbar.google.com/T3/intl/ja/の提供を開始した。新バージョンでは、「マウスオーバー辞書」「スペルチェック」「日本語ナビ」の3つの新機能が追加されている。
 システム必要条件は、OSがMicrosoft Windows 95/98/ME/NT/2000/XP、ブラウザーMicrosoft Internet Explorer 5.0 以降。
 「マウスオーバー辞書」機能は、英語のウェブページの単語をひとつずつ調べなくても、単語をマウスオーバーする(ポインターを単語の上に置く)だけでその意味が表示されるというもの。現在、マウスオーバー辞書の機能は、英語から中国語 (繁体および簡体)、日本語、韓国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語への利用が可能。ただし、ツールバー オプションで「マウスオーバー辞書の設定」をいちいち各言語に変える必要がある。
 「スペルチェック」機能では、“ウェブベース”の電子メールなど、ウェブ上の任意のフォームに入力したテキストに対してスペルチェックを行うことができる。[自動修正] オプションを使用すると、入力したすべての テキスト に対して、スペルチェックと修正を1回のクリックで自動的に行うこともできる。ホテル予約の文章をホテル・サイトのウェブ上の予約フォームに書き込むときなどのスペルチェックに威力を発揮するだろう。
 「日本語ナビ」機能は、サイトの URLがわからない場合でも、ブラウザのアドレスバーに日本語名を入力するだけで、簡単にサイトを見つけてくれるというもの。たとえば、アドレス バーに 「オーストリア政府観光局」 と入力すると、オーストリア政府観光局の日本語公式ホームページ (http://www.austria-connection.at/anto/home_aussenst...1.html) がいきなり表示される。「フィレンツェ」など、公式のホームページがないような語句を入力した場合やサイト名のホームページを特定できない場合は、入力した語句に対する通常のGoogleウェブ検索結果ページが表示される。日本語ナビ機能は、URLがわかりにくいウェブページやヤタラと長いURLのパージを見つける際に特に便利だ。
☆写真は 成田空港のサテライトにあるComputer Desk

直感的なサイト選びを可能にする“見える検索エンジン”MARSFLAG

 マーズフラッグ社は“見える”検索エンジンMARSFLAG http://www.marsflag.com/のサービス開始した。「画像収集クローラー」「人口知能型 検索アルゴリズム」という技術をベースに、検索対象ページのイメージ画像を、最適なサイズ・配列でタイル状に高速表示できるというもの。パリなどの地名や「世界遺産」、「ワイン街道」、「海外 温泉」、「スイス スキー」、「ウィーン 音楽」などといった複合検索も含めたキーワードの検索結果を画像で直感的に選べるので旅行情報収集の強力な武器となるだろう。

 なお、都合により4月2日より4月17日まで「インターネット・トラベルNEWS」の更新をお休みします。

ナショナルジェオグラフィック社の地図サイトが進化

久しぶりに、アメリカのナショナルジェオグラフィック社http://www.nationalgeographic.com/index.htmlの地図サイトMap Machine http://plasma.nationalgeographic.com/mapmachine/を見てみたら目を瞠る充実ぶりを見せていた。トップページ左下のView All Map Categories を開くとMAP CATEGORIESのページが現れWorld MapsやHistorical Maps、Trip Planning などカテゴリーごとに高機能な地図が分類されている。
 自分専用のMy Mapに地図を保存したり、地図上に自分で必要なポントを落とすCustomize My Mapという便利な機能もある。

 新たに発見した、ドイツ電子時刻表英語版ドイツ鉄道電子時刻表 英語版http://reiseauskunft.bahn.de/bin/query.exe/en にある路線図描画機能(Graphics)もレポートしておこう。
この機能は、時刻表画面の上部のNormal search、Advanced searchのタブで後者を選ぶことで現れる。Advanced search時刻表検索画面で、たとえば、FromにParisと入れtoにWienと入れて適当な日にちを選び、左下のSearch connectionボタンを押す。結果画面の上部のGraphicsタブを押すとConnection graphicsという乗り換えなども含めた路線図が描かれる。路線図の下のnext connectionを押すと、遅い時間帯の列車の路線図に切り替わる。next connectionの右横の+を押すと、隠れていた全停車駅が浮かび上がる。
 鉄道電子時刻表についてはバックナンバーの「鉄道旅行のルーティングに便利な鉄道電子時刻表」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040420を参照していただきたい。

Googleの検索パワーと結びついた地図サービスGoogle Maps

 Googleは、地図検索サービス「Google Mapshttp://maps.google.com/のベータ版をこの2月に公開した。利用法についてはGoogle MapsのHelpやGoogle Maps Tour を参照するとよい。
 Maps Tour では、検索ボックスに166 W 46th St, New York, NY 10036といったように番地、通り名、州の2文字略号、郵便番号を入れるとズーム機能を持った該当地区の地図が現れる模様が紹介されている。
また、同じ検索ボックスにgreat sushi in New Yorkという風に、求める物件と地名を組み合わせ検索するとNobuを初め10軒ほどの寿司バーやレストランがリストと共に地図上に表示される。地図上のアイコンやリストの該当店舗をクリックするとポップアップ画面が開き、その中の.comの付いた文字列をクリックすると店のオリジナル・ホームページや紹介ポータル・サイト、メニュー・ページなおが開くという便利さだ。
Jazz in New York、9.11 in New York、Winery Santa Barbara、Opera Bostonなど思いつくままに検索してみると、見事に求める情報を探し出してきてくれる。
Google Mapsトップページ上部の「Local Search」画面を開くと、左側のボックスに求める物件のキーワード、右側のボックスに地名を入れるとキーワードに合致した物件を図示する指定地域の地図が現れる。たとえば左側のボックスにPizzaと入れ、右側のボックスにPoughkeepsie, NYと入れ、Searchボタンを押すと10軒ほどのピザを出す店が現れ、そのうちのひとつを開くと、前記同様、店の概要を示すポップアップ画面が開き、その中の.comの付いた文字列をクリックすると店のオリジナル・ホームページやメニュー・ページが開く。
Google Mapsには2地点間のルートマップや距離、利用道路の詳細などを表示する優れた機能もある。Google Mapsトップページ上部の「Directions」画面を開くと、左側のボックスにスタート地点、右側のボックスに目的地の住所を入れると地図や情報が瞬時に現れる。
 Google Mapsは今のところ、アメリカとアメリカの自治領であるプエルトリコがカバー範囲だが、ぜひ、全世界をカバーしてもらいたいものだ。
Googleは地図ソフト開発会社の米Keyhole社を買収し、同社の技術を利用した地図情報サービスを提供することを表明しているが、空撮写真をベースにしたKeyholeの三次元(3D)映像ソフトとGoogle Mapsが結びつけば、さらに面白い展開が期待できる。
Keyholeについては、「世界中の都市を三次元映像で空から訪問できるKeyhole」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20050126の記事を参照していただきたい。

 最後に、「フランスから始まったデジタルマップISMAP」http://d.hatena.ne.jp/Europedia/20040511の記事で紹介した日本語ページもあるデジタル・マップ「ISMAP」のサイトが運営停止となっており、旧アドレスhttp://www.ismap.com/をクリックすると通信関連企業Benefon http://benefon.com/のサイトに飛んでしまう。どうやら、買収されて一時停止となっているようだ。便利なサイトだったので再開してくれることを祈りたい。